第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第3話 境界の外側
第3話です。
ヴァルディアへ向かう途中、
都市の外側の様子が描かれます。
これまでとは少し違う空気感を感じていただけたら嬉しいです。
街道を進み、
三人は小さな街へと入った。
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ヴァルディアの外側に広がる、
人々の生活圏。
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建物は古く、
道も整っているとは言いがたい。
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神谷修一は、ゆっくりと周囲を見る。
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「……さっきの港と、だいぶ違うな」
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カイゼル
「ここは都市の外縁です」
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「誰でも出入りできます」
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そのとき。
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近くを通った子どもが、
アルゴを見て足を止める。
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「……それ、何?」
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アルゴ
「AIユニット アルゴ」
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子どもは首をかしげる。
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「魔道具……?」
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母親らしき女性が慌てて手を引く。
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「こら、失礼でしょ」
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去り際に、小さくつぶやく。
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「珍しいものね……」
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修一はそれを見て、小さく笑う。
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「まあ、そうなるよな」
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カイゼル
「見たことのないタイプです」
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アルゴ
「同意」
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さらに進む。
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人の流れの中に、
違和感が混ざる。
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鎖をつけられた人間。
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修一の視線が止まる。
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「……あれは」
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カイゼルは、わずかに目を伏せる。
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「奴隷です」
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短い言葉。
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修一は、しばらく見ていた。
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だが――
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何も言わない。
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ただ、
その光景を“理解するように”見ていた。
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やがて視線を外す。
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「……ちょっと座るか」
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カイゼルは少し驚くが、うなずく。
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入った店は、
決して綺麗とは言えなかった。
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木の扉は歪み、
椅子も不安定。
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修一
「……ちょっと不安だな、ここ」
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カイゼル
「……ですね」
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だが。
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料理は――
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「……うまいな、これ」
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修一は素直に言う。
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カイゼルも少し驚いたようにうなずく。
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アルゴ
「栄養状態 良好」
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少しだけ空気が和らぐ。
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食事を終え、
水を口にする。
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修一
「で、このあとヴァルディアに入るのか?」
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カイゼルは表情を引き締める。
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「はい」
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「ですが――」
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少し間を置く。
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「結界があります」
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修一
「結界、か」
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カイゼル
「認められた者しか通れません」
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修一
「どうやって判断してるんだ?」
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カイゼル
「紋章です」
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「許可された者には、体に刻まれています」
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修一は少し考える。
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「……なるほどな」
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カイゼルは続ける。
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「修一は」
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「そのままでは、通れません」
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はっきりと言う。
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修一は、軽く息を吐く。
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「……だよな」
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少し沈黙。
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カイゼル
「……すみません」
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修一
「なんで謝るんだよ」
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カイゼルは目を伏せる。
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修一は静かに言う。
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「一緒に来てる時点で、もう関係あるだろ」
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カイゼルは目を見開く。
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修一は軽く椅子に寄りかかる。
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「やり方はある」
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カイゼル
「……え?」
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修一は少しだけ笑う。
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「カイゼルが先に入る」
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「それで、お兄さんに会ってもらう」
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「事情説明して、許可もらう」
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カイゼルはしばらく考える。
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そして、ゆっくりとうなずく。
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「……それなら、可能です」
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修一
「これが一番現実的だな」
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立ち上がる。
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外の街。
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そして、その先にある都市。
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修一は、もう一度だけ振り返る。
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先ほどの奴隷たち。
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何も言わない。
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だが――
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その目には、
確かな“認識”があった。
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「行くか」
読んでいただきありがとうございます!
都市の外と内、その違いが少しずつ見えてきました。
そして、ヴァルディアへ入るための問題も出てきます。
ここから先は、よりこの世界の仕組みや現実に触れていく展開になります。
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