セブンファミリー再度集結
そしてそれは本当に突然だった。
「悪いが、お墓参りに付き合ってもらう。」
バレンタインのあの件がすぎてすぐのこと…だった。
「どういうことですか!?」
「月城家の墓参りなら、先生は関係ないのでは?」
「大ありなんだよ!」
なんでまた?
これやっぱりなんか裏がありそうだ…
今回、いきなり呼ばれたのは
私とキキちゃんと相原君。そして今回メイド代表の付き添いでララさん。
めずらしく二央は呼ばれていない。
二央曰く「学校さぼれるから、そういうの付き合うけど?」と不謹慎なことを言っていたが、月城が全力で断っていた。
「これも各家からの発注あってね。星子君、君には墓参りのついでにあってもらいたい人がいる。
そして、君にはライバルには勝ち抜いていただきたい。」
なんだそれ?
すっごい意味不明に利用されてる感あるんですけど…
といきなり連れていかれた先は…
また、あの例の尼寺…
なるほどね…そこで、相原氏は必須なわけで…
やっぱり、例のごとくはいる前に髪を切られるという儀式には一悶着あった。
「何をなさるのですっ!」
実はキキちゃんは鈍感すぎて、髪を切られてしまうまで全く気付いてなかったのだが、それを見ていたララさんがすごい勢いで相原に怒っていた。
「女の子の髪を許可なく切るなんて!許されることだとお思いですか!?」
怒るのは無理ないだろう。こんな非常識なこと。
「ララさん落ち着いて…。」
「これが落ち着いていられますか!!?」
「私、ここに一度来たことがあるから判るのですが、このお寺に入る前に女性はほんの少しの髪の毛を切って預けるのが儀式らしいのです。」
「そうなの?」
「はい、私は以前ユキとマチ子さんと一緒にそれ受けました。
だから、ララさんにもそこは受け入れていただけらありがたいです。」
「マチ子さんって…林野さんの…。え?じゃあ…」
どうも、ララは自分より格上であるマチ子さんですら、そうだったということが判ると、しぶしぶ相原から髪を切られていた。
どちらにせよ、月城家の使用人はみんな、髪は相原に切られているのでそこまで嫌がることはまずなかった。
そこでもララがものすごく不機嫌にしていたので、
「あ、一度この儀式をすれば次からはしなくてもいいらしいですよ。」
と言ったらホッとしていた。
たどり着いたら、大変な数の人数が集まっていた。
前回パーティで見たあの七つの一族方々が集まっていた。
「各家の代表が集まって、合同墓参りだよ…」
なんでまた…
「うちからは特に何もなかったのだけどね。
なんか、ここ数日の間でいろいろと各家からの発注が出てきた家が多かったから、いっそここで集まって話し合おうということが急遽決まったんだよ。」
また面倒なこと…
「まず、前回のパーティで日渡家と唯一合流できなかった水谷家がね。どうしてもそこを何とかしたいということを言い出してね…。」
げーーーっ!!それマジで最も関わり合いになりたくない交流じゃん。
「でね。その有効期限というのが本来なら、日渡家の洋生くんの誕生日である5月23日まででいいのだけどね。できれば、全員が生粋の同い年である期間がベストらしくてね。
11歳メンバー最年長の土取家の次男源次君が、明日2月17日で誕生日を迎えてしまうために急遽行われることになったというわけだよ。」
ホントこだわりにこだわりぬく一族ですこと…
「それでね…あともう一つの家からも発注があってね。」
ってまだあるんかよ!
と思っていた時だった。
「お忙しい中、お集まりいただいて大変ありがとうございます。」
と集いの会が始まってしまった。
誰が司会として切り出していたかといえば、中学生ぐらいの少女だった。
あれ?あの子どこかで見たことがある?
「早都江ちゃん。」
その子の名前を呼んだのはキキだった。
「あ、久しぶりだね。」
「ここに住んでいたのね。」
「んーそういうところですかね?」
ここにいるということは、この子は…
「私、水谷家の次女。水谷早都江と申します。
この度、水谷家の当主であります水谷香奈江より、司会進行役を承りました。
本日はお忙しい中お付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。」
これ、本当に13歳?という落ち着きであった。
はっきり言って、当主にするならこの子の方が向いているのでは?とさえ思えるぐらいだ。
でも…あの変則的なしきたりがある水谷家の当主になるのは、やっぱり嫌であろう。
そこで
「ふざけるなよっ!!」
と騒ぐ者がいた。
「なんで、こんな小娘に仕切られる会合に付き合わなきゃならんのだよっ!!?」
「あなたやめてください…」
「旦那様。ここは抑えて…」
その騒いだ一族の妻と執事らしき者が必死で抑えている。
「金田君…またか…」
月城はその時ボソッとつぶやいたが確かに聞こえた。
「確か平和的に済むとかでしたよね?」
「まぁ金田くんのところとは特にとは思っていたけど…」
なんかそれどころではない状態になっていた。
「だいたいなー!聞いた話、お前んとこの代表がやらかしたのが原因だろうがっ!!」
と金田家の当主はカンカンに怒っていた。
「その節はうちの代表が大変申し訳ございませんでした。」
早都江は13歳とは思えれないほど真摯な態度でお詫びをしていた。
「うちはな!そんな非常識な者とは一切かかわりあいになりたくないんだ!そんな奴と再度合わせてくるとは恥知らずな!」
というか恥知らずなのはどっちだよ!?と言いたくなるような態度だ。
これどうなるんだよ?
