excavater 18
目的地に近づくにつれ足取りが軽くなる。
そこは現実世界ではお目にかかれない場所だから。
お菓子で出来たおうち。
甘党のオレ、キャラを幼女にしたのもそれが理由のひとつ。
リアルだと有名なスイーツの店に野郎一人で入るにはかなりの勇気が必要。
男友達に甘党はいない。
彼女は常に忙しいし、気軽に食事に誘えるような女子友なんていない。
女子友なんていない。
大事なことなので二回言ってみた。
しかし一向に甘い香りが漂ってこない。
ケーキ屋やパン屋の近くを通れば強烈な匂いの誘惑に勝てず、つい足を向けてしまうもの。
嫌な予感。
一軒家が見えてきた。
正確には一軒家だったもの。
骨組みしか残ってねー!!
風通しが良すぎる家の前で立ち尽くすオレ涙目。
家の外にあった木のベンチに満足気な笑みを浮かべて眠っている女子を発見。
口元にはクリームやらチョコやらを食べたと思わしき形跡が残っていた。
ロングのブラウンヘアに赤系でまとめた長袖ワンピにニットのポンチョ。
小顔のわりに大きな目元。
体を揺すって起こそうと思ったけど、気持ちよさ気だったので手が出せない。
ケモナー幼女だけど中身は男のオレ。
セクハラで訴えられても困る。
骨組みだけになった家の中に入ってみる。
クエストは家の中にある『肉体の作り方を書いた本』を参考に材料を集めるというもの。
倒れた本棚はあったものの肝心の本がない。
お菓子で出来た本ならば食べられている可能性が高い。
ゲーム世界なので待っていれば自動的にリセットされるものだけど、その周期がわからないことにはどうすることも出来ない。
「誰だい?わたしの家を食べたのは?」
しわがれた声が聞こえた。
振り返ると大きなたまねぎ頭の老婆が立っていた。
よく見るとアフロ白髪。しかも2メートルはあろうかという長身。
「おやおや可愛い娘さんが二人もいるなんて珍しいね」
そう言うなりベンチに寝ていた女子とオレをひょいと両肩に担ぎ上げた。
「もっといい所に案内しようかね…ヒヒヒ」
目の前に大きな丸い鏡が現れたかと思うと老婆はその中に飛び込んだ。




