第37話 暁風寮お泊まりリターンズ
また安斎は寮に泊めて貰えることになった
しかも今度は柴塚も込み 暁風寮の仲良し女子軍団は黙っていない
「安斎先生が彼女連れて来たぞぉ?!!!」
「手ぇ繋いだんですか? キスしたんですか?! 婚約中ですか?!」
「柴塚さん若いですよねぇ?! 歳が離れた彼氏と交際してゆく秘訣は?!」
「初デートは何処ですか?! 同じ事務所ってことはオフィスラブですか?!」
「同じ一室にいる時間が多いのに何も起こらない訳がないですよねぇ?!」
「三十路の男を好きになるってやっぱり渋さに惹かれたんでしょうか?!」
「付き合ったキッカケは何ですか? ダイヤル回して手を止めたんですか?!」
「本当の孤独は誰かがいる筈なのに 独りにされてる状況に気付いたからですか?!」
「キスの味はレモンの味ですか?!」
「初夜にプロレスするって親が言ってましたけど本当なんですか?!!!」
「なにこれ事情聴取?」
台所に行くなりさっそく群れの圧で柴塚は困惑している
安斎は敢えて助け船を出さず 遠くから面白がって見ていた
「さぁ今日はお雑煮だよぉ!! 全員食べたいだけ餅の数を言いなぁ!!」
今日の料理当番の門脇と女子達が大量にある器に雑煮を入れていく
具沢山な汁物の香りは その場にいる全員の話題をすり替えさせた
「お残しは許しまへんえぇ……? 頂きます!!」
「「「「「 頂きます……!! 」」」」」
安斎と柴塚も混ざって夕ご飯を頂戴した
大勢で食べることに柴塚もここ暫く無かったので
隣で食べている安斎と同じ気持ちになる
皿洗いは流れ者の義務とか言いたげに
洗い場では二人が肩をぶつけならが洗っていた
「邪魔です所長……!! どうせ陸に皿洗いなんてしたこと無いんでしょ?
ここはいいんで皿拭いてくれます?」
「バカタレ皿洗いくらいバイトでやったことあるわい!!
てかこの前にお世話になった時も洗ったんだ 見くびるなよ?!」
「普段は外食やコンビニ弁当で済ます所長がちゃんと洗えたんですかね~~??
にわかに信じがたいですけどねぇ~~?? どこか絶対洗い残しがあると断言します~~」
「ちゃんと洗剤使ってんだから後は水洗いだけだろぉ?」
「チッチッ千々石ミゲル♪
汚れを広げない拭き方や油の付いた皿を重ねない等々
皿洗いの道は繊細なのですよ~~? そこんとこ出来てます~~?
ほら所長が拭き取った皿の下 油の跡が付着してますよ~~ん??」
「あっ…… ちゃんとキュッキュと確かめた筈なんだけどなぁ……」
「ほらどいて下さい所長!! そっち食器棚があるんですから!!」
「分かったから皿拭きに集中させてくれ……」
「水洗いの方は終わったので先に風呂に入らせて頂きますぅ!! 今日は女子が先らしいので!!」
「チッ…… やっぱアイツとは水と油だな……」
一人残ってキッチンペーパーで小まめに拭いている安斎
部屋からタオルと着替えを持って 風呂場に向かう途中の女子達は一部始終を観ていた
そして劇画チックの表情で感想を述べる
「「「「「 これが…… 新婚生活!!!? 」」」」」
女子の入浴が終わって次は男子達
相も変わらず大浴場の中で安斎の武勇伝をご所望だった
「えっ?! じゃぁ深夜辺りに謎の襲撃者に襲われたんですか?」
「あぁ…… コテンパンにやられた……」
「生きてるだけすげぇっす!! マジパネッス!!」
「しかも木刀ってのがこれまた凹むんだなぁ~~ 手加減の代表武器だし……」
「格闘術を体得してるとかアクションゲームじゃないっすか……
いよいよ超次元…… ヤバい…… 体温上がってきたぁ……!!」
「そりゃぁ風呂入ってるからだよジョン……」
そして案の定話を聞いてた生徒全員が逆上せ
恒例の食堂にて生徒干しを柴塚も拝めた
「なんかエンジョイしてますね所長」
「ヘヘッ…… まぁな」
髪を乾かして歯を磨けば いつもの三人の生徒は芽神の部屋に集まる
今回は柴塚も入れて一室に六人という修学旅行状態だ
「ここで所長と芽神さんが二人で寝たと…… いよいよヤバいですね所長……?」
「誓って何もしてません…… それより今までの調査資料持って来たんだよな?」
「えぇ…… 何するんです?」
ベッドの上に立ち上がり 妻夫木と日野 芽神と河上も注目する
「皆は〝犯罪プロファイリング〟って知ってるか?」
日野が手を挙げて答える
「俺知ってます!! 確かFBIが発祥!!
行動心理学の分析手法で犯罪調査において
犯罪の性質や特徴から犯人を推論するために使われる奴ですよね?」
「あぁ日本でも貢献している調査方法だ お前等との仲直りの印にやってみようと思ってな」
「……でもあれってプロファイラー同士の師弟関係で引き継がれる経験の技術ですよね?
その…… 俺達の推理ごっこで何とかなりますか?」
「俺達は既に師弟関係だからそこはクリアだな!!
だが寺田昌治の事件はニュースでも犯人が特定出来ていない状況だ
俺達が先に突破口を開いて先を行っても問題無いと思ってる
……それだけ俺達二人 ある程度は動き回った」
「要は気晴らしってことですね?」
柴塚の正確な分析は既に始まっていた
「これから始めるが…… ちょいと電話を掛けてくる」
「誰にですか?」
「松原さんって刑事だ…… 寺田昌治の遺体現場について全容の解像度を上げて貰う」




