第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第39話 流入
第39話です。
人が集まり始め、
状況が一気に動き出します。
ただ救うだけでは済まない現実も含めて、
大きな転換となる回です。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
コロシアム周辺。
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混乱は広がっていた。
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「……騙されてたのか……」
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「全部……最初から……」
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怒り。
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恐怖。
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そして。
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「……助かる方法があるって……本当か……?」
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地下施設。
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人が流れ込んでくる。
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誘導係
「こっちです! 急いで!」
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足音。
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叫び。
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支える手。
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セリナ
「順番に――」
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言いかけたそのとき。
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アスクレア
「状態解析 開始」
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光が走る。
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一瞬で、
全員の状態を把握する。
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「重症者 優先」
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「軽傷者 別対応」
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アルゴ
「軽傷者はこちらへ」
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「補助班、対応開始」
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医療補助たちが動く。
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ぎこちないが、
確実に。
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セリナは重症者の方へ向かう。
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「この人から!」
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アスクレア
「処置開始」
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光。
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命を繋ぐ処置。
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カイゼルも動く。
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「こっちです、運んでください!」
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人が動き出す。
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混乱は、
少しずつ整っていく。
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修一はその様子を見る。
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小さくつぶやく。
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「……回り始めたな」
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だが。
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アルゴ
「患者数 増加中」
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「対応が追いつかなくなりつつあります」
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さらに人が来る。
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さらに。
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さらに。
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セリナの手が止まりそうになる。
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「……多すぎる……」
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その言葉。
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誰も否定できない。
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修一は静かに言う。
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「……今までのツケだ」
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沈黙。
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「助けられなかったやつが」
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「一気に来てる」
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そのとき。
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アスクレア
「警告」
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「回復不可能な症例 検出」
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空気が止まる。
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セリナ
「……え……?」
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一人の患者。
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状態が悪すぎる。
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アスクレア
「現医療では対応不可」
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沈黙。
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カイゼル
「……そんな……」
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セリナの手が震える。
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「……でも……」
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修一は静かに言う。
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「……無理なもんはある」
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一拍。
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「全部は救えねえ」
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その言葉は重かった。
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セリナ
「……っ……」
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目を閉じる。
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そして。
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ゆっくり開く。
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「……それでも」
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「救える人から、救います」
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震えながらも、
言い切る。
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修一は一瞬だけ見る。
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そして。
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「……それでいい」
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短く。
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そのとき。
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入り口で騒ぎ。
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「まだですか!」
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「もう限界なんです!」
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押し合い。
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焦り。
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恐怖。
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カイゼル
「……少し落ち着いてください!」
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声を張る。
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だが、
簡単には収まらない。
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修一が前に出る。
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「……並べ」
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低く言う。
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空気が止まる。
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「助ける」
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一拍。
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「順番にだ」
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静かだが、
強い。
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誰も逆らえない。
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流れが整う。
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だが――
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アルゴ
「外から見ている人が増えています」
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ノクス
「……来るぞ」
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空気が変わる。
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だが、
止まらない。
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治療は続く。
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人も増え続ける。
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この場所はもう、
ただの拠点ではない。
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“最後の希望”になっていた。
読んでいただきありがとうございます!
今回は医療が本格的に動き出し、
多くの人を救える一方で、
どうしても救えない命があるという現実も描かれました。
「全部は救えない」という中で、
それでも救える人を救うという選択が、
この物語の一つの軸になっていきます。
また、人が集まることで希望が広がる反面、
危険も確実に近づいてきています。
ここからはさらに緊張感のある展開になっていきますので、
ぜひ続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。
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