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第38話 任務開始・2

「お疲れ様です。3班のみなさん」


 にこやかに女性が言う。優しそうな声色だ。


「初めまして。私は2班の治癒術師レオナです。これから3か月、交代時に顔を合わせることになりますのでよろしくお願いしますね」


 レオナの自己紹介に続き、私たちも皆自己紹介をした。

 交代時に顔を合わせるだけなのに、レオナから名前を呼ばれることはあるのだろうか。

 そんなレオナはセスに消毒液は残りが少ないから補充を4班に持たせるように手配しておく、とか今回の任務での怪我人はどうだったとかを報告している。

 

「お前たち、外へ来てくれ」


 ガヴェインが横穴の入り口から私たちを呼んだ。

 それに従って横穴から出る。レオナもこれで交代と判断したのだろう、私たちと一緒について来た。


 横穴の前には2班のメンバーと2班の班長が待機していた。

 2班のメンバーは顔は見たことあっても名前は知らない。食事も4班と一緒に摂ることはあったが、2班とはなかったし。

 レオナ同様、ここでお互いに自己紹介するのかと思いきや、2班のメンバーたちは私たちに「お疲れ」とか「後は頼んだ」という言葉をかけて、そのまま下山していった。

 そんなあっさりなのかと若干驚いたが、私たちも最初だったから何をどうすればいいのかわからず、「お疲れ」とか「ありがとう」としか返せなかったのである。


「さぁ、これから本番だぞ。それぞれ分かれて壁際で待機だ。横穴側にはセスが、反対側には俺がつく。本来なら班長は横穴側について5人態勢、逆側には4人という形をとるのだが、今回はセスがいるから3班はこの形を取る。そしてどちらも敵を相手にしていない場合、原則として横穴側が最初に対処するように頼む。なぜかと言うと、反対の壁側のパーティーは死体処理の役割を担っているからだ」


「死体処理?」


 誰からともなく質問が上がる。

 確かに敵を倒した後の死体のことまで考えてはいなかった。RPGなんかだと勝手に消えていくが、これは現実だ。倒した敵の死体はその場に残ることになる。


「その場に残しておくわけにはいかないからな。死体を捨てる場所がある。こっちだ、みんなついてきてくれ」


 ガヴェインは私たちが今登ってきた登山道を通って広場を通り抜け、反対側の壁の方まで向かった。外の道はここで途切れていて、洞窟に繋がっている。


「ここから崖下に死体を落とす」


 外にある登山道は安全のため柵がつけられているのだが、洞窟の前だけは柵がない。そこから死体を下に落とせとガヴェインは言う。なかなか重労働そうだな。

 他のみんなも口には出さないけれど、渋い顔をしている。


「とりあえずいったん戻るぞ。いつ敵が出てくるともわからない」


 みんなでまた横穴の前まで戻った。

 全員で来ていると思っていたのだが、セスは1人で横穴前に待機していたらしい。特に敵が来た様子もなさそうだ。


「班長、死体はなぜ崖下に落とすのですか? ワープポイントからルブラに戻してはいけないのですか?」


 フィリオが聞いた。きっとみんなも同様に思っているだろう。


「そうだな、お前たちはワープリンクをあまり理解してなさそうだからちゃんと説明しておこうか。どうやったらあそこからルブラに行けると思う?」


「どうやったら? あの亀裂に入ったらではないのですか?」


「違う。あのオレンジ色の光に体の一部が触れた瞬間、ルブラに転移される。同様に、向こう側からも光に触れた敵がこちらへと瞬間的に転移されてくる。つまり、"亀裂を通る"ことはないんだ」


 なるほど。

 私もあの亀裂に入っていくものだと思っていたけれど、そうではないのか。

 ということは、あの亀裂の前にいきなり敵が現れるということかな?

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