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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第6章 新生国家ジャポン編

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第6章 新生国家ジャポン編 第3話「繋がる街、繋がる人」

第6章 第3話です。


ジャポンへ帰還し、次に始まるのは“国づくり”だけではありません。

人と人、街と街、国と国を繋ぐ新しい時代の始まりです。


今回は再会と別れ、そして世界が少し狭くなる回です。

アルカディアの朝は早い。


港では船の整備が進み、畑では朝露の残る野菜が収穫され、広場では子どもたちが走り回っている。


新生国家ジャポンは、少しずつだが確実に形になり始めていた。


その一方で、別れの準備も進んでいた。


リシェルはヴァルディア所属の上級魔道士だ。


長く不在にするわけにはいかない。


ノクスもまた、ヴァルディアの右腕としての重要な役目を持つ存在だった。


港に集まった一同の前で、リシェルが少し寂しそうに言う。


「本当は、もう少しここにいたいんですけどね」


クロウが笑う。


「仕事持ちは大変だな」


「クロウさんが自由すぎるんです」


「否定できねえ」


そのやり取りに、ルミナが呆れたようにため息をつく。


修一は皆を見渡して言った。


「今回は俺とアルゴも行く」


「向こうにも転移魔法陣を作るためだ」


エルメディアも静かに続ける。


「起動には私の光魔法が必要です」


「同行します」


リシェルは嬉しそうに笑った。


「助かります!」


クロウは肩を回しながら言う。


「じゃあ今回は俺とルミナは留守番だな」


「家でも建てるか」


ルミナが眉をひそめる。


「勝手に決めないで」


「でも住む場所はいるだろ?」


「……それはそうね」


アルカディアでは、石材の切り出し、木材の加工、簡易水路の整備など、修一が持ち込んだ知識で町づくりが進んでいた。


ルミナは昨日からその光景に驚きっぱなしだった。


水を高い場所から流して各所へ届ける仕組み。


簡易かまど。


保存食の技術。


道具の分業。


魔法に頼らず、人の知恵で暮らしを良くしていく世界。


クロウが得意げに胸を張る。


「どうだ、俺たちの国」


「すごいでしょ」


ルミナは素直に頷いた。


「……悔しいけど、すごいわ」


「魔法がなくても、ここまでできるのね」


クロウはニヤリと笑う。


「しかもまだ発展途中だ」


「俺の家は三階建てにする」


「やめなさい、倒れるわよ」


そんな会話を背に、修一たちは再び船へ乗り込んだ。


まず向かうのは、カイゼルの治める街だった。


数日後。


船が港へ着くと、城門前には見覚えのある顔が並んでいた。


銀髪を風に揺らすカイゼル。


その隣には、落ち着いた表情のセリナ。


そして少し離れた場所に、エリシアとアルベルトの姿もある。


カイゼルが先に口を開いた。


「遅い」


修一は苦笑する。


「帰ってきて早々また来たんだから許してくれ」


次の瞬間、カイゼルの表情がやわらいだ。


「……無事でよかった」


その一言に、修一も少し胸が熱くなった。


セリナが笑顔で頭を下げる。


「お久しぶりです」


「医療の方、広がってますよ」


修一の目が輝く。


「本当か?」


「ええ」


「手洗い、煮沸、傷口の洗浄」


「最初は皆半信半疑でしたが、効果が出ています」


修一は嬉しそうに笑った。


「それはよかった」


エリシアが走ってくる。


「修一ー!」


勢いよく抱きついてきた。


「また変なの連れてきたの!?」


エルメディアが少し首を傾げる。


「変……ですか?」


アルベルトが慌ててエリシアを引き戻す。


「失礼だぞ!」


皆が笑った。


その日の午後、街の会議室で今後の話し合いが行われた。


修一は地図を広げながら言う。


「俺は、転移魔法で世界中を繋ぎたいと思ってる」


「この街も、その一つにしたい」


カイゼルが腕を組む。


「便利なのは分かる」


「でも、行き先が増えたら混乱しない?」


修一は頷いた。


「そこなんだよ」


そしてアルゴを見る。


「魔法陣に番号ってつけられないか?」


「電話番号みたいに」


部屋が静まる。


エルメディアが首を傾げた。


「電話……とは?」


「まあ、識別番号だ」


アルゴが即答する。


『可能』


『各転移魔法陣に固有番号を付与』


『起動時に指定入力することで任意地点へ転移可能』


セリナが驚く。


「そんなことまで……」


修一は笑った。


「これなら、どこからでも好きな街へ行ける」


「物流も、人の移動も一気に変わる」


カイゼルは深く息を吐いた。


「……相変わらず、やることが大きいわね」


「嫌いじゃないけど」


その日のうちに、この街の地下にも転移魔法陣が描かれた。


番号は「002」。


アルカディアが「001」。


世界が少しずつ線で結ばれていく。


翌日。


一行はヴァルディアへ向かった。


リシェルの本拠地であり、北方の重要都市だ。


到着すると、街の代表者たちはエルメディアの姿に緊張していた。


リシェルが前へ出る。


「こちらはセラディウスの大賢者、エルメディア様です」


ざわめきが起きる。


大賢者。


しかもエルフ。


その肩書きだけで空気が変わった。


エルメディアは静かに頭を下げる。


「本日は友好のために参りました」


その落ち着いた態度に、街側もすぐに姿勢を正した。


許可はすぐに下りた。


ヴァルディア地下施設に転移魔法陣が描かれる。


番号は「003」。


エルメディアが光魔法を流し込み、起動。


淡い光が走る。


『接続完了』


『転移網拡張成功』


リシェルが感動したように呟く。


「……本当に、時代が変わりますね」


その後、通行紋章の授与が行われた。


リシェル。


ノクス。


セリナ。


カイゼル。


リオン。


それぞれの手の甲へ、光の紋章が刻まれていく。


カイゼルはそれを見つめながら言った。


「これで、いつでも行けるのね」


修一は頷く。


「ああ」


「会いたい時に会える」


エリシアが飛び跳ねる。


「じゃあジャポンのお祭りにも行ける!?」


「もちろん」


「やったー!」


リオンは腕を組んだまま小さく笑った。


「便利な世の中になったもんだ」


やがて別れの時間が来る。


リシェルは修一へ向き直った。


「本当に、お世話になりました」


「またすぐ会えるだろ」


修一が笑って答える。


リシェルも笑った。


「そうですね」


ノクスは短く言う。


「何かあったらすぐ呼んでくれ」


「ああ、頼む」


皆がそれぞれの場所へ戻っていく。


だが、以前とは違う。


距離はもう、絶対の壁ではない。


修一は起動した魔法陣を見つめた。


一つの国を作るだけでは足りない。


繋がる世界を作る。


それが、ジャポンの次の使命だった。

転移魔法陣によって、距離の概念が変わり始めました。


これまで何日、何週間とかかっていた移動が、一瞬になる。

それは戦争にも使えますが、修一が目指すのは交流と発展です。


仲間たちもそれぞれの場所へ戻りました。

けれど今までの別れとは違い、いつでもまた会える。


世界は確実に変わり始めています。

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