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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第3章 アルゴ進化への道

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第3章 アルゴ進化への道 第19話 吹雪からの脱出

第19話です。


洞穴からの脱出。

そして吹雪の中での移動と、少し緊張感のある展開になっています。


それぞれの役割や成長も少しずつ見えてきた回です。

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

吹雪の中。


視界は、ほぼゼロだった。


風が叩きつける。


ゴオオオオオ!!


修一はアルゴの首元にしがみつく。


「くっ……!」


アルゴ

『姿勢補助、安定維持』


それでも揺れる。


上下も左右もわからなくなる。


前が見えない。


ただ、白だけがある。


横では――


カイゼルとクロウが魔法の絨毯に乗っていた。


だが、その絨毯も大きく揺れている。


クロウ

「おい、これ……!」


カイゼル

「……わかってる!」


歯を食いしばる。


風を押さえようとする。


だが乱れる。


強すぎる。


流れが読めない。


修一が叫ぶ。


「カイゼル!」


カイゼル

「大丈夫……!」


そう答える。


だが、余裕がないのは明らかだった。


その瞬間。


絨毯が大きく傾く。


クロウ

「落ちるぞ!」


一瞬。


カイゼルの目が変わる。


集中。


風の流れを見る。


受ける。


抗うのではなく、乗る。


リオンに言われた言葉が、頭の奥で響く。


――風は掴むもんじゃない。


――乗るもんだ。


「……ここ!」


手を動かす。


乱れた風を、押し返さない。


流れに沿わせる。


風を“乗せる”。


すると絨毯が持ち直す。


沈みかけた機体が、わずかに浮く。


クロウが低く言う。


「……やるじゃねえか」


カイゼルは答えない。


ただ前を見る。


その目は、もうさっきまでとは違っていた。


修一が息を吐く。


「……行けるか」


カイゼル

「……行ける」


短く。


迷いなく。


そして三人は、吹雪の中を突き抜けた。


風の壁を越える。


白一色の世界が、少しずつ薄れていく。


やがて。


吹雪の外。


風が弱まる。


視界が開ける。


白の世界から抜け出した瞬間、全員が大きく息を吐いた。


修一

「……抜けたか」


アルゴ

『環境安定を確認』


カイゼルの絨毯も、ゆっくりと高度を下げてくる。


クロウ

「……なんとかなったな」


だが。


修一の目はまだ緩まない。


「……リオンは」


誰も答えない。


風の音だけが残る。


時間が、妙に長く感じる。


カイゼル

「……遅い」


クロウ

「……あいつなら大丈夫だとは思うが」


そう言いながらも、視線は空に向いている。


修一は黙ったまま待つ。


そのとき。


上空から、影が落ちた。


ドンッ――!


雪煙が舞う。


カイゼル

「……!」


そこに立っていたのは――


リオンだった。


肩で息をしている。


ローブは少し破れ、腕には浅い傷がある。


だが。


その顔には、笑みがあった。


「悪い、待たせたな」


そして。


手に持っていたものを軽く掲げる。


巨大なツノ。


ブリザードドラゴンのツノだった。


「記念にと思ってな」


軽い。


あまりにも軽い言い方。


一瞬の沈黙。


そして。


クロウが吹き出す。


「……お前な」


カイゼルも、思わず笑ってしまう。


張り詰めていた緊張が、そこでようやくほどけた。


だが。


修一だけは、そのツノを見ていた。


アルゴ

『高純度魔力素材を確認』


修一

「……やっぱりな」


ゆっくりと手を伸ばす。


「これ、使える」


リオン

「だろ?」


軽く投げ渡す。


修一は受け取る。


重い。


だが、それ以上に中に詰まった力を感じる。


生きた魔物の核に近い、濃い魔力。


人工物では出せない質量だった。


「……助かった」


短く言う。


リオンは肩をすくめる。


「まあな」


「さすがに全部は無理だったけどよ」


カイゼル

「……無事でよかった」


リオン

「死ぬかよ」


軽く笑う。


だが。


全員がわかっていた。


リオンがいなければ。


あの場は抜けられなかった。


このツノもなかった。


修一はそのツノを見つめながら考える。


自分は戦えない。


少なくとも、あいつらみたいには。


リオンのように、正面から強引に道をこじ開けることはできない。


カイゼルのように、魔法を身体に通して戦うこともできない。


だが。


作れる。


形にできる。


この世界にないものを。


この世界の力と、自分の知識を組み合わせて。


足りないものを埋めることができる。


修一は小さく呟く。


「……これでいい」


誰に向けたわけでもない。


だが、その声には確かな実感があった。


アルゴが静かに応答する。


『最適化を開始します』


帰路。


一行は、ヴァルディアへ向けてゆっくりと動き出す。


来た時とは違う。


手ぶらではない。


素材。


情報。


そして、確かな経験。


持ち帰るものは多かった。


吹雪を抜け、白い山脈を背にして進む。


戦わずに済んだ幸運。


生きて帰れた現実。


それを噛みしめながら。


修一はツノを抱え、前を向く。


次の進化へ向けて。


すべては、ここからまた始まる。

}

第19話を読んでいただきありがとうございます。


無事に脱出できましたが、

今回の出来事はこれで終わりではなく、しっかり次につながっていきます。


特に今回手に入れた素材は、今後の展開にも関わってきます。


次回はヴァルディアへ戻ってからの話になります。

少し落ち着いた回になると思いますので、ぜひ引き続きお楽しみください

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