キンキンとんでも譲位式
いろいろあって、新年あけた。
あの年末キンキン騒動。
あれやっぱり、ストリップやっていたのは、やっぱり曜子を騙った小夜だった。
と小野坂さんから、メールが届いた。
ホントあれに一瞬驚きはしたが、曜子がおとなしく月城のいいなりになるとは思わない。
仮に、この一族特有の謎の催眠薬を打たれたとしても、曜子には効かないような気がする。
いや、その前にあの曜子なら、あの無敵のキンキン声で回避できるのはありえる。
あの時、さすがに驚いたが、結構冷静になれていた。
で小夜がステージに立っている時、曜子は観客席で特別な椅子に座らされ、手足頭を固定され、口には猿ぐつわされて「うーうー」うめいていたらしい。
ついでに後ろから小野坂さんに目まで固定され、しっかり目を開かされて無理やり観客として参加させられていたらしい。
観客席は大盛り上がりだったので、誰も曜子のうめき声には気が付かなかったし、曜子には見向きもしなかったし、曜子の存在そのものにも誰も気が付かなかったという。
それって…もう曜子に対してリンチでしかない状況だ。
結局、曜子は観客席に座らされただけで済んだらしいが、
「いいかね。今度私たちの目の前に現れたら、ただじゃすまないと思うんだよ。」
と月城から、こっぴどく叱られたらしい。
「そして、もしこのことを外部にばらした日には、君と君の両親ともに消すとおもえ。いいな!?」
その時、曜子は目に涙を浮かべたまま、頷くしかなかったようだ。
恐ろしいことに、月城はホント自分に害あるものは半端なく容赦ない。
絶対に敵に回してはいけない人物だと思えた。
それと同時に、何が何でもまともな就職先を見つけて、この世界から離脱しないとやばいと思った。
それにしても…
あのクリスマスパーティの二次会が大人のお楽しみ会だったなんて、またとんでもないことを知ってしまった…。
そうなると二央もいずれはあの大人のお楽しみ会とやらに参加するのであろうか?
「なんだよ?」
気づけば二央の顔を、じーーーーっとみていた。
「お前、あのおっさんと喋りに行ってきてから、変だぞ。」
「あ、ごめん…」
一応は謝ってはいるが、
そりゃそうだ。
あの時に二央やユキの秘密を一気に知ってしまったのだから…。
まぁユキの秘密はホントにすぐにでも話して、お母さんのことを少しでも教えたいとは思うけど、二央の場合は二央が18歳になるまでこの話は厳禁とされている。そのため、二央の問題が解決しない限りは、ユキのことを話すにしても無理なんだよな。
来年の10月まではこの話を封印しないといけない。
「なあ、あのおっさんと何かあったのか?」
すごい疑われている。
「いやその…。」
幸助さんはものすごくいい人だ。でも…問題は…
「これはこれは月城家の跡取り様とお嬢さん方、新年おめでとう。どうか本年もよろしくお願いしますよ。」
この人だ。
そうこの人、水谷悟志だ。
どうもこの人は水谷家で珍しく男で生まれてきた奇跡の存在。
この水谷家で生まれた男子は病弱で夭逝したり、何らか障害を抱えて生まれてくることが多いので、基本後継ぎは長女になるのが決まっている。それなのにだ。今の隠居である香奈江の曾祖母は珍しく男の子を生んだのであった。それが悟志である。
もちろん、水谷家の男はあてにならないことが多いため、正式な跡取りではない。が、一応かれこれ51年も生きているので、仕方なくこの水谷家に住まわせてもらっているとのこと。今の主の香奈江の祖母弟だ。
ただこの人、はたから見れば本当に健康そのものかもしれないが、実は異常なぐらいな性欲の強さで、かなり問題ある人らしいので、絶対に近寄らないようにと幸助さんから、あの後言われていた。
なんと、奴はすごいことに10年ぐらい前にまだ結婚できない中学生を孕ませてしまい、その責任を一応とったそうだ。
何も、そこまで責任取らんでも…と言われそうだが、また例の予言書には「悟志の子供は、後にも先にも一人のみ。それを生かすも殺すも水谷家次第」だったらしく、仕方なく子孫はなるべく残すという形をとったらしい。
