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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター5 仕合わせ
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第62話 トアル探偵事務所VSユーザーブルー


「俺達は二人を追いかけます!! 建守をそのまま行かせはしません」


両親に一言入れて家を出て行く安斎と柴塚

安斎はスマホを取り出し松原に連絡


「もしもし松原さん!! 建守の家に建守と袴田って男が現れました!!」


『袴田はいつも安久谷の傍にいる男だ 何処に向かっている?!』


「50m離れて追尾してます 【北陰駅】に向かってますね」


『なるほどな…… 実は安久谷が北陰駅の改札前にいる

ヘリで逃げて何処に向かうかと思えばまだ県内にいやがった……』


「奴等が合流する瞬間を挟み撃ちしましょう 安久谷には色々と語って貰わねぇと」


『私人逮捕なんかさせるわけねぇだろ!! 尾行が完了したら遠くで見てろ!!

俺達のかっこいい逮捕捌き見せてやるからよ!!』


通話は切れて目の前のターゲットに集中する二人


「尾行とか何ヶ月振りでしょうか所長?」


「目の前の標的に集中しろよ……」


「いざとなったら友達のフリします? 恋人のフリします?」


「じゃぁ友達で……」


「仕方ないなぁ~~ 所長のダチになってあげますよ~~♪」


「酒飲んだら暴れ出すダチなんかいらねぇけどよ……!!」


「私は楽しんでますのでご安心をマイフレンド♪」


一方で建守と袴田も会話をしながら歩いていた


「袴田さん…… タクシー拾った方が安全じゃないですか?」


「お前はもう潔白なんだ 世間がどう言おうとな?

そこらの一般人なんかテレビや噂で世界を網羅している

明日のニュースで報道陣が誤報でしたって詫びてみろぉ?

ここいらの人間は胸糞悪ぃ感じで手の平返しをしてくるぞぉ?」


「……でも上手くいくもんなんすねぇ」


「人の目に映るのは何かって考え そこに敏感になれば容易なんだよ」


「さすが安久谷さんの右腕っすねぇ…… でも泉太郎君に全て擦り付けて大丈夫だったんですか?」


「政財界のフィクサーの椅子をぶん獲ればどうとでもなる

仮に捕まっても? 欠伸をしながらムショから出られるだろうよ」


駅まで10分を切った瞬間だった

建守と袴田はいきなり左折したではないか


「北陰駅から遠ざかるぞ……?」


安斎は再度 松原に連絡する


『いや…… 安久谷は動いてねぇ 尾行に気付かれたんじゃねぇか?』


「ホントにそいつは安久谷ですか? 仲間が変装している可能性は?」


『ホームの人混みの方を向いてるからなぁ…… ちょっと部下に回り込ませて確認させる』


安斎達は引き続き建守達を追う

すると今度は右折して駅のある方角へ

また左折してはと人通りの少ない場所へと向かった


「ここって…… 【産業廃棄物回収場】ですよね??」


「また奴等所有の違法行為し放題地帯かぁ?」


二人は恐る恐る周囲を覆うバリケードを潜って中に侵入

そこにはゴミ山だけが彩る世界が広がっていた

端の方には大きな溶炉処理施設が構えられており 建守達はそこに入って行く


「おびき寄せられてるかもしれねぇ…… お前は帰っていいぞ?」


「冗談でしょ所長? 私今回ホント何の成果も無いんでそろそろ本気出します」


処理場の鉄製扉は開かないので脇の小さい扉から入る二人

中は大型の機械が稼働しており 入った瞬間に汗が噴き出る場所だった


「よぉ…… 安斎…… 迷子にでもなったか?」


「いると思ったよ…… 安久谷……!!」


「マヌケな警察連中は今頃変わり身に釘付けだろうなぁ……

そして安斎よぉ…… 俺達はもうこのド田舎から発つ予定なんだわぁ」


「頭のキレそうな悪党にしちゃぁ随分とチンタラしてたじゃねぇか?

大自然に魅入られでもしたか? それともお土産買い忘れたとかか?」


「聞いてくれよ安斎…… 泉太郎の我が儘聞いてやったんだよぉ……

仲間の身を潔白にしてくれって頼んできやがってさぁ

建守とか一人一人の所業を上塗りする作業がこれまたチョー面倒臭かったぜぇ

まぁ四、五人くらいなら何とかなったけどよ」


「子守も大変だなぁ!! んで世間話をいつまで続けんだい?」


「物事は助け合いだ…… ちゃんと仕事はして貰うぞ泉太郎!!!!」


二階の渡り廊下から飛び降りる泉太郎は節を鳴らしながら安斎の前に立つ


「アンタも懲りねぇなぁ探偵さん ガキにやられて心折れねぇのか?」


「悪いが俺は 負けるとパワーアップする人間なんでな……」


複雑な構造になっている施設内の隅より 十人を軽く超える兵隊達が安斎達を取り囲む



「もしもを想定してお前達には消えて貰うぜ安斎!!!! これ以上邪魔すんなや!!!!」



「って安久谷は言ってるが久留美…… ここで捕まったら全員の夜の相手をさせられるかもだぞ?」


「もしそうなっても所長のこと恨みませんよ むしろ全員のイチモツ噛み千切ってやります!!」


安斎と柴塚は互いに背中を合わせる

二人のどちらも身体は震えていなかった

信頼関係の深さは土壇場でこそ証明される


「死ねやぁ!!!!」


兵隊数人が一斉に襲って来た

安斎は受け止め 柴塚は持ち前の護身術で受け流す

すると安斎が一定方向へと走り出し 通り過ぎるついでに輩共を殴り飛して進む


「来い!!!!」


柴塚は安斎に向かって走る

両手を絡ませて待機している自分の上司の手に彼女は足を乗せた

すると安斎は柴塚を投げ飛ばし 二階の網目状の通路に着地する


「どうも初めまして…… 安久谷橘平さん」


「へぇ…… んで?! 女一人俺の前に寄越してデリヘルでも始めたのか安斎??」


柴塚が目の前にいるにも関わらず まるで相手にしない安久谷は安斎に吠えている

その横顔の隙を 柴塚は見逃さなかった


「あんっ?!」


「おりゃぁ!!!!」


鮮やかなまでの旋斧脚 彼女のその威力は安久谷の体勢を崩し 膝をつかせた


「このアマぁ……」


「…………」


そして柴塚は逃げる 元より正面切って闘う気などさらさら無い

敵は大勢 安斎と柴塚にとってそんな不利的な状況は多岐に渡る経験をしていた

しかしこちらはたった二人という戦力に絶対的な自信を持ち合っている

大きな的より小さな的の方が攻撃し辛い 彼等はそれを十二分に肌で理解していたのだ



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