ちょっとお説教されよう
ん~ 今後、水曜日と日曜日の0時更新を目指して頑張る、ってことにしよう……
ピー ピー
〈リーナさんから呼び出しです。〉
「繋いでくれ。」
ワイルドパンサーの内部のディスプレイの一つにリーナちゃんではないが、見覚えのある女性の画像があらわれた。
『やあ、諸君。ところで今は何をしているのかね?』
ハンブロンの町の領主のジェニーさんがどこかカメラ目線で問いかけてくる。
「北の鉱山に向かって走っておりますな。」
『ふむ、』
ジェルの答えに、表情を変えないジェニーさん。
『敢えてもう一度聞こう。君たちは何をしているのだね?』
……へ?
ジェニーさんは何を聞いているんだ?
『君たちが鉱山に方に向かっているのはリーナ嬢に聞いた。
おそらくリーナ嬢と同じ反応を見せると思うが、どうして君たちは鉱山に向かっているのかね?』
「「「あ、」」」
あたし達三人の声が思わずハモった。
「ジェラードが言い出したからなぁ。」
「誰も反対しなかったろ。」
「なんかいつものパターンの気がして。」
三者三様のため息が漏れる。
思い返せば、なんか勢いで飛び出したような気がする。
あたし達の様子を見て、画面の中のジェニーさんがくっくっく、と楽しそうに笑う。
『大した偽悪ぶりだなジェラード君は。』
「帰りますか。」
『ヒューイ君が先行しているのだろ? そこでそんな無責任なことを言うとはちょっと考えづらいな。』
なんか色々言われてジェルがもにょもにょしている。おそらく次はなんか悪ぶったことを言うんだろう。
『先に言っておくが、リーナ嬢が入り口で止められてね。慣れてないのは分かるが、領主や貴族の家にいきなり行ったところで通してもらえるものではない。
更に言うと、性格の悪い輩が相手ならリーナ嬢のような美少女がどうなるか、考えるのも恐ろしいぞ。』
ジェルが何かいう前に、ジェニーさんが真剣な口調でそう言ってくるものだから、さすがのジェルも口を閉じる。
「……確かに軽率でした。」
『素直に反省できるのは良いことだ。それに大事にしているリーナ嬢を無防備に使いに出すとは、ジェラード君の信頼が何とも心地よいよ。』
なんか画面の横の方から「あの、その、」とか細い声が聞こえているので、リーナちゃんが一所懸命に何か弁明しているようだ。
その横に向かって「まぁまぁ」というアクションをとるジェニーさん。こちらに向き直った時にはとても真剣な表情になる。
『さてからかうのはここまでして本題に入るとしよう。
すでに話は聞いているいると思うが、北の鉱山の行動からモンスターが溢れ出た、という話だ。ただ現状の把握は出来ていない。』
ヒューイが出発して結構時間が経ったが、すでに到着しただろうか。ポチポチとジェルが腕のコンピュータを操作すると、別のディスプレイに映像が表示される。
どこか別の場所のようだ。岩場が多く見えるので、もしかしたら例の北の鉱山なのかもしれない。とはいえ、高速で風景が流れるため、詳細はよく分からない。
これはホバーバイクからの映像か?
「パンサー、映像解析。それと周囲のマッピングもだ。」
〈了解。〉
「そちらにも映像を送ります。」
『助かる。』
右に左に流れる映像だが、なんか黒くてひょろ長いものがいるような気がした。
〈映像の解析が一部終了しました。
とりあえず表示しますが……〉
画面の一つに犬のような頭を持った人型の生物とムカデがCGで描かれる。
あ~ なんかゲームで見たことあるような生き物だ。
『コボルトと巨大ムカデね。』
これからは説明になったので、簡単にまとめると、コボルトは犬のような頭を持つ亜人種だとか。鉱山や洞窟に住み、性格は大変臆病。人前に出ることは滅多にない、という。つまり今がその「滅多」なのだ。巨大ムカデは読んで字のごとく、巨大なムカデだ。肉食で数メートルからデカくなると十メートル以上。夢に出そうだ。
『ああ、それはガイザックから聞いた。だから今は大ムカデを相手にしてるが、ちょっと火力不足だ。早く来て欲しい。』
顔は映らないが、ヒューイの声が聞こえてきた。大ムカデは外殻が硬いらしく、拳銃弾が通らないらしい。弾ももったいないので、ホバーバイクに備え付けのビームガンで節の隙間を狙っているそうだ。多分そんなことできるのヒューイだけだよ。ただ、生命力が強いらしく――まぁ、デカいし――小口径のビームガンではなかなか倒せないそうだ。なかなか、ってことは倒してるんだろうが。
『ヒューイさん! その…… お怪我はありませんか?』
『ああ、俺もガイザックも大丈夫だよ。』
『良かった……』
ヒューイの連絡が終わってリーナちゃんが思わず割り込んだ。無事を聞いて安堵の息をつく。そんな様子をジェニーさんがどこかニヤニヤと見ていたが、、すぐに表情を引き締める。
『彼の報告と、今見えてる画像から推測するに、大ムカデが何らかの理由で坑道にから外に出て、それに追われるようにコボルトも外に出た、というところか。』
「何らかの、ねぇ……」
ジェルが意味ありげに呟く。
「もしかしてもしかすると、ですが。」
色々真面目に考えている顔だ。
そして視線が少し上向きになったので、何かを思い返しているところだろう。
チラリと後ろの荷台を見て、顎に手を当ててまた考え込む。
そんなことをしている内に、ワイルドパンサーの前に集落らしきものが見えてきた。
そしてその集落は、あたしにも簡単に分かるくらいにパニックに陥っていた。
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