月城と同じく、中学生にまで手を出したことがあるエロオヤジだ。
幸助さん曰く、目を付けた女は確実に手を出していくらしい。
そして、あのパーティで小夜や他のストリップ嬢とか、つまみ食いしまくっていたと自慢げに話していた。
ここは何が何でも、私は月城の娘を演じなければならない。
火口家のあの件が正しければ、月城の娘と主張している限りは無事なはずである。
幸助さんがいっていたのは、まさにこのことだと今になって思い知ったのだ。
ただそこで気になる点もあるにはあるが…
「あけましておめでとうございます。」
一応挨拶はしておいた。
二央やユキたちは次々に挨拶する中、私が一番最後の挨拶となってしまったが…
この先、関わるかどうかなんてわからないから、今年もよろしくなんてこと言いたくもないから言わないで置いた。
「おや?今年もよろしくはないのですかね?」
「……」
ここは笑ってごまかそう…
「んもう、寂しいですよ。これからもよろしくしてくれないとー。お互い、親族みたいなものだしー、長い付き合いになるのですからーーーw」
こっちが適当に距離取ってるのに、悟志はぐいぐいと距離詰めてくる。
「それはそうと君、月城さんの娘しては結構年いってる思うんだけど、いくつ?」
うわー…これまずいかもしれない…
「え?二十歳ですけど…なにか?」
「えーーーーーっホントにーーーー!?」
と言いながら顔まで近づけてきて、じーーーとみてきた。
うそ。
私、もうそんなに年取って老けて見れるん?
ってよくよく考えてみたら、月城さんって自分の娘たちを二十歳すぎるまでに嫁にやってしまうような人でした。なので、このパーティに20代では参加させないということをすっかり忘れていた。
「まぁいいや。まぁ去年は双子のお姉さんが来てたしな。そうなると…」
そうだ。確かにアキとフキは20代どころか30代だ。
そこへ
「月城家のみなさん。あけましておめでとう。」
今度は幸助さんが来た。
「あ、幸助さん。あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。と父の代理でご挨拶させていただきます。」
もうさっきとは大違いな挨拶をしてしまった。
さすがにそれには悟志も気づき
「なんだよ?俺の時とは大違いじゃないかー!?水谷家の身分的には俺の方が上だぞーーー!」
と悟志はギャーギャー言っているが
「悟志さん。あまり騒ぐと余計に怖がられますよ。」
「もういい!ホントになんて無礼な娘だ!」
とブツクサ言いながら、悟志は他のところに行ってしまった。
「大丈夫かね?」
「ええ、何とか…」
「本当にうちの義叔父上が申し訳ない。」
まぁあの人はホントに好き放題やってて困る。
いきなりゲストルームまで押しかけてきた事さえあった。
その時はたまたま部屋に二央だけいなくて、だれかがすぐ気づいて水谷家の使用人が総勢で、とめてくれたからよかったものの、誰もあの時通りかからなかったら、大変なことになっていたに違いない。
とにかく水谷家の問題はこのエロオヤジなのだ。
そして…
水谷家との仲たがいな関係は、私と悟志氏だけの問題ではなかった。
なんと、
ユキと香奈江
キキと悟志の一人娘である利江
もまた、仲が悪い様子ではあった。
そしてよりにもよって、彼女らは同学年であり、ほぼ同い年。
まぁさすがにユキと香奈江は、嫁入り前と嫁入り後といった大きな違いはあるゆえに判らないわけでもない…
ユキに聞いた話。意味不明にかなり子ども扱いされ、マウント取られたらしい。
まぁユキ目線、あの時の花嫁が香奈江だったことにはまだ気づいていないらしい。
あれほどまでに結婚を嫌がっていたのに、今ではすっかり自分が大人になったことに酔っているらしい。
ホントすごい変わりようだ。
初夜明けから、年末までずっと引きこもっていたくせに…新年早々から、でかい顔に戻っているのだから、こちらとしてもあまり気分はよくない。
問題はキキの方…
「せっかく同い年の女の子がいるのだから、仲良くしてきたら?」
「……え………?イヤっ…」
え?なんで?