こんな若くて経験も浅い華奢な少女がこの場を治められるとは到底思えれなかった。
「そこはご心配なさらなくても大丈夫です。」
「は!?」
「実は前回の代表とは別にもう一人。代表になれる者を見つけてきましたので、この度は前回とは別の代表者をご紹介いたします。」
「……」
その一言で、金田家の当主はその場は一応静まった。
「では、ご案内いたしますので、皆様は私についてきてくださいませ。」
始まってすぐに移動をすることになった。
移動をする最中にも金だけの当主は…
「どーせまた、妾腹の誰かのガキだなこれー。ほんっと要領悪いったらありゃしない。」
品のないことばかり言っていた。
これ、火口家の方々も聞いているんだよね?
というか、金田が言っていることは、火口家のそのままな事情だったから、火口家の方々はホント気分を害しているであろう。
なるほどね。
ここまで変な人がいる一族とうまいことやっていかないといけないとなると、その平和の懸け橋というものはかなり重要になってくるわけだ。
案内されたのは水谷家の墓の目の前だった。
そこには各家の7つの墓が並んでおり、その丁度センターに立っているのが水谷家の墓であった。
「なんだー。わしら一族の墓じゃねぇか?」
とまた金田。
こいつはいちいちうざい。
「はい。その通りです。」
早都江はまた落ち着いた口調で答える。
「ここには、すでに私の弟である英三が眠っております。」
弟?って水谷の家は?
「ご存じの方もいらっしゃると思いますが、水谷家では男児が生まれるのは稀だと言われております。」
そうだ。悟志がいるにもかかわらず、こんな近年で男児が生まれるのもまた信じられない。
「仮に生まれても何らか障害を抱えていたり、英三みたいに夭折してしまうことばかりなので、水谷家では女性が受け継ぐきまりになっております。」
水谷家がよく聞くような女系の家系ということはすでに知ってはいる。
「そこで、ここで眠る英三は生きていれば、ここにいる各家の代表の方々と同じちょうど11才であります。」
「それほんと?」
「はい。本日はたった3日しか、この世に生を受けることができなかった我が弟、英三の存在を知ってもらいたく、この会合を開きました。もしよろしければ皆さんで、弟のお墓参りをしていただけないでしょうか?」
さすがの金田も一族の本筋である故人を冒涜することはできずに、おとなしくなっていた。
「なお、こちらが英三の予言書です。」
初めて公表されてみた預言書だが、漢字以外はみんなカタカナで書いて会って読みにくいものあったが、
”水谷家の問題で困った時は、この者のお墓参りをして解決するといい”
と一文には記されていた。
なるほどこれを見て慌てて、この会合を開かれたということになる。
まずは、各家の代表が前に出て手を合わせることになった。
日渡家の洋生くんが水谷家のお墓に薬入れみたいな小箱を備えた。
「あれ?それ?俺たちにくれたのと同じ印?」
「んーまぁ各自違うものだけど、一応交流を持った証としてね。」
どうも、洋生くんは一人一人に何か贈り物を用意していたらしい。
「これ、ここに置いていきます。いいですよね?」
「ありがとうございます。ではお受けしました。」
なんか奇妙な感じはするけど、もうこれはこれで交流としか言いようがない。
「あの、私もここに来る前にクッキー焼いてきたのですが、一緒にお墓においてもいいでしょうか?」
「あらありがとう。英三も喜ぶわ。」
キキも自分が焼いてきたクッキーを備えていた。
「そうだ。早都江ちゃんや皆にもこれあげるね。」
キキはみんなに配っていた。
私もいつの間にそんなもの作ったんだ?と疑問だったが、お墓参りということを私たちの中で一番に聞かされていたらしく、急いで作ったらしい。
「あらありがとう。私がもらってもいいのかな?」
「お、うまそうじゃないか。ありがとう。」
本当にお墓参りというより、お墓の前で交流会になっていた。
私は一番気になっていた今回の主催者である、早都江に話しかけてみた。
「あの…早都江さん…あなったってもしかして…。」
「お察しの通り、私はこの寺で尼になる身としてこちらに身を寄せています。」
すでに知っている様子だった。
「水谷家では長女は後継ぎ。末娘はお寺行きと決まっているのです。」
「…」
ってそれで納得なのだろうか?
