第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第11話 広げる方法
第11話です。
前回の出来事を受けて、
それぞれがどう動くのかを決める回になります。
静かな展開ですが、
ここから先に繋がる大切な一歩です。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
夜。
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アルベルトの家。
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重たい沈黙が流れていた。
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昼間の出来事。
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“ヴァルディア様の意向”。
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その言葉の重さが、
まだ残っている。
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アルベルトが口を開く。
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「……やめろ」
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短く、低い声。
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修一は椅子にもたれたまま答える。
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「だろうな」
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アルベルト
「軽く言うな」
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「相手が誰かわかっているのか?」
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修一
「ヴァルディア」
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アルベルト
「そうだ」
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「直属が動いた意味が分かるか?」
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修一
「目をつけられた」
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アルベルト
「それ以上だ」
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「次は“排除”だ」
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空気が凍る。
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カイゼルが小さく言う。
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「……でも」
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「助かっていました」
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アルベルト
「だから危険なんだ」
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その言葉は重かった。
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修一は少し考える。
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「じゃあ、やめるか」
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エリシアが顔を上げる。
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「……やめるんですか?」
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修一は天井を見る。
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「表ではな」
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沈黙。
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アルベルト
「……何?」
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修一はゆっくり体を起こす。
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「正面からやるからダメなんだろ」
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「じゃあ、見えないところでやる」
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カイゼル
「それは……」
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修一
「それに」
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一拍置く。
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「俺一人じゃ無理だ」
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アルゴ
「事実」
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修一は小さく笑う。
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「だろ?」
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そして続ける。
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「だから増やす」
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「やり方を教える」
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空気が変わる。
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最初に動いたのは、
セリナだった。
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「……私がやります」
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アルベルト
「セリナ……?」
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セリナは静かに前に出る。
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「私は戦えます」
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「土魔法も、火も、水も」
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「中級魔道士としての力はあります」
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一瞬、間を置く。
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「でも――」
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視線が揺れる。
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「目の前の人を、救えない」
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沈黙。
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「回復魔法が使えないから」
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その声には、
悔しさが滲んでいた。
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「だから」
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「別の方法で救えるなら」
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「私は、それをやりたいです」
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静かだが、
強い意志。
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修一は少しだけ目を細める。
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「いいのか?」
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セリナ
「はい」
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迷いはなかった。
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その横で、
エリシアが口を開く。
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「……私も」
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アルベルト
「エリシア」
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エリシアは少しだけ視線を逸らす。
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「できるかはわかりません」
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「でも……知りたいです」
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修一を見る。
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「助かるなら」
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沈黙。
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カイゼルも続く。
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「私も手伝います」
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「これは必要なことです」
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全員の視線が、
アルベルトに向く。
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アルベルトは深く息を吐く。
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「……本気か」
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修一
「まあな」
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しばらくの沈黙。
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やがて。
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「……やるなら徹底的にやれ」
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アルベルトが言った。
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「中途半端は一番危険だ」
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修一は少し笑う。
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「頼りになるな」
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アルベルト
「勘違いするな」
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「監視するだけだ」
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少しだけ空気が緩む。
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修一は立ち上がる。
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「まずは場所だな」
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セリナがすぐに言う。
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「……作れます」
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全員が見る。
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「土魔法で」
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「地下に空間を作れば」
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「外からは見えません」
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アルベルト
「……地下?」
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セリナはうなずく。
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「出入り口も隠せます」
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「簡単には見つかりません」
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修一は少し笑う。
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「いいな、それ」
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アルゴ
「合理的 秘匿性:高」
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カイゼル
「……都市外縁の集落なら」
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「人の出入りも多く、目立ちません」
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修一
「決まりだな」
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静かに、
だが確実に決まる。
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エリシアが小さく言う。
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「……助かる人」
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「増えますよね」
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修一はうなずく。
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「増える」
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その言葉は、
静かだった。
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だが、
確かな始まりだった。
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夜は深く、
静かに流れていく。
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その裏で――
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新しい“仕組み”が、
動き出していた。
読んでいただきありがとうございます!
ついに動き出しました。
一人ではなく、仲間と共に広げていく形へ。
そして、セリナの決意や、
地下という新たな拠点の構想も生まれました。
まだ小さな一歩ですが、
ここから大きな流れになっていきます。
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