第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第9話 広がる波紋
第9話です。
前回の出来事をきっかけに、
少しずつ周囲に変化が広がり始めます。
小さな出来事が、
どのように繋がっていくのか見ていただけたら嬉しいです。
翌日。
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ヴァルディアの空気は、
どこか少し違っていた。
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「昨日のやつ、見たか?」
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「魔法じゃないのに……」
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「血が止まったって」
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通りのあちこちで、
そんな声が聞こえる。
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修一はそれを聞き流す。
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「……早いな」
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アルゴ
「情報伝達 拡散中」
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カイゼル
「もう噂になっているんですね」
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修一
「まあ、目立つことやったしな」
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そのとき。
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「あなたですか?」
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声がかかる。
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振り向くと、
腕に布を巻いた女性。
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「昨日の話を聞いて……」
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修一は少し困った顔をする。
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「いや、俺は……」
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言いかけて、止まる。
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「……アルゴ」
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アルゴ
「状況確認可能」
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修一
「見てみるか」
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女性の腕を見る。
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腫れている。
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アルゴ
「軽度炎症 洗浄と冷却を推奨」
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修一はそのまま口にする。
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「まず洗う」
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水を使う。
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「それで冷やす」
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女性は不安そうに見ている。
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「それだけでいいんですか……?」
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修一
「今はな」
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少しして。
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「……痛みが引いてる」
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周囲がざわつく。
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「また魔法じゃない……」
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「なんなんだ……」
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人が集まり始める。
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「俺も見てくれ!」
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「こっちも頼む!」
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修一は眉をひそめる。
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「……ちょっと待て」
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アルゴ
「対応限界 接近」
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修一
「だよな」
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一歩下がる。
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「全員は無理だ」
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人々がざわつく。
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「じゃあどうすればいいんだ!」
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修一は少し考える。
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「……アルゴ」
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「これ、俺じゃなくてもできるか?」
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アルゴ
「手順理解で再現可能」
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修一の目が変わる。
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「……だよな」
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周囲を見る。
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「やり方教えればいいのか」
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カイゼル
「……え?」
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修一
「一人でやる必要ない」
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「知ってるやつ増やせばいい」
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アルゴ
「合理的」
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そのとき。
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アルベルトが現れる。
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「何をしている」
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空気が引き締まる。
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修一
「ちょっとな」
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アルベルトは周囲を見る。
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「……噂は本当か」
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修一
「さあな」
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少し間。
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アルベルト
「やりすぎるな」
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修一
「わかってる」
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だが、続ける。
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「だから広げる」
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アルベルト
「……何?」
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修一
「俺一人じゃ無理だ」
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「やり方を教える」
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カイゼルが驚く。
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「そんなことが……」
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修一
「できるだろ」
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アルゴ
「可能」
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エリシアが口を開く。
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「……それ」
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「誰でもできるの?」
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修一
「覚えればな」
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エリシアは少し考える。
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「……じゃあ」
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「助かる人、増える」
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修一は軽くうなずく。
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「そういうことだ」
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少しの沈黙。
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アルベルトは修一を見る。
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何かを測るような目。
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だが、何も言わない。
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通りの空気が変わっていく。
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期待。
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不安。
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修一はそれを見て、
小さくつぶやく。
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「……これは広がるな」
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アルゴ
「可能性:高」
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何かが、
確実に動き始めていた。
読んでいただきありがとうございます!
今回から、物語が少しずつ動き始めました。
一人の行動が、周囲に影響を与え始めています。
そして修一自身も、
「どう広げるか」という考えに至りました。
ここから先は、良いことばかりではなく、
さまざまな反応や問題も出てきます。
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