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差し出された手を取れ、と目の前に突き付けられて、戸惑った視線をフィーズに向けた。



「何を言って…」

「そのままだろうが。何を迷ってるんだ、てめぇは」



いいから取れ、ともう一度、フィーズは言い放つ。



「なによ、それ」



声が震える。

だって、意味が分からない。

否、分かりたくない。


だって、だって。



「アナタ、おかしいんじゃない」



それとも、おかしいのはわたしの方?

だって分からない。

自分がどうしたいのか、どうすればいいのか。

この気持ちは…。



「考えるな。」



静かなフィーズの声がアルサの思考を遮断する。



「お前は何も考えなくていい。だた、黙ってこの手を取れ」



フィーズの顔と差し出された手を交互に見やる。



「何も、考えなくて、いいの…?」

「ああ」

「わたしが、この手を取る、だけで…?」

「ああ」



本当にそれでいいのだろうか。

だって、わたし、は…。



「無理、よ。わたしは…、わたしはそっちに行けない」



だって、歩みたくてもわたしはフィーズと一緒には歩んで行けない。

伸ばしかけた手を下ろして、体の横できつく握り締める。



「…わーったよ」



フィーズの差し出されていた手が下がる。


そう、それでいい。

わたしはこの手を取っちゃいけない。

彼ももこの手を求めちゃいけない。



「お前が来ないのなら、俺が行ってやるさ」

「フィ…」

「バーカ。てめぇは黙って俺の腕の中ンにいればいーんだよ」



優しい温もりに抱きしめられる。

その暖かさに涙が後から後から溢れて止まらなかった。





END

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