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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター5 仕合わせ
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第63話 地獄を創れる男


無数に乱れるパイプの隙間に侵入して身を隠す安斎と柴塚

処理場を頭にマッピングする為 二人は二手に分れて走り回った


「何処行きやがったぁ……!!」


安久谷の兵隊も散り散りになって探し回る

固まって動いてなければこちらにも分があったのだ


「はいまず一人目ぇ!!」


奇襲法は安斎達のお家芸 場所が見晴らしの良い平原や砂丘でない限り

どれだけ相手の人数が多くても一人一人確実に仕留める

安斎は管に脚を引っ掛けて逆さまの宙吊りになり 近付いた者を締め上げて回る

一方で柴塚は逃げるのが主体の戦法なだけに逃走経路の確保に注力していた


ーー本命のA案は松原刑事率いる警察の到着 15分耐えればそれに越したことはない

彼等が安久谷の偽物を知ればこちらに駆け付けてくれる 着信に反応が無ければGPSで辿れる

大穴のB案 10分以内に安久谷達がヘリで逃げる場合 それを阻止するのがミッション

対抗のC案 最善は建守颯颯の確保 ヘリにも人数制限がある

この処理場内にいる全員が脱出するとは思えない つまり使い捨ての駒

安久谷がヘリに建守を乗せた場合 B案が上手くいかなかったとき C案だけでも全力を尽くす

それがうちの所長の意向なんだろうから部下は律儀に守ってやらないとね


「……初期の依頼内容から大分目的が変わってるけど だからこそ所長はかっこいいわぁ」


ここの処理場は階段が至るところに設置されている為

サバゲーのステージ並みに縦横無尽に移動が可能

しかし泉太郎は鉄パイプを引きちぎり 辺りの設置物を壊して進む猪突猛進スタイル

安斎達の身を隠しながら行っている把握と削りは 安久谷も一早く察知する

なので泉太郎は一階から 安久谷達は屋上から二人を追い詰めていく作戦に乗り出た


ーー……やっぱり


処理場の屋上にあまり見ないヘリポート そこには暁風楽校にも現れた黒いヘリが


ーー四ノ海は世界的な航空機産業で有名だけど使い放題なのかしら?

航空局とかに一々許可とか取ってなさそう……


近くで見ていた柴塚 安久谷が屋上に数人残して下へと戻って行く


ーーヘリの番は…… 袴田って人ね


彼女は一旦その場を離れ 三階へと降りた




一方で施設内部を荒らして回る泉太郎 空気やガスが漏れる音が至るとこに響き渡らせれば

一気に二階へと駆け上がった


「出て来いよ安斎賢也ぁ!!!! 何ならサシでやってもいいんだぜぇ?!」


「……残念だが俺はここだぜ 泉太郎!!」


何と安斎は一階にいた 正確には泉太郎達が二階に登り切るのを見て一階に降りただけのこと


「ほら……!! 闘ってやるからまたこっちに来いよ泉太郎」


「……ハハハッ 今だぜ安久谷ぁ!!!!」


屋上出口から余裕こいて歩いて来る安久谷の手にはジッポーライター

点火したそれを一階目掛けて投げつけた


「じゃぁなぁ…… 安斎」


「おいおい嘘だろぉ!!」


安斎が慌てて逃げる

ライターの火は消えることなく一階の床に落下 する前に大爆発が起きた


「……すげぇなぁ!!」


三階に上がってる途中の泉太郎達に爆風は届いていなかった

安久谷が事前に調節していたところを見るに 安斎達には本気で消えて貰いたかったらしい


「警察が到着する前で良かったぜぇ…… アイツだけならいくらでも事故扱いに出来る

まだ女の方が何処かに隠れている筈だぁ 見つけた奴には一番最初に楽しませてやるからな!!」


少しのアメで血気盛んになる兵達

しかし彼等がここまで士気が上がる理由は

一階とその階段部にいた負け組の断末魔がカンフル剤となる


「アヅイ…… ダレカェ……」


「タスケテェ…… アグヤサン……」


爆発で微かに生き残った丸焦げのユザブルの兵達

勿論安久谷はそんな脆弱な声に耳を傾けなかった

むしろ下から火を落して爆破させた一部始終が気持ち良かったのか

別のライターと煙草を取り出して一服をしている


「極端な話…… 一万の平和ボケした人間から 百人の精鋭部隊を作ろうとした場合……

長い時間と金を消費して試験を繰り返すよりも 書類選考の時点で良さそうな奴を予め決めておき

こういった現場の経験を積ませてやって 大事に見守った方が強くなるよなぁ……

そう思わねぇかぁ?! 袴田ぁ?!」


「……あっ袴田さんはヘリの番をしています!!」


「あぁいなかったわそういや…… クセって抜けねぇよなぁ……」


一階の凄惨な現場を柴塚も三階の隙間から見ていた


「非人道的にも程があるわ…… 安久谷の残忍さを知れただけ良かった……」


彼女は安斎の安否を確かめることはしない そのまま屋上へと向かう


ーー捕まったら性的暴行だけじゃ済まされそうにないわね ……何されるのかしら


両肩を掴んで身震いしながらも 立ちすくむという選択はしない

そして一階外 鉄製扉を防護代わりにしている安斎はご存命だった


「ハァハァ…… マジかよあの野郎……!!」


「全くだ…… 何考えてやがんだよ……」


安斎が隣を見れば 鉄製扉に避難しているユザブルメンバーがちらほら

すると安斎は目付きを変え そのうちの一人の顔を覗き込んだ


「お前…… 赤坂舞香の父親じゃねぇか……」


「ヘヘ…… よくもあん時は殴ってくれたなぁ安斎……

ここで借りを返そうと思ってたのに…… ゲホァッ!!!!」


そして向こうからなんと建守が水を持ってやってくる


「……うっ 生きてたのかよお前」


「ハァハァ…… あんなネジぶっ飛んでる奴にまだ付いて行くのか?」


「……()()さん 安久谷さん達がヘリで逃げようとしてます

置いて行かれる前に一緒に行きましょう!!」


「……椎野?」


建守は椎野に肩を貸して階段を登っていく

遠くからはやっとサイレン音が聴こえ 安斎はここが正念場だと力を振り絞った



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