第4章 ジャポン誕生 第7話「最初の一歩」
【前書き】
ここまで読んでいただきありがとうございます。
第7話は、未開の地に“最初の住人”がやってくる回です。
何もなかった場所に、誰かが足を踏み入れる。
それは小さな変化のようでいて、
実は大きな意味を持っています。
ここから先は、修一ひとりの物語ではなく、
“誰かと共に生きる物語”へと変わっていきます。
その最初の一歩を、ぜひ感じていただけたら嬉しいです。
空が揺れていた。
未開の地の上空――
白い霧のような嵐が、ゆっくりと裂ける。
「……来るぞ」
修一が空を見上げる。
その隣で、アルゴが静かに反応する。
「上空に三つの反応。接近中です」
クロウが目を細める。
「三人か」
やがて――
風を切り裂くように、影が現れた。
ユニコーン形態のアルゴ。
その背に、ノクスと二人の人影。
そして少し離れて、魔法の絨毯。
嵐の中を、ギリギリで抜けてくる。
水面すれすれを滑るように降下し、そのまま地面へ。
「……来たか」
修一が小さく呟く。
ノクスが静かに降り立つ。
その後ろに、二人。
どちらも、どこか不安そうな顔をしていた。
「三名、連れてきた」
ノクスが淡々と言う。
「全員、自分の意思で来ている」
修一は一歩前に出る。
「……ありがとう」
そして、三人を見る。
「ここが、未開の地だ」
沈黙。
一人が、口を開いた。
「……本当に、何もないんですね」
若い男だった。
少しやつれた顔をしている。
「まあな」
修一は苦笑する。
「正直に言う」
一歩近づく。
「ここは、まだ何もない」
「安全でもない」
「楽でもない」
その言葉に、三人の表情が固くなる。
だが――
「でも」
修一は続ける。
「ここでなら、やり直せる」
静かに言う。
「俺たちは、ここを“ちゃんとした場所”にする」
「その途中に、立ち会うことになる」
「それでもいいなら――」
少しだけ間を置く。
「歓迎する」
風が吹く。
やがて、一人の少女が前に出た。
「……私、行く場所がなかったんです」
「魔力が低くて、仕事もなくて」
「このままじゃ、生きていけないと思ってた」
修一は黙って聞く。
「だから……ここに来ました」
「名前は?」
「……ミアです」
「ミアか。よろしくな」
次に男。
「俺はレイド」
「借金まみれでな。どうせ終わるなら、違う場所でって思った」
クロウが笑う。
「いい根性してるな」
最後に女性。
「……サラ」
「一度、全部失いました」
短い言葉だったが、それで十分だった。
修一は三人を見渡す。
「分かった」
軽く笑う。
「じゃあ――」
「ここが、お前らの新しいスタートだ」
三人の表情が、少しだけ変わる。
不安の中に、確かな“希望”。
クロウが声をかける。
「まずは飯だな」
「それから説明」
「やること山ほどあるぞ」
レイドが苦笑する。
「いきなりかよ」
「当然だ」
修一が笑う。
「ここは、そういう場所だ」
ノクスは少し離れた場所から見ていた。
「……悪くない」
小さく呟く。
未開の地に、初めての住人。
それは小さな一歩。
だが――
確実に、“国”は始まった。
修一は空を見上げる。
「……ここからだ」
【後書き】
第7話、いかがでしたでしょうか。
ついに未開の地に、人が来ました。
ミア、レイド、サラ――
それぞれ事情を抱えながらも、この場所を選んだ三人。
まだ何もない場所。
安全でも、完成された場所でもない。
それでも「ここで生きる」と決めた。
この選択が、この先の物語を大きく動かしていきます。
そして修一にとっても、ここからは“責任”のフェーズ。
守るべきものが増えたことで、
これまでとは違う決断が求められていきます。
次回は、いよいよ生活のスタート。
そして――
必ず何か問題も起きます。
ここからが本当の意味での“国づくり”です。
引き続きよろしくお願いします。




