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拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?
連載8回目です。
泣くなよ、俺。
村を後にした一行は、訪れた時より一人増えて、六人になっていた。
野育ちで軽装のサーラは、遅れずに自分の足でついて来ている。
「まさか、子連れで帰ってくるとは、誰も想像だにしておらぬだろう。
ギルドの連中の驚く顔が見ものじゃのう。」
胸元を覆う程に伸ばしている鬚を撫でながら、モムグが言った。
「牧場で引き取ることになるのかしらね?」
先を歩くミンファの質問に、
「身よりは他にはない筈じゃからのう。」
「わたし、グリフさんのあんなに優しい顔って、初めて見ました。」
モムグと肩を並べて歩くニニアが、ため息がちに語る。
「グリフの師匠って、どんな人なの?」
ミンファの言葉に、隣を歩くサーラも、グリフの顔を見上げる。
「ホビットの戦士だ。
詳しいことは、俺も知らない。」
「師匠のことを、何もしらないって・・・
まぁ、あんたらしいと言えば、らしいけど。」
「師匠は、わたしの恩人。
グリフも、わたしの恩人?」
「ゴブリンを見つけたから、討った。
それだけだ。
恩人という程のものではない。」
「恩人でない?」
するとグリフは、顎に手をやり、しばし考え込むと、
「俺のことは、兄とでも思ってくれればいい。」
まさかの言葉に、グリフとサーラ以外の四人が、ギョッとしてグリフを見つめる。
「確かに、兄妹と言っても良い年頃ではあろうが・・・」
「グリフお兄ちゃんって・・・」
ミンファが、目を剥いて舌を出す。
「そんな言い方、酷くないですか?」
そう言うニニアにしても、素直に歓迎できる状況ではないようだ。
「お~い!」
いつの間にか、一行は牧場の敷地に、たどり着いていたらしい。
牛飼い娘のカミアが、遠くで手を振っている。
程なく、軽快な足取りで駆け寄ってきたカミアが「おかえり」と言うと、「ただいま」と、グリフは応えた。
「みんなで来るなんて、珍しいね。」
そこまで言って初めて、カミアはサーラの存在に気がついたようだ。
「で、この子は?」
「わけあって、妹になった。」
「へっ?
妹?
どういうこと?」
「俺の幼馴染みのカミアだ。
これから世話になるから、仲良くな。」
そう言ってグリフが誘うと、サーラはカミアに向かって足を踏み出し、
「わたし、サーラ。」
その瞬間、カミアはサーラを見つめ、そしてグリフを見やった。
泣き出しそうな表情のカミアに、
「ゴブリンに襲われた商隊の生き残りを、俺の師匠が保護したらしい。
運命などと言う言葉は使いたくはないが、サーラは俺が引き取ることにした。
いや、そうするべきだと思った。
伯父さんには、これから話しに行く。
行くぞ!」
グリフの後ろを、トコトコとついてゆくサーラ。
二人の背中を見送るカミアの視界が、涙で揺らぐ。
「大丈夫・・・ですか?」
気遣わしげなニニアの言葉に、カミアは首を振って、
「わたしは、大丈夫よ。」
「なんか、変なのよね。
グリフも、あんたも。」
腕組みしてグリフの背中を見やるミンファに、
「ありがとう、心配してくれて。」
「あいつの心配なんて、するわけないじゃない!」
顔を真っ赤にするミンファの体を、カミアはそっと抱き寄せ、
「サーラってね、グリフのお姉さんの名前なのよ。」
「なんと!」
「そうか!
だからか・・・」
「うむ。
これも、不可思議な巡り合わせと言うべきであろうな。」
(・・・)
失われるものがある一方で、新たに手に入れられるものもある。
掛け替えのないものを失った喪失感は、他の何物をもってしても、穴埋めすることはできないかもしれないけれども、守りたいもの、守るべきものがあれば、人は強くなれる。
≪いと慈悲深き地母神よ、新たに兄妹の契りを結んだ者たちに、心の安寧をお与えください・・・≫
ニニアの切なる祈りは、果たして神の御許に届いたものか・・・
次回はエピローグと、少し長めのあとがきなど。