と聞きたくなるぐらい、キキは利江を拒絶している。
「お願い…一人にしないで…。」
いくら、キキが人見知りとはいえ、これはなんかひどい気がする…
「あなたたち、結婚式を見てた時は仲良くしてたじゃない。」
そうだ。
確か、あの時乳母らしき人と、ユキとキキのほかに女の子が二人いたはずだ。
利江ともう一人は香奈江の妹(13歳)だったそうな。そして香奈江の妹は結婚式が終わり次第、元の預け先に帰されたと聞いた。これまた水谷家の事情はよく判らないが、香奈江の妹は別のところで預けられているらしい。ユキもキキも香奈江の妹とは仲良くしてできそうだったらしいが、すぐに帰ってしまったのでがっかりしていたと聞いた。
「私、乳母の野々山さんは、お菓子作りとか教えてもらえて大好きだけど、あの子とは絶対に仲良くなりたくない。」
「実は私もかな…。あのこは正直キモい。」
「え?」
まさかユキの口から「キモイ」なんて言葉が出てくるとは思わなかった。
ユキはそこらのJKとは違って、やっぱり言葉使いはしつけられてるせいか、まともな方だとは思う。
そのユキが?「キモイ」とまで言う少女って?
イヤおっさんならまだわかるが、まだ小学6年生の少女に?
「あ、あの子6年じゃなくて5年だよ。
ホント、あの子があのパーティに来なくてよかった思ってるよ。」
あれだけ品がないとなるとさすがにあの場には連れていけないいうのは判る。」
「そうそう、私があの子の親だったとしても、恥ずかしくてたまらないぐらいキモいもん。」
確かにあの子も香奈江もあのダンスパーティには来てなかった気がする。
この二人がそこまで言いきれてしまう利江っていったい何者なんだ?
「せんせ…じゃなくてお姉ちゃんも、あの子には絶対に関わらん方がいいよ。」
と二人から口をそろえて言われてしまった。
「じゃあ二人も約束して。」
「???」
「さっき私になれなれしくしてきた、あのおじさんにはなにがなんでも関わらないで!」
「あのおじさん何者なの?幸助おじさんより身分が上とか言っていたけど…」
「あの人はね。あなたたちが嫌がっている利江ちゃんのお父さん。」
「えーーーーーっ」
「今の水谷家の男で、唯一水谷家の血を引いている人物よ。」
「なんか顔が似てて生理的に受け入れられない思っていたら、親子だったのね?」
二人とも妙に納得しているらしい。
「じゃああのおじさん。相当ゲスイわね。」
「ちょっユキ!!?」
「とにかくあと3日、あの親子には気をつけましょう。」
いったい何があったんだろう?
詳しく聞いてみたいが、いかんせんデリケートな話。
二人とも話したくない感じを醸し出していた。
新年早々から、お節料理とお雑煮をこんなに大勢で食べるなんて生まれて初めてだった。
そしてこの新年会こそが、実質上の香奈江の披露宴みたいなものだった。
本来なら、この会はお雑煮食べて終わりらしいが、今年は時期主が結婚したとのことで、例年より派手にお祝いしているという。
現主様からの直々のお話があるとのことなので、一応ゲストとして聞いている。
そしたらその時…だった…
なぜか、お尻の辺りがぞっとするほど、むず痒く思えた。
あれ?私昨日ちゃんとお風呂入ったよね?
なんで?
おかしいと思って振り返ってみたら、
にちゃーーーっとにやけている利江がいた。
なんと、利江は私のお尻の谷の部分をずっと指でなぞるような感じで触っていたのだった。
「何するの!?気持ち悪い!!」
と思わず叫んでしまった。
大事な話をしている最中でだ。
私はこの時、ようやくユキたちが言っていた意味が分かった。
ホントに利江って子はヤバい。
「この子ったら、また!!?」
近くにいた召使が注意して抑え込もうとしていたが、
「ひゃひゃひゃ。とひちゃん。おっきいおっぱいぱいだぁーい好きwひゃひゃっ。
りっかりーーーん♪」
と召使の名前を呼ぶと同時に、利江は満面の笑みでもあるが、それ以上に気持ち悪いニヤ付き顔して、両手の人差し指で六華という召使の両胸の真ん中を思いっきりついていた。六華の胸はホントにでかすぎた故にそのへこみ具合も…何とも言えないほどにエ口過ぎだった…。
私と六華が大声出してしまったがために、この会場にいる全員が六華が利江に両胸の真ん中をつつかれているとんでもない光景を見ていて全員が絶句していた。
それをやられてしまった六華本人はショックのあまり言葉も出なかった。
「ひゃっひゃっ。六華りんがー、とひちゃんにーイヤなことしようとするが悪いんだよーーーー。
とひちゃんなーんも悪くないもーん♪」
なんなんこのガキ!?
