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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター8 ストレンジャーズ
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第96話 勝てば官軍、負ければ賊軍


春義「三年と半年前…… FBIから日本の警察にある情報が渡されてな

   北の大国へとある一通の封筒が渡ったと

   現地の潜入捜査官から連絡が入ったそうだ」


春一「とある封筒?」


春義「封筒の中身までは確認出来なかったが

   重点を置くべきは件の ファイント切手だ

   猫の絵柄が上 城塞は右向き これをどう解釈したか

   しかも差出人はNATOの軍事委員会議長らしいじゃねぇか」


春次「……イギリスやドイツも了承済みってことですか?」


春義「アメリカの見解は

   大国の侵攻を西方向から東方向に変更する為の嘆願書じゃねぇかと睨んでる

   そんな事 俺ら東側の小国が知れば世界的な大問題になり得る

   そこで巧妙な手口を要する犯罪者がよくやる手でもある海外経由

   バランタイン公国を通して中身のある封筒を送り付けたって話だ」


安斎「……………」


岳斗「ほんならバランタインの人間はもしかすればぁ……

   封筒の中身をこっそり確認しとるかもしれんなぁ」


柴塚「普通に考えればそうですよね 万が一中身が宣戦布告だったりすれば

   バランタインの人間が好戦的と誤解を生みかねませんし……」


春義「大国が近隣の緩衝地を侵略し終えれば

   次に狙われる国の中にバランタインも入って来る

   ここも安全とは言えない国だってのは確かだ

   如何にヨーロッパの姫と言われていてもな」


安斎「だがそのオタサーの姫みたいな呼ばれ方をしているこの国が

   侵攻の進路を変えさせて日本を危機に陥れていると

   そういうことなんだな?」


春義「そういうことだ

   軍事バランス二位三位の大国の攻撃が

   こちらを狙う最終目標はアメリカだろうが

   そんな最悪のシナリオが実現した場合

   日本海側の某国のミサイルが列島に届く日も遠くねぇ」


安斎「……腑に落ちないな

   アメリカもNATOに加盟してるだろ? その時点で大問題だろ?」


春義「いつの時代もどの国も

   首位から蹴落として自分の国を一番にしたいと思っている

   俺だってそうだ 日本が敗戦してからというもの

   高度経済成長期には期待したがどうだ?

   弾けてからは失意のドン底

   這い上がる根気を見せるものの経済には限界を感じさせる

   税金は上がるばかり…… 金持ちは気にしねぇとでも思ったか?

   俺らも苦労してんだよ」


春次「もし東アジアを侵略したとしても

   アメリカに敵意を示さなければ大きな戦争にはならない

   要は舐められてるってことですよね?」


春義「そうも捉えられるな そこで動きだしたのがワンシアター構想

   白羽の矢が立ったのは俺達ってことだ 不思議だろ?

   何で財団が身体を張るのか?」


妃梳「まだ四ノ海の人員収集の件も見えて来ませんわね?」


春義「誘拐した人間の運搬はうちの海運も関わっている

   そして今は四ノ海の方で施設を造り そこに詰められているが

   奴等の役目は烏合の軍隊を作り上げること

   目標に向かって爆弾抱えて突撃出来る駒をな」


安斎「何だと?」


春義「俺と四ノ海額蔵に渡された指示は単純明快

   日本やアメリカに害をなす小国を叩けというものだった

   その為の軍資金と兵隊を揃えるのが今日までの俺達の仕事という事になる

   二つの財団が今この国に滞在している時点で

   目的の八割は成功したと言って良いな

   下手に自衛隊なんぞ送り込めば怪しまれるのに対して 

   俺達は見事に潜入出来たって訳だよ」


安斎「っ……」


春義「何か言いたげだな田舎の探偵」


安斎「自分達の国が危ねぇってのも分かったよ

   だが切手一つでよくそこまで確信が持てたな?」


春義「この国で封筒の内容を知る…… 事実確認も仕事の内だ」


安斎「誘拐された人間の中に俺の知り合いもいるんだが?」


春義「……そりゃぁ不憫だったな まぁ尊い犠牲だ 命を軽く見てねぇよ」


安斎「言う事はそれだけか? 解放しろよ今すぐ 何も罪もねぇ人間をよ」


春義「残念だがこれは国の総意だ どうしようもねぇクズから手に余る孤児

   そんな奴等がお国の為に戦えるんだぁ……

   どっちにしろ戦況が日本まで及んで事態が悪化すれば

   そんな人間達を誰が面倒見れる?」


安斎「貧富の差が広がりつつある令和にまるでゴミ扱いだな

   アンタら金持ちは目先の自国民を助けるより

   有るかどうかも知れない情報に踊らされるのがそんなに重要か?」


春義「情報が入ってから現状 某大国とウクライナは停戦状態になった

   表のニュースには流れねぇがこの出来過ぎた状況を

   お前は説明出来んのかぁ?!

   けして表に出ない国家間の陰謀を無視せず 行動に移して来たのは俺達だ」


安斎「不確かでもアメリカから指示が下れば

   有無を言わさず従う危険思想にしか捉えられませんね

   アンタらのその突飛な暴走の所為で

   とある楽校の寮母さんが殺されたんだぞ?

   お前らの危ないゲームが 今までの間にどれだけの不幸を生んだぁ?!」


春義「バランタインのプライベートバンクと情報統制はヨーロッパ随一だ

   日本の公安も手を焼く仕事に

   こちとら人海戦術で後手に回らねぇように準備して来たんだ

   それをゲームって言葉で片付けられるのはちょっと心外だぜぇ?」


安斎「門脇さんはただ身寄りの無い子供を何十人も世話をしていた

   そんな人が国の為に犠牲になったとでも言うのか?

   本人は何も知らないままやり切れない表情で亡くなっていた

   当人も知らないままで誰が誇れるんだ?

   誰かが喜んで万歳三唱すれば完結か?

   ……ただ目の前の生徒を守ってそれで幸せだった彼女が

   何で殺されなきゃならなかったんだ?!」



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