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第37話 任務開始・1

 C時間は23時~7時という時間であることから、お弁当は持って行かないらしい。

 まぁ、確かに行く前に夕食を食べて、帰ってきてから朝食を食べればいいだけだ。


「お弁当を向こうで食べる時って、交代で食べるんですか?」


「ああ、2人ずつだな。30分ずつ5回に分ける。まぁ、普段であれば治癒術師は外に出てこないからどのタイミングでもいいんだが、今回はセスに戦闘のサポートもしてもらうからな」


 パーシヴァルの質問にガヴェインが答える。

 となると、8時間のうち、2時間半は誰かしら欠けているということになるのか。それを踏まえての人数構成なんだろうな、たぶん。


「セスさんはずっとパーティーの一員として戦闘に参加してくれるんですか?」


「そのつもりだよ。この前の討伐班ではそうしていたしね。それと、俺のことはセスと呼んでほしい。敬語も必要ない。君たちと俺は同じ立場だから」


 フィリオの質問にセスはそう答えた。

 と言ってもセスは天族でずいぶんと長く生きているのではなかっただろうか。何歳なのか知らないけれど、ガヴェインやヴィクトールよりも全然年上なんだろうし。


「わかった。んじゃよろしくセス」


 そんな心配をよそにアイゼンは軽く頷いた。

 でもそれでいいのかもしれない。アイゼンのお陰で今後はみんな気を遣わずにセスと接することができそうだし。


 食べ終え、パーティー分けをし、いよいよ出発となった。

 武器や身の回りの確認をして、初めての任務が始まった。




 山は、思いの外断崖絶壁だった。

 RPGでの山のダンジョンをそのまま現実にした感じ。たまに洞窟を通りつつ、狭い山道を進んでいく。RPGと違うのは、道中に敵が出てこないことだ。

 道も狭いし緊張もしているからか、みんなあまり喋べらない。ただひたすらに山を登って行く。

 時間的に周りは真っ暗なので、各自松明代わりの光の触媒を支給されている。長い棒にくくりつけられており、本当に松明のようだ。


 そして唐突に、本当に唐突に不自然に開けた場所に出た。


 そここそが、ワープリンクのある広場だ。

 奥にはそびえ立つ壁があり、予想以上に大きい亀裂が入っている。亀裂の中はオレンジ色に光っており、一番高いところは5mくらい、一番広いところは3mくらいある。

 その手前の広場は奥行き100m、幅50mくらいの広さがあり、戦闘で十分動き回れるようになっている。

 よくこんな広い平地をこんな山の中腹に作れたものだと感心してしまうほどだ。

 しかも壁のそこかしこにつけられた光の触媒と、亀裂から発せられているオレンジ色の光が眩く広場を照らしているため、夜の屋外グラウンド並に明るい。


 亀裂に向かって左側の壁に横穴がある。ここから中は見えないが、あそこが休憩したり怪我の治療を行うための横穴だろう。

 広場では2班が左右の壁際に分かれて待機していた。今は敵はいないようだ。


「とりあえず全員横穴に入って待機しておいてくれ」


 ガヴェインはそう言い残すと横穴とは反対側の壁際にいる2班の隊長の元へと歩いて行った。

 私たちは言われた通り、横穴へと移動した。横穴の入り口は2mくらいの高さがあり、10mくらいの細い道の先に、部屋が広がっている。10畳くらいだろうか。奥には木でできた簡素な棚があり、薬や医療用の道具と思わしきものが並んでいる。部屋の隅には簡易的なベッドが2台置いてあり、そこで怪我人の治療ができるようだ。


 部屋にはヒューマと思わしき1人の女性がいた。年の頃は20代後半くらいで濃い茶色い髪に青い瞳をした落ち着きがありそうな女性だ。


 彼女が2班の治癒術師なのだろう。

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