いくら子供のいたずらにしてもひどすぎる。
いったいこんな良家で育って、どういうしつけ方したらこんなのに育つの!?
それも一人称が「とひちゃん」って?マジでないわ。
自分の名前である「としえ」というのもまともに発音できないわけ?
生まれて初めて、曜子よりひどい奴を見た気がしていた。
もう最低だ。
こんな状況をどう治めるのか?と思った。
その時だった。
「お黙んなさい!」
主の一言で、静まり返った。
「これより、当主譲位式を執り行う!」
「!?」
「えーこれまで、香奈江の母が亡くなって早10年。
再度、香奈江の母に変わって私、水谷しずかが水谷家の当主を承ってまいりました。そして年が明けた本日より、水谷家の当主は水谷香奈江に譲位することをここに宣言する!
なお、新当主香奈江はまだ未成年ゆえ、監督は引き続きわたくし、水谷しずかが行います!
今後、新当主に何か不備がございましたら、わたくしにお申し出ください。」
といきなりの当主譲位宣言をこんなセクハラ三昧の嵐の中で行われていた。
何なの?この一族は?
こんな変なことがあったにもかかわらず、それは一切無視ですかした顔で儀式を主なっているなんて、ホント信じられなかった。
まぁ儀式とは簡単で、何らか勲章みたいなものをしずかから、香奈江に渡されていただけであった。
「これにて、当主譲位式を終了とする!これより自由解散!」
ホント呆気なく譲位式は終わったが、私たちのトラブルはまだ終わってなかった。
「全く!召使たちはいったい何をしておる!!?
利江のことはしっかり見はっていろ!と常々申しておるじゃろう!!」
としずかはカンカンに怒っていたが、あんなクソガキずっと見はっていたところで無理がある。
というか、誰もあんなクソガキとなんか、業務上でも関わりたくないと思う気持ちは判る。
「ね?意味わかったでしょ?」
ユキにそれを言われたとたん。
もうこの家にすらいたくないと思えてきた。
「みんな…もう帰ろう…。」
と思わず言ってしまった…。
「帰るって?そういきなり迎えになんか着てもらえないぞ。」
もう嫌だ…
「いいから…ここ出ていくよ!みんな支度して!」
「おいっ…」
とはなれのゲストルームに戻ろうとした時だった。
「君…先月新しく入った子だよね?」
「え?」
本屋と離れの間に小さな物置があるのだが、そこのちょっと路地に入った隙間でまたとんでもないことが起きていた。
「名前は?」
「真奈美です…」
「いくつ?」
「18です…。」
「いいねぇー」
「…え?」
「かわいいねー。」
「え?」
「んもう、たべちゃいたいぐらい…」
「こまります。やめてください…。」
え?誰かと思ったら聡としん入りの召使がいた。
いうまでもなくだろう…
「なーになんもこまらないよー。どーせ俺にはもう子種がいない。
だから、だいじょうぶなんだよーん。」
ああそういうことか…
水谷悟志…。こいつにはもう、家柄とかそういうのは関係ない!
おそらく、自分にはもう子供が望めないことをよく知っているから、見境なしなわけだ。
これは、本当に今日にでも逃げないとまずい。
午前10時…
この僻地な町を抜けるまでに、まだ間に合う…。
「おい、今から帰るって正気か?」
「今の見たでしょ?あいつ変態よ!」
「…あ…だな……。」
「だからお願い!協力して!!」
「判ったよ…。」
私たちはこの新年早々から、イヤな思いをしたうえに、大変な行動をすることになったのであった。
私たちはこの後どうなったかは…




