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拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?
連載7回目です。
自分で書いたものを読んで涙ぐんでます。
村は無事だった。
村の入り口には、村人たちが心配げな表情で集まっていた。
ゴブリンの巣が掃討されたことを伝えると、あからさまにホッとした気配が伝わってくるのが感じられた。
同族が討たれたことについては、憤りよりも、悼む心情の方が強いらしい。
報告が一段落し、引き上げようとする一行を、ヌルワジが引き止めた。
「こんなことを頼める義理はないのじゃが・・・
この娘を、連れて行ってはくれまいか?」
ヌルワジは、傍らに立つ人族の少女の背中に手をまわし、前に出るように促した。
「助けてくれて、ありがと。
わたし、一緒に行きたい。」
「・・・」
片言の少女に、グリフの返事はなく、
「人は、人のおるところにあるべきと思う。
それに・・・」
「人の匂いに、ゴブリンは敏感だ。
村が襲われたのも、おおかた、お前の匂いを辿ってきたのだろう。」
遠慮ないグリフの言葉に、俯く少女の瞳から、大粒の涙が数滴落ちた。
今まで育ててくれた村が、自分のせいで襲われた。
身を呈してかばってくれた、ゴブリンの弟たち。
人の言葉を教え、何かと面倒を見てくれた司祭さま。
そして、人の子を同族と区別なく育ててくれた母ゴブリンは、先の襲撃で、少女をかばって死んでしまった。
泣き声を発することもなく、涙の止まらない少女に、グリフは、片膝をついて目の高さを合わせると、
「名前は、何と言う?」
「サーラ。」
一瞬、言葉につまったグリフが、ヌルワジに顔を向けて、
「何か、身元を示すような物は、残ってないのか?」
するとサーラが、首から下げていた首飾りを外し、グリフに差し出す。
「これは・・・」
程なくグリフは兜を脱ぎ、自分の首から下げていた物を外し、サーラに手渡した。
「えっ?」
サーラの手の平に並べられた二つの首飾りは、片方がより年月を重ねている他には、ほとんど差異はなかった。
「別れる時、師匠に貰ったお守りだ。
そうか、師匠はこの村に来てたのか。」
「連れてって、くれる?」
返事はなかったが、代わりに、錆びたようにぎこちない、しかし、限りなく優しげな微笑が、そこにはあった。
次回予告
失ったものと、新たに手に入れたもの。
人生とは、その繰り返しなのかもしれない。
物語としては、とりあえず完結です。




