あの夏の交差点に 7
ロフトについて述べる。辞書にはこうある。
ロフト【loft】 ①屋根裏部屋。倉庫などの上段。
これは間違いないし、誰が聞いても納得する説明である。ロフトというのはただ単に屋根裏部屋なのだ。しかし僕にとってロフトは特別すぎる場所である。ロフトについて辞書一冊分の説明を書けと言われればやるだろう(依頼が来ないことを心から祈るが)。
僕は悩む時、怒る時、言い訳を考える時、曲を作る時、思い出し笑いをする時そして泣く時はいつもロフトにいる。ロフトと感情を共有し、表現してきた。それはある意味では「場所」ではなく「パートナー」といったほうが適切かもしれない。感情を共有できるパートナーを持つ人もいれば、いない人もいるだろう。いやむしろ後者の方が圧倒的に多いだろうと思う。人は楽しく笑い、良い事を期待し胸膨らませる。ときには腹が立ち、悩み、泣き崩れる。これらを心から共有できるパートナーを見つけることは人生にとって大きな財産になると僕は考えている。ある人はそのパートナーが親であり、またある人は友人であり、またはペットであるかもしれない。もしかしたらご近所さんかもしれないし、セックスフレンドかもしれない。僕の場合、たまたまそれがロフトである、それだけだ。ひとつ言えることはそれが「誰であるか」はさほど関係なく「いるかいないか」が大切である。
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「君はさ、本当におかしいことを言うよね。毎回毎回、まあだから飽きないよ、君といると。それは君にとってロフトが落ち着くだけさ、分かる?」
ジョンに僕の感情の共有できるパートナーはロフトだということは理解しにくいようだった。まあ無理もないとも思ったが僕は反撃してみた。
「じゃあジョンは共有できる相手はいるのかい?」
「僕はねぇ…」ジョンはかなり困ったように見えたし、なんだか申し訳なくなってしまった。
「まあほとんどの人がいないと思うよ。僕はたまたまいて、それがたまたま人じゃなくて場所だった、それだけの話だよ」
そのとき初めてジョンの孤独の部分に触れた、そう感じた。もしジョンが孤独を感じ、それを共有する人がいなかったらと思うと少し悲しくなり、彼に対して優しくなれた。
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人は一瞬の感情の変化で、他人に対して優しくなる。他人が惨めでかわいそうにみえると協力し、励ます。しかし逆を言えば人は他人が惨めでかわいそうでなければ見向きもしない。僕はこういうのは大嫌いだが、残念ながら僕もその部類に入ってしまう。一瞬他人がかわいそうに感じてしまうと、優しくなる。自分自身、一番嫌いなところだ。大嫌いだ、なんでいつもやさしい気持ちでいられないのか。




