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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第6章 新生国家ジャポン編

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第6章 新生国家ジャポン編 第13話「帰還と次の布石」

第6章 第13話です。


ゼファード港での戦いを終え、

舞台は再びアルカディアへ戻ります。


今回は新しい仲間を迎え、

そして次の目的へ向かうための準備回です。


日常とこれからの戦い、その両方が動き出します。

光が収まり、視界がゆっくりと戻っていく。


乾いた風ではない、やわらかな空気が頬に触れた。


アルカディアに帰ってきた。


整えられた街並みが、静かにそこにあった。


「おかえり!」


サラとミアが駆け寄ってくる。


その声は、どこか安心させるものだった。


少し遅れて、ルミナが歩み寄る。


「無事だったのね」


「ああ」


修一は短く答えた。


その後ろで、ノルたちは立ち止まっていた。


目の前の景色を、ただ見ている。


怒鳴り声もない。


誰かが殴られている様子もない。


ただ人が歩き、話し、笑っている。


それだけのことが、違って見えた。


ノルがぽつりと呟く。


「……ここ、すげぇな」


ミアがくすっと笑う。


「最初はみんなそう言うよ」


修一は振り返った。


「案内する」


歩き出す。


用意されていた住居へと向かう。


建物は大きくはないが、しっかりしていた。


中に入ると、寝床も道具も揃っている。


生活に困るものはない。


ノルが壁に手を当てる。


「これ……全部使っていいのか?」


「そのために用意してる」


修一は当たり前のように言った。


他の者たちも、恐る恐る中へ入る。


誰もすぐには腰を下ろさない。


壊してしまうんじゃないか、そんな遠慮があった。


「人が増える前提で準備してた」


「街は人がいないと発展しないからな」


クロウが肩をすくめる。


「珍しくいいこというな」


「うるさい」


エルメディアは静かに周囲を見ていた。


「すでに基盤は整っていますね」


「まだ足りない」


修一は首を振る。


「人も、街も、これからだ」


その日の夕方。


落ち着いた頃を見計らって、修一はルミナに声をかけた。


「ちょっといいか」


ルミナは少し警戒した目を向ける。


「何?」


「お願いがある」


「嫌だ」


即答だった。


クロウが吹き出す。


「早ぇな」


修一は間を置かず言う。


「頼む」


「嫌だ」


「頼む」


「嫌だ」


短い応酬が続く。


周囲が少し静かになる。


修一はため息をついた。


「教育をやりたいんだ」


ルミナの動きが止まる。


「……教育?」


「読み書き、計算、知識」


「それを教える場所を作る」


ルミナは眉をひそめる。


「それを私に?」


修一は頷いた。


「怪我、まだ万全じゃないだろ」


言葉に詰まる。


ルミナは少しだけ視線を逸らした。


「でも頭は回る」


「知識もある」


「先生にはちょうどいい」


しばらく沈黙。


やがて、ルミナは大きく息を吐いた。


「いつまでやるの?」


「後任が見つかるまで」


少し考え、渋々言った。


「……わかったわ」


クロウが笑う。


「折れたな」


「うるさい」


ルミナは腕を組む。


「やるからには甘くはしないわよ」


ノルが少し不安そうに言う。


「僕もやるのか?」


ルミナは迷いなく答える。


「当然」


「できないままの方が困る」


ノルは少しだけ考え、うなずいた。


「……わかった」


そのやり取りを見て、修一は小さく笑った。


夜。


歓迎の食事が用意された。


温かい料理が並ぶ。


肉、スープ、焼いた野菜。


新しく来た者たちは戸惑いながらも、やがて夢中で食べ始めた。


「うまい……」


その一言で、場の空気が少し緩む。


ノルも黙って食べていた。


ふと手を止める。


周りを見る。


誰も奪わない。


怒らない。


それだけで、違った。


食事が終わり、静かになった頃。


修一たちは集まっていた。


話はサウスガルドへと移る。


「広すぎるな…」


クロウが言う。


「探すには時間がかかりすぎる」


エルメディアも頷く。


「情報を先に集めるべきです」


修一は腕を組む。


「どこを当たる」


ルミナが口を開いた。


「砂影の本部がいいわ」


自然な流れだった。


説明はいらなかった。


「私が所属してる組織」


「情報なら一番早い」


修一は確認する。


「大丈夫なのか?」


「問題ない」


短く答える。


そして少しだけ続けた。


「それに……うってつけの人物がいる」


クロウが眉を動かす。


「誰だ」


ルミナは言った。


「オリオン・レオナルド…兄貴も知ってると思う」


クロウは少し考える。


「ああ……」


記憶を探るように目を細める。


「いたな、そんなの」


軽く言う。


だがすぐに首を傾げた。


「ただの情報屋じゃなかったか?」


ルミナは小さく首を振る。


「あれ、上級魔道士」


クロウの表情が変わる。


「……は?」


「マジか」


「戦力になるはず」


ルミナは淡々と言う。


「情報も取れるし、戦える」


修一は頷いた。


「決まりだな」


「まずは砂影」


その時、ノルが一歩前に出た。


「僕も行く」


迷いのない声だった。


修一はすぐに首を振る。


「だめだ」


ノルが顔を上げる。


「なんでだよ」


「サウスガルドにはアルディオンという脅威がいる 今のままでは足でまといになる」


はっきり言う。


ノルは言い返そうとする。


だが言葉が止まる。


修一が続ける。


「戦えるのか?」


ノルは黙る。


拳を握る。


悔しさが顔に出る。


修一は少しだけ声を落とした。


「今は行く時じゃない」


「ここで力をつけろ」


ルミナを見る。


「教育、任せた」


ルミナはうなずく。


「任された」


修一はノルに向き直る。


「妹の情報は探す」


「見つけたら」


アルゴを見る。


『通信機能、使用可能』


「すぐ繋ぐ」


ノルはしばらく黙っていた。


そして、小さくうなずく。


「……わかった」


完全に納得したわけではない。


それでも、受け入れた顔だった。


翌日。


転移の準備が整う。


修一、アルゴ、クロウ、エルメディア。


四人。


ルミナは入口に立っていた。


「無茶しないでよ」


「そっちもな」


短いやり取り。


光が広がる。


次の瞬間、景色が変わる。


セラディウス。


見慣れた街。


修一は前を見る。


「ここからだ」


アルゴが前に出る。


『転移魔法陣確認』


『ナンバリング変更開始』


床の魔法陣が淡く光る。


『005へ更新完了』


クロウが小さく笑う。


「便利になったな」


修一は一歩踏み出す。


「行くぞ」


目的地たんぽぽ村。


その地下にある、砂影の本部。


まだ見えない情報。


まだ見つかっていない存在。


手がかりの少ない捜索が始まった。


アルカディアはただの拠点ではなく、

人が集まり、育ち、変わっていく場所になってきました。


ノルのように、すぐに戦えなくても、

ここで力をつけていくという選択もまた重要です。


そして次の舞台はサウスガルド。

情報と裏の世界が鍵になる章に入ります。


砂影、そしてオリオン・レオナルド。

新たな出会いが、物語をさらに広げていきます。

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