チーム・グリフォン出動しよう
今回はちょっと余裕を持って書けました。
このペースを維持してどうにかこうにかストックを確保せねば……
「すまん、ちょっと裏の修練所まで来てくれ。」
ジェルが耳に着けてる通信機で、三人を呼ぶ。
「お待たせいたしました。」
「なんかあったみたいだな。」
「トラブルの臭いがプンプンするぜ。」
ほどなくリーナちゃん・ヒューイ・カイルがやってくる。
「どうやら北の鉱山で何かあったらしい。」
あたし達から離れた所でガイザックさんがさっき駆け込んできた男から報告を受けているが、その顔が真剣なものになる。
「……なるほど。坑道からモンスターが溢れ出てきた、と。そりゃ大変ですな。」
遠くのひそひそ話をどうやって聞いたかは追求しないが、そういう状況らしい。というか、思ったより大変じゃね?
「ヒューイは威力偵察。ホバーバイクで現場に先行してくれ。」
「了解。」
「適当に一当てとか、適当に人命救助とか、その辺は任せる。」
「いつも通りだな。」
ヒューイが左手を振ると、手首にも着けてる通信用のブレスレットに反応して、ホバーバイクが近づいてくる。
「ちょっと行ってくるわ。」
「お気をつけて……」
心配そうに声をかけるリーナちゃんにイケメンスマイルを見せるヒューイ。出発しようとするが、その前にガイザックさんが立ちはだかる。
「俺も連れてけ。
お前一人行ったところで怪しまれるだけだ。俺なら向こうでも顔が知られてるからな。それに道もハッキリ分からんだろ?」
確かにそうだ。
この町の中だって、あたし達の顔はそんなに知られていない。ここから離れたところに、見ず知らずの奴が奇怪な乗り物で現れたら、別の意味でパニックになる可能性もある。
「頼んだ。後ろに乗ってくれ。」
「おう。
……しかし男同士たぁ色気ねぇなぁ。」
「そんなこと、考えてる余裕はないぞ。」
ヒューイがどこか凄みのある笑みを浮かべる。
「時間が惜しい。直接行く。」
リミッターを解除したホバーバイクが急上昇し、あたしの背よりも高い修練所の囲いを跳び越えていく。」
ガイザックさんの悲鳴らしきものが聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。
「リーナはこれを持って、領主の所に行って、中継と指示を仰いでくれ。」
「はい。」
白衣のポケットから取り出した板状端末を渡されたリーナちゃんが走り去る。
「で、俺は? 無論楽しい仕事だよな。」
「脅威の内容がまだ分からんからなぁ。可能な限り重装備にするか。」
重武装、と聞いてカイルの目が輝く。
うぜぇ。
「今の手持ちなら重機関銃とロケットが何本か、ってとこか。
それでも無理なら装甲服ですな。」
「少し物足りねぇが、まぁ俺好みだ。」
「まずは『雄牛の角亭』に戻ってパンサーの準備をします。」
「おうよ。」
と、走り出したジェルとカイルを、あたしも慌てて追いかけた。
ピックアップトラックのワイルドパンサーの荷台に、三脚が設置され、その上にごつい金属の塊が乗る。その他にも大小の筒やトランクや箱が汎用箱型作業機械の手(?)によって次々に乗せられる。
「サクさんとリリーさんは店の守りをお願いいたします。夜には食いしん坊と飲兵衛が来るでしょうから、多めに夕飯の用意をお願いいたします。リーナがいませんので、アイラさん一人になりますが。」
「うむ、心得た。」
「オッケー。」
「は、はい、頑張ります。」
「私も手伝う……」
えっと、返事が四つだったような気がするが、まぁそんなこともあるだろう。
そして準備ができた出発しようとするカイルとジェルの後を追う。
「……来るので?」
「議論をする暇は?」
「ないですな。」
ジェルが肩を竦めて諦めたようにパンサーに乗り込むので、あたしもジェルの隣に座る。カイルが運転席につくと、黄色いピックアップトラックがハンブロンの町を駆け抜けた。
北の鉱山、というからには北なんだろう。あたし達が来たり、カエデたちが出発したのは南側の門だったから、北側には今のところ行ったことがない。
「あれが北門か。……通れねぇな。」
カイルがボヤいたように、同じような皮鎧をつけた衛兵らしい人が集まっていて、門が閉鎖されている。
通してくれ、と言っても通してくれそうにないなぁ。となると、
「強行突破しかないか。」
「するな!」
どこかウキウキしているカイルに反射的にツッコむ。そんなことしたら出たは良いけど、二度と戻ってこれなくなるだろうが!
「でもよぉ、話し合いは無理だろ?」
衛兵の何人かがこちらに気づいて、腰が引けながらも槍を構えるのが見えた。無理やり突っ込んでいけば、そりゃ避けてくれるかも知れないけど、避けてくれない時がちょー困る。
「しょうがないので、別な方法で正面突破しますか。おそらくヒューイもそうしたことでしょうし。
パンサー、角度計算。」
〈ら、了解。〉
ジェルの指示にビビった声を出しながらも返すパンサー。
「お、派手に行くか!」
車内のディスプレイの一つに三角形が描かれたのだが、なんか嫌な予感しかしない。
〈方向そのまま。二秒後にブーストジャンプをかけます。〉
ブースト……ジャンプ?
いや、ちょっと待って。アレってスポーツカーのダッシュパンサーなら分かるよ。今のあんたは図体のデカいピックアップでしょ!
「しっかり掴まれよ! ブースト・オン!」
カイルがそう叫んで、コンソールのボタンの一つを押すと、ジェルが肩を抱くようにして、あたしを席に押し付ける。
次の瞬間、前に見えた迫る門の光景が下に流れて、空を見上げるように変わった。
「それいけーっ!!」
下に押し付けられるようない時間はすぐ終わり、下から色んな声が聞こえてくるなー と思ったら、今度は身体が浮くような感覚になる。いわゆる自由落下だ。
落下したら当然次は地面への激突だ。
凄い衝撃が来るかと思えば、そこはこれ。ジェルの無駄に高性能設計のせいか、おそらくあの門を飛び越したとは思えないくらいの衝撃で、ジェルが重しになって、身体が跳ね上がることは無かった。
ワイルドパンサーは二度三度バウンドしたものの、そのまま北の鉱山へと向けて走り出した。
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