古き掟
次の日、シドーはいつもより早く目が覚めていた。
「…才覚の儀式かぁ」
シドーはある程度の儀式内容は聞いたり調べたりして知っている。
鉱石の中には「魔核」と言われる魔法の源の様な石が各世界にあり、産まれて約10年には身体が魔核を吸収できる身体になり才能が開花し剣技や魔法が使える。
ただし儀式の内容には必ず10年になっている事が習わしとの事。
才能を授かるのは1人1つでは無く複数使える人もいるらしい。
シドーもいよいよ才能開花して得られるモノが使える事を嬉しくてソワソワしていた。
そして昼頃、ラーテンはシドーを呼んで村の外れにある教会を目指した。
「大丈夫だ!シドー…おち、おち、落ち着いて」
「いやいや、父さん。まずは落ち着け。歩き方もカクカクして…別に父さんが受けるんじゃないだろ?」
そんな父さんをほっといてシドーは歩きながらどんな教会なのか、内心ワクワクしながら考えていた。ラスコ村には教会があるが思っている教会とは違いがある。
才覚の儀式においては水源がなければ儀式は成立しなく教会とも呼べない。
教会だから何か宗派が存在する訳でもなくその場に集まり会す事の場所らしい。
建物が立派な作りでもステンドグラスがある神々しい物がある場所でも村や町の人々がその場に集まり会し決めなくては教会ではないらしい…
少し歩いて行くと木々で作られた門に「キョウカイ イリグチ」と書かれた看板が見えた。
文字に関しても何故だか読み書きもカタカナが共通らしく…
正直難解な文字とか覚えるんだろなと思ってはいたが現世での知識はあるのでまるで困らなかった。
寧ろ5歳の頃にカタカナの書く練習をしたら家族一同驚かれた…父さんや母さんが俺の事を優秀ともてはやしだしたのもその頃からだ…
そんな事を記憶から巡っていたら木々の間柄光を指してキラキラと輝く池の様な場所にその池の真ん中に浮かぶ浮島に建てられた木で作られた休憩所見たいな物があった。
教会に行けるのは10年経たないと立ち入ってはいけない事なってるが…なかなか綺麗な場所にシドーも驚きは隠せなかった。
仮にその浮島に伝説の剣が刺さっていても不思議ではないシチュエーションな場所に神父の様な人が立っていた。
「よく来たな。ラーテンも一緒か。この場所に来るのは娘のメイラと共に来た以来だな。」
「お久しぶりです。教会守のオット。また教会に来られた機会が何よりの祝福です。」
珍しい。父さんが丁寧な挨拶するのは初めて聴いた。
教会守、その教会を守り、儀式を取り仕切る人に贈られる名称らしく村や町にある教会守はとても敬意ある人と…まさに本に書かれた通り…
「ふぅ~、早く儀式を終わらして酒場で一杯ひっかけたい気分だ。喉乾いた…」
本当に敬意ある人なんだろか?あれ?あの人…よく見たらご近所でも酒癖が悪い人だよね?
「早速始めるか。ラーテンは離れてろ。シドーは浮島に向かい中心に立つのだ。」
「シドー。全て教会守のオットに任せればいい。」
「クッ、指が震えてきた…早く向かうんだ。」
いやいや父さん!全て任せるって大丈夫なの?指が震えてきたってアルコールが切れてきた症状だよね?ねぇ?
ラーテンの満面な笑みを浮かべて揺るぎない握りこぶし取るポーズにシドーはため息を出して浮島に向かった。
飛び石が浮島に続いている為に簡単に着いた。
その中心には台座があり現世でのクリスマスが近づくと飾る木のリース似た作り物とそのリースの真ん中に見事に赤く輝く宝石の様な物が置いてあった。
ん?良く辺りを見ると地面には見たこと模様も描かれている。
「シドーよ、その宝石に両手を触れよ。」
教会守のオットはシドーに言うと池の水に手を入れて呪文の様な言葉を唱える。
「汝、10年に達する生を迎え、才のトビラをここに目覚めん!」
すると水がキラキラと光輝き、地面の模様も描かれた場所だけ光放つ。
「は、早く触れよ!お、俺の意識が…」
教会守のオットはかなり辛そうになりながら歯を噛み締め頑張って意識を保っている。
シドーが両手を石に触れた時、周りの水が空中に飛沫を上げて雨の様に落ちてくるが、
まるで自分以外が時間がスローモーションになったかの様にゆったりと見える。
触れている宝石が光出して周りの水が一斉に宝石に群がるように包み込み、触れているシドーも全身包み込んだ。
…懐かしい姿目の前に現れた。シドーを…志堂をこの場所に生き返らせた神様の姿があった。
神様は微笑みを浮かべた瞬間、
まるで今まで何も儀式が始まってなかったかの様にその場所に宝石を触り立ちすくんでいた。
「ふぅ、儀式は終了した…シドーよ。こちらに来るがいい。」
教会守のオットはシドーを近くに呼んだ。
「何かしらの身体に特徴があるものだが…何?何もない?…シドーよ、宝石にはちゃんと触れていたか?」
「ちゃんと触れてました。全身を水が包み込む様な感覚が残ってます。」
教会守のオットはグワッと目を見開きその場から一歩後ろにのけ反った。
「つ、包み込む…だと?…何とも異端!特殊!…これは…ラーテン!この村に始まって以来の事かもしれん!異端児だ!」
「な、何を仰られるんです!?息子が異端児ですと!?」
「これは早々に村に帰り、会議する必要が出てきた。異端児の事はお前から話しておくのだ。」
「まだ息子が決まった訳じゃありません!」
かなり珍しく父さんが荒立てて口論している…何なんだ?異端児って……
教会守のオットがその場から立ち去る前にシドーに向けて話す。
「シドーよ、これは古き掟なんだが異端児と認められたら村を出る備えをしておけ」
教会守のオットは村の方に去って行った。
「父さん、村から出るって…」
「大丈夫だ!シドー…父さんも…何が何だかわからないが…大丈夫だ!」
まるで根拠のない言葉にシドーは一抹の不安が募るばかりであった。
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