本当に狂っている。
「それで納得なのか?とおっしゃりたいのも判りますよ。」
「え?」
すべて見抜かれている…
「あの狂った家に残るぐらいなら、ここにいた方がずっとマシなんです。」
まぁ確かにそれはそうかもだけど…
「では、残った水谷家の中間娘はどうなると思います?」
とすごく意味深なことを言っていた。
「そこもまぁ詳しいことは教えられませんが、私目線からすると娘の中で最も貧乏くじだと言い切れますね。」
「!?」
「私は大丈夫です。一応、ここから私立のいい学校にも通わせていただいてますし、このまま大学まで出ることができれば、ここの幹部につけることは約束されてますので、そこにたどり着くまで頑張るのみです。」
この早都江という少女はかなりできる人物らしい。
「それでは」
早都江は、あくまでお役目は終わったかのようにその場を静かに去っていった。
そして、月城がさっき言いかけていたことが、私に最も関係あることだった…。
というか、本当なら関係したくないことでもあったが…
今度は火口家の当主から、
「こんにちわ。ほとんど知られていないかもしれませんが私が火口家の当主火口れい子です。」
この人が二央の曾祖母にあたる方か…
60代後半とは聞いたが、それでも本当におきれいなお方だ。
それでも美人だった面影はしっかり残っているのだからすごい。
「大変お恥ずかしいことなのですが、この度遠縁の親族を再度預かることといたしました。
紹介します。」
「側 希実と申します。」
本家の血筋である二央ほど美形オーラを放っているわけではないが、それでも今集まっている11歳の中では、やっぱりぶっちぎりでイケメンだ。
のぞみって名前か…イケメンとはいえ…男の子かな?女の子かな?名前的には微妙だ。
「以後お見知りおきを。
希実は何分、今まで庶民として生きてきたため、きちんとした教育が整っておりません。
一応、跡取りではございませんが、私たち火口家代表もそろそろ年齢的にも厳しくなったので、若い人に譲ることを考えております。一応これからも各交流会には参加させたく思います。」
「そこで…」
ほとんど顔しか見てなかったので、話はさっぱりだったが…
「希実が小学生を卒業するまでのこの先約一年間。
この中の一族のどこかの家で預け、そこで希実に教育を施してほしいというお願いに参りました。」
それを聞いたとたん。
その場はものすごくざわつき始めた。
あの美形の名門、火口家からの依頼である。
食いつかない家などない。
美形なのが原因で、外部とは滅多に接触を持たないあの火口家からの依頼である。
無視しない家などない。
なるほどね。
「本日は各家より、すぐれた家庭教師を連れてくるように発注いたしました。
各代表の方はこちらにお集まりいただけないでしょうか?」
それで月城がの火口家と関わりを持つために躍起になっていたわけか…
で、私が月城家にいるラストの年…でその仕事を押し付けようとしてるのか?
まてよ!
私だって、就職とかの問題で忙しいんだけど?私の事情も考えてますか?このおっさん?
と言いたくもなった。
これ…行きたくない…絶対にイヤだ!!
そう思っている時だった…
火口家の当主の周りにはもうすごい人だかりになっている。
家庭教師候補たちが必死で、アピールしている。
あの金田家の家庭教師なんか、もうすごい勢いで迫っている…
ホント品がない…
その態度に当主様は本当に困っていた。
そこへ
「何をしているのだね!君も早くあの場にいって、あの子の家庭教師の座を奪ってくるんだ!」
と月城が私に耳打ちをしてきた。
「え?」
それどころか、どん!と背中を押されて…
その面接の渦から少し離れたところであったが、押し出されてしまった。
それでもかなり目立ってしまった。周りは私のことを「ああアイツも家庭教師代表かよ」もう丸わかりだった。
もう私は余計に恥ずかしくなってしまって、とてもじゃないけどその輪の中には入っていけなかった。というかそんなことしてまで、手に入れたいと思える仕事ではなかったから、もうこのままでいいやとさえ思っていた。
「お静かに!」
火口家の当主のその一言で静まった。
「決定しました。」
どうやら決定したらしい。
「そこのあなた!」
「え?」
気が付いたら、火口家の当主の目線は私に向けられていた。
「あなたにきめました!さぁこちらへ。」
ちょちょっと…
私はためらっていたら、火口家の執事らしい人がこちらに来て手を引いて連れていかれた。
「なぜですか?」
例によってまた金田家の家庭教師はそれを口にした…
「…」
「…」
「…」
「納得いきません!!」
やっぱり金田家の家庭教師が一番うるさい
「おだまんなさいっ!!」
さすがに当主もキレていた。
「あなたたちは品がなさすぎます!それだけです!!」
なにそれ?
ただ単に欲がなかっただけで選ばれるって?
そしてギャラリーでは月城が「星子ちゃんナイスー」と言わんばかりなガッツポーズをしていた。
もう何なんだ…
「よろしくお願いしますね。」
と当主は私に微笑んできた。
「ところであなたは…」
と多分どこの家の者と聞かれる思ったので。
「あの…大変いいにくいのですが私…月城家の者で…その…できれば…希実さんのおつきの方はなるべく年配の方をお勧めします。」
とこっそり言っておいた。
「また月城ですか…」
正直、月城とは一度問題を起こしたので、取り下げたいのがこの人の本音だろう。
「そうですね…そうさせていただきます…」
でも、今回月城家以外の家の者を見るとそうとも言ってられないのがこの人の本音だろう。
だから、ここで簡単にも取り下げることなどできない。
こうして、私は月城の思惑通り、結局この家庭教師バトルにも勝利してしまった。




