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リンちゃんの異世界?日記  作者: 焼きプリン
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世界遺産 温泉天国 1

「いやー、良いところだねぇ! さいこーだー!」


 リンは全裸仁王立ちで眼下に向かって叫んだ。


 そこは山の中腹程度にある崖の上だった。


 眼下にはオークの集落がある森林地帯が広がっていた。遠くに小さく街が見える。


 リンが立つ崖の上に、大きな露天風呂があった。


 山の中腹自体は草に覆われ、木はまばらであったが、温泉の周囲は目隠し程度に灌木が植林され、脱衣所として小屋が設置されていた。


 脱衣所から風呂に至る小道は、白い玉砂利が敷き詰められ、その中に灰色の大きな石が飛び石に配置されていた。


「うむっ、これはなかなかじゃなっ!」


 大天使クッコロは濡れそぼった金色に輝く髪を梳きながら同意した。


 リンは男らしく全裸であったが、身の危険を感じたクッコロは魔法で出した白いビキニを着用していた。


 ちなみに、白ビキニは全裸のお付き合いを拒否されたリンの熱い要望によるものだった。


「あらあら、うふふっ。白なら透けると思ったら、大間違いよ?」


「な、なんのこと?」


「当たり前じゃ! 妾が出した水着が透けるほど低品質な訳なかろう」


 リンも水着を勧められたが、リンは元日本人?として、混浴でもない限り、温泉に水着は許せなかった。


 あらあら、うふふっなお姉さんは、自分の体をリンに見せつけたいのか、水着なしで、クッコロに出してもらったタオルで体の一部だけを隠し、艶めかしい色気を出していた。


 オークのアルは、リン同様全裸であった。おっぱいが凄かったが、男らしすぎるのと、体つきがアメリカンすぎて色気を感じず、外人オークすげぇ!という感想しか出なかった。


 勿論、顔がブタというのが性を感じない一番の要因であったが。


「人間の街にお風呂文化が碌にないのに、オークにはこんな洗練されたお風呂文化があるんだねぇ」


 その露天風呂は高級旅館にありそうどころのスケールではなかった。


 チュートリアル世界でもめったに見かけないほどの大きさで、湯量も豊富。当然源泉掛け流しである。


 源泉は背後の山から滝となって落ち、小さな滝壺から連なって白い岩でできた段々畑のように、いくつもの風呂が崖に向かって続いていた。


 その様相は、トルコの世界遺産パムッカレや、イタリアはトスカーナのレ・カスカテッレ温泉のようであった。


 オラクルの解説によると、ここもそれらと同様に石灰棚でこのような絶景になっているのだろうとのことだった。


 源泉の温度はかなり高いようだが、段を降りるごとに温度が下がり、好みの温度で入浴することができる。


 さらに、湯船の脇にはわざわざ山上から別に湧き水が引かれ、湯の温度調整や水分補給が出来るようになっていた。


 脱衣所のある小屋には、温泉床暖房完備。しかも温度の高い源泉を使った、温泉調理室まで備えられていた。


「なにこの温泉天国っ! 温泉王にオラはなるっ!」


「あらあら、うふふっ。あなたのものじゃないでしょう」


「しかし、ここは良いのじゃ。しばらくは、ここを拠点にするのも良いかも知れんのじゃ」


「おっ、良い意見ですねぇ、クッコロちゃん。やっぱり女子は温泉大好き、温泉女子っ!」


「修行後の回復も早まりそうじゃしな」


「あらあら、お姉さん、お酒飲みたくなってきたわぁ」


「オラクルちゃんが、エロ姉さんになってきてるっ!

 でも、そう言えばアニメでアリューシャお姉さま、露天風呂で雪見酒してたなぁ」


『酒か、酒ならあるぞ。ヤギの乳酒、マウリョの果実酒くらいだが』


「ほほう、して、マウリョとは?」


『甘い果物だ。ほら、あそこにもっているだろう?』


 アルが指さす先には、マンゴーのような黄色い果実をぶら下げた木があった。


『あれは、風呂に入った後や、入りながら食うために、植林したのだ』


「おおっ、優雅な時間のために貪欲だね! なんか、人間より文化的な気がしてきたよ」


「ほう、早速食ってみるのじゃ」


 クッコロは宙に浮くと実っていた一つをもぎ取った。


「言ってくれれば、サイコキネシスでとったのに」


「その程度で怠けておっては、良い女とは言えんのじゃ」


 金髪ロリっ子にたしなめられてしまった。


「ほう、これは美味じゃ。お主等も食うと良いのじゃ」


 親切なロリっ子は、それぞれに果実を放ってくれた。


「あああ、甘ぁいー!」


「あらあら、うふふっ。でも、本当に美味しいわね」


「私この世界で甘いもの食べたの初めてかもっ」


 リンはキャッキャッと喜んだ。そしてふと疑問に思った。


「あれ、オラクルちゃんって、ホログラフィー的なのじゃなかったっけ?」


「そこは、ほら、神ってるから」


「全然分かんないよっ!」


「まあ、これこそレベルアップ効果よ。前は映像を創るのが精一杯だったんだけど、何か肉体持てるのようになったの! 凄いでしょ!」


「じゃあ、もう消えないの?」


「別に大丈夫よ? 世界の位相をズラして、そこに肉体をキープするの。リンに分かりやすく言うと、収納の魔法みたいなものかな」


「えー! 超能力なの、それ?」


「さぁ?」


「さぁって、あーた!」


「あらあら、うふふっ。だって知らないし。まあ、超凄い能力だから超能力でいいんじゃない?」


「適当!」


「あらあら、超能力自体、無意識の願望を叶える力なのよ? 想像可能なことは全て実現できる可能性があるわ。

 チュートリアルでの超能力は、あの時点で獲得していたものだけだもの。新たに獲得した力を超能力として知っているわけがないわ」


「えっ! それって凄すぎない? 何でも夢が叶うってことでしょ?」


「そうよ、だから神ってるオラクルちゃんと、神の子リンなのよ」


「うわっ、冗談じゃなかったんだ!?」


「うん、冗談」


「ひどいー! クッコロちゃん、オラクルちゃんがイジメるよぅー」


 リンはどさくさに紛れてクッコロのまだ控え目な胸に顔を埋めようとしたが、あっさり止められた。


「嘘よ、嘘。リンがクッコロちゃんの胸に飛び込みたいから、いじれってテレパシーで送ってきたからー」


「な、な、な、なんじゃとっ!」


「ちょっと! 言い掛かりも大概にしてよっ! 最低の人みたいじゃないっ!」


「でも、クッコロちゃんの胸に飛び込みたい願望が、無意識領域に溢れかえっているわよ?」


 クッコロは我が身を抱いて、アルの影に隠れた。


「やめてー! 自覚してない無意識の願望を暴露するのはやめてー!」


 リンは温泉の中に突っ伏した。すると、そのリンの顔の前には、オラクルの股間があった。


「あらあら、えっち。流れるような連続セクハラね」


「ギャースッ! え、冤罪を主張します! 弁護士を呼んでください!」


「被告人の主張を却下します。現行犯ですので」


 オラクルリンのセクハラ漫才に、クッコロは恐れおののいた。


「やっぱり、リンと風呂に入るのは危険なのじゃー」


「うわーん!」


 リンは拗ねた。



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