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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター8 ストレンジャーズ
122/151

第104話 人生で数回はマジにならなければならない


「オバチャンは息子が何しでかそうとスルーなんかいな?!」


「……あの子達は今必死で青沼家を継ごうとしてるの」


百々の言い分は岳斗の心を激情させる物だった

両肩に掴みかかるが柴塚とフレバーによって押さえつけられている

少し離れた場所で様子を窺う安斎は宗平のもとに近付いて


「そういえば上の息子さん二人には 説得だけしてそれ以上お咎め無しだったそうですね?

宗平さん達は自分の娘が可愛くないんでしょうか?」


「そんなわけないだろ…… ただ息子達にも将来がある!!

警察に自首させて経歴に傷が付いたら家族全員が不幸になるんだ……」


「へぇ……」


「内部崩壊を未然に防ぐという判断で仕方無くだ……!! けして椛を犠牲にしたつもりは無い!!」


「アンタ達を見てると…… 警察が家族内の揉め事に後ろ向きなのに共感しますわぁ

仮に元春が勇気を振り絞って公的機関に相談したとしても 結果的に民事不介入だったでしょう」


「っ…… 何が言いたいんだね?」


「お前達がどれだけ自分の娘に酷い事をしているのか……

現状の青沼椛という一人の人間にどれだけ味方がいなかったのか……

干渉した時間は短いですがよく分かりましたよ」


安斎は宗平の胸ぐらを掴み 近くの壁に押し付けた


「お前ら二人がやったのは犯罪幇助だ!!!!

誰も言ってやれねぇなら俺が言ってやるよ

良い大人が揃いも揃って娘を犠牲にしといて守りたかったのは何だ?!

メンツ・世間体・ブランド・体裁 クソみてぇな理由で人間一人不幸にさせてんじゃねぇよ!!!!」


彼の向けられる目は百々の方に


「散々心的外傷を負わせといて最終的には自分が悪いだぁ?! 

テメェそれでも母親かこの野郎?!!! 自分の都合で念願の娘を産んだクセに

息子達には強く言えねぇ…… 救ってやるべき被害者の娘を低俗扱い……

そりゃぁ元春も誰にも相談出来ねぇわなぁ!!!! 腐ってんだよテメェら自覚しろ!!!!」


手を離された宗平は壁を滑るように座り込み 破片を床に落す百々も崩れ落ちる


「おいお前が使用人の中で偉いのか?」


「えっ…… あっはい!!」


高齢のスーツ姿の男にスマホを持たせる安斎は


「今すぐ医者を呼んで椛ちゃんを診て貰え…… てかもっと早くやるべきだったって分かるよな?」


「えぇ…… 申し訳ありません」


さっそく国内の大きな病院の医師を手配 柴塚はその手の支援団体に連絡を取り付けており

役に立ちそうにない両親を差し置いて 動ける者の間で次々と行動に移していく

夜が明ける頃には必要最低限のサポートを受けられる体勢が整っていた


「ありがとうございます皆さん…… まさか数時間でここまで出来るとは……」


「まぁちょっと急ぎ気味だったのはありますね

でも今回はそうしないと…… 思った以上に椛ちゃんの味方は少なかったですし……」


「心強い言葉です柴塚さん……」


「お父さんとお母さんは?」


「二人は寝室で寝ています 疲れと反省と…… まぁ混乱してるんでしょう

椛も少し安心出来たのか…… 自分の部屋で眠っています」


「仕事と家族か…… 財閥の分家ともなれば一般的な優劣が狂っていくのかしらねぇ」


「うちは特に本家の 曾祖父の代から繋がる系譜ですからね

お父さんは春義様の腹心とまで言い張っていましたから

家族よりも大事な忠誠心を持ってたと思ってます

一昨日なんて春一様が本家跡継ぎに決まって 彼を支える覚悟を決めていた様ですし」


椛の主治医を買って出てくれた国内の医者が 使用人頭と今後の話し合いをしている

日が昇り切るタイミングで安斎達依頼達成者は前庭の門の奥にいた


「岳斗さん…… 皆さん…… 重ねて本当にありがとうございました」


「お前も浪人の中で大変だろうが…… 使用人と連携を取って頑張れよ」


「えぇそのつもりです それに以前とは違います

しっかりと目標を持って次の受験で合格して見せますから」


「ハハ…… 捻くれてたのが嘘みてぇだな」


「皆さんのお陰です…… 妹は俺が守りますので!!」


元春から手渡された依頼料を受け取り ついでに岳斗からも依頼料を渡される三人

異国の地にて思わぬ報酬を頂いたトアル探偵事務所はさっそく帰って祝杯を上げた


「当加害者である長男と次男を改心させられないのが心残りですねぇ」


「仕方ねぇさ…… 無理なもんは無理だ……

リモートで詰めたとしても逃げられるのが落ち

両親が娘より仕事を優先してるなら 尚更そこら辺の糾弾は厳しいだろうな

それに探偵はあくまで調査と報告が限界で 私人逮捕は出来ねぇだろ安斎?」



「その通りだ 今回は出来る事だけ余りなく出来てたと思うぜ?

結局今あの家に住んでんのは四人だけなんだ 遠い地にいる連中なんか結局どうでもいいんだよ」



酒缶を片手に椅子で寛ぐ安斎は今回の依頼から完全に幕を引いた

一つの案件に縛られては金にならないのも事実だからだ


「デュヒヒ!! そんな記念すべき依頼達成のお三方にワシからのプレゼントやでぇ!?」


「「「 ?? 」」」


「あれを見んしゃい!!」


注目させたのはいつの間にか壁に設置されているボード

そこには数件以上の調査依頼の紙が張り巡らされていた


「こんなに来てんのかよ…… だりぃ……」


「ちょぉ待てや安斎ちゃん!! うちの部下がせっせと集めて来てくれたんやでぇ??」


「あぁ感謝はしてるよ…… だが外国だからって毛色は変わんねぇんだなぁ

浮気調査に人捜し 物探しに猫探しが主だなぁ……」


四人が互いに紙を回して確認し合っていると

安斎と柴塚だけが過敏に反応を見せる依頼があった



「どうしたんだ二人共?」



「何でバランタインにこいつらが?」


「意図的に誘ってんのか…… たまたまか……?」


その依頼主は日本宗教の一団〝革友会〟からだった



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