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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター7 波に揺られる島
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第84話 回顧と不条理


岳斗とフレバーが交戦する中 ペテ公は逃げる隙を探していた

しかし数の差は歴然であり 余剰員によって捕まってしまう

何とか抵抗を見せるも記憶を失ったペテ公は一般人同然

悶着の果てに海に突き落とされてしまった



「安斎ちゃん!!」



「グリーフリー博士 子供はどうします?」


「問題になるのは勘弁だ 眠らせて町に置いてこい」


「ヘイ……」


子供に手を出そうと輩が群がり その恐怖故に泰鳥は気絶してしまう

濡れた手がコンクリートを掴んで見せれば 柄の悪い男がフレバー達の所まで吹き飛ばされた


「安斎賢也…… 記憶を取り戻したのか?」


「ハァハァ残念ながら…… だけどもう怯んでばかりではいられません」


安斎は泰鳥を抱いて森の中へ しかしグリーフリーは逃がさない


「油と火炎瓶持って来い」


岳斗とフレバーは殿を務めるが 森からは火が上がり

四人の行く手は赤い壁に遮られてしまった


「どうすれば……」


立ち往生すれば湾港の兵達が躙り寄ってくる

しかし窮地はサイレン音と共に救われた


「ペテちゃん!!」


なんと島民達が消防車に乗って駆け付けてくれたではないか

すぐさま消火活動が行われる 老若男女問わない団員達は島の人口のほとんどが集結していた


「チッ…… おいここはもう捨てろ!! バランタインに戻るぞ!!」


グリーフリー達は予備の中型船に乗り込み

安斎達はようやく解放される




あまり乾燥していない時期だった為 火災は島内の総動員だけで鎮火

町に戻ってきた安斎達は閉鎖された学校に避難させて貰っていた


「ありがとう美祢葉さん 皆さんも…… 女性の消防団員なんて珍しいですね?」


「この島では約百年前から婦人火防かんぼ組があってね

男は漁業 女は火消しとして活躍してたの

皆さん無事で良かった…… 泰鳥君も……」



「まったくだぜ…… 俺の安斎が実験台になってあんな事やこんな事……

想像しただけで鬱になりそうだ」



何故かこちら側に残ったフレバーも食事を戴いている


「なに居座っとんのやお前?」


「俺は安斎が記憶戻るまで傍で添い遂げるって決めたんだ……

あんな港で時間潰すのも正直飽きてたしなぁ」


「手ぇ出したらいてまうからな?」


物を口に頬張りながら睨み合う岳斗とフレバー

安斎は治療して貰えば立ち上がって


「大将にも迷惑を掛けたし そろそろ旅館に戻るよ」


「駄目だよペテちゃん! 今日はここで安静にしてて!

ここは元々校舎だったんだけど 私を最後に今は防災資機材庫になっているの

食料も備蓄されているから安心して」


「でも宿泊客がまだいるんですよね?」


「元々二人で切り盛りしてたんだから大丈夫だよ いいから今はゆっくり休んで」


「…………」


小さな体育館で布団まで敷いて貰った安斎は

岳斗やフレバーと一緒という危険な空間で身体を休めた

すると整備されていないグラウンドの方から 真っ直ぐ走ってくる足音が聴こえる


「所長!!」


「おぅ柴塚ちゃん!! ご無沙汰やでぇ~~!!」


「……えっ? この人って甲斐枝倉庫で所長が戦った」



「この度安斎の妻になりましたフレバー・ホープだ」



清々しくシカトして安斎に駆け寄る柴塚


「記憶はまだ戻ってないんですか?」


「残念やがのぉ……」


「…………」


柴塚は安斎の顔をジッと見つめる


「あ…… あの……?」


「……戻ってますよね? ……記憶?」


「……チッ バレてたか」


その事実に他二人も驚愕した


「マジかいな安斎ちゃん……!! そりゃ無いで~~」


「海に落された時にな 記憶を戻すにはもう一度同じ衝撃を加えるって説は当たってたな!!」


安堵の息を吐く岳斗 それとは別に柴塚は持って来た旅行必需品ハリセンでぶっ叩く


「痛ってぇ!! 記憶取り戻したばかりの人間にすることじゃねぇ!!」


「……んで? どこぞの女とよろしくやってたって? こっちの気も知らないで?」


柴塚のそのセリフにフレバーが過度に反応する


「勘違いしないで欲しいな!! 俺と安斎はまだ一線を越えていない!!」 


「お前じゃねぇよ!!!! 美祢葉ちゃんだっけ?

お世話になってたそうだし 挨拶してくるから」



「じゃぁ俺も行く ここでずっと寝ててもアラートしか鳴らねぇ」



用意して貰った布団を片付け 食べた物のゴミを処理した後 四人は旅館へ赴いた

引き戸を開ければさっそく讃岐親子からお礼を貰い 厨房から美祢葉が心配そうに顔を出す


「安静にしててって言ったのに……」


「動いた方が調子良いんです 何か手伝わせて下さい」


「フゥン…… じゃぁいつものルーティーンでお願いね

そちらは今日の宿泊客ですかね? 岳斗さんはもう一泊ですか?」



「あぁ!! よろしく頼むで!!」



良い感じの安斎と美祢葉 遠目で見ている柴塚はモヤついていた

あの安斎賢也が探偵の仕事以外で敬語を使っているのが納得出来ないでいたのだ

フレバーに至ってはハンカチを噛んで悔しがっている


「部屋割りはどうします?」


「まぁ俺と安斎が同部屋 四季園岳斗と柴塚久留美はバラバラで良いんじゃねぇか?」



「良いわけないやろこのタコ!! 安斎ちゃんと柴塚ちゃんが同部屋

部屋の数も少ないし ワシとお前で相部屋やボケぇ!!」



目と目で電撃を走らせる岳斗とフレバー

しかし美祢葉はクスクスと笑いながらぶっ込んできた


「ペテちゃんは茶の間で寝ると思いますよ?」


「……ほほぅ 茶の間と言う事は?」


「いつも私とお父ちゃんとで川の字で寝ています」


「へぇ…… あの野郎ぶっ殺す……」


いつになく感情剥き出しの柴塚は握り拳を固めながらも

結局は柴塚と岳斗 空き部屋にフレバーが詰め込まれた



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