ⅣーⅥ
「夏海、それが少し心配でしたよ。いおはどこかなって、凄い探しちゃいましたもん」
さすがは唯織さんだな。いなかったら心配されるレベルか。
しかし、どうして唯織さんは行かなかったのだろう。夏海に不信感を感じさせるようなこと、唯織さんはしない筈。
それだったら、ゲーム後に電話すれば良かった筈。
どうしてだろう。
唯織さんの不在に夏海が気付かないと思ったから? まさかね……。
夏海のことが大好きな唯織さん。彼女は夏海のことは何でも知っている。
どれだけ唯織さんが好きで、信じているかも知っている筈なのだ。
「それについても謝ってたよ。ログインが間に合わなかったんだって」
夏海を安心させる為、適当な理由を付けておく。
ログインするのが間に合わなくて、夏海教の皆に置いてかれた。だから仕方なく……、みたいなイメージで言ったけど。それ、有り得る事態だよね? 変なこと言っちゃってないよね。
「そうですか。しかし不思議ですね。少し待ってから夏海に電話すれば良かっただけではありませんか」
それもそうだな。
今日に限ってどうして夏海はこんなにも鋭いんだ。
「これから予定があるらしいよ。だから、殆んど時間が開かないんだって。うん、それでだってさ。ゲームの為の時間はとっておいたけど、その後はもうすぐにって予定だったんだって。だから、余った時間にお礼の電話でもって。そんな感じじゃないかな、うん」
微妙に早口になっていたと思う。どうして俺はこんなにも演技が下手なのだろう。
いや、演技が下手な訳ではないか。アドリブで喋るのが尽く苦手なだけかな。
「そうなんですか? まあ、お兄ちゃんがそう言うならそうなのでしょう。お兄ちゃんは夏海に嘘なんか吐きませんし。嘘なんか吐く意味ありませんし。でも、怪しいんですよね。お兄ちゃんの優しさが、いつもと違うんです」
早く引き下がってよ。夏海、俺が困っているのが分かるだろう? だから引き下がってくれ。
俺を困らせるようなことはしない。そうだろ? なあ、夏海。
「気のせいじゃないかな。だって、そんなこと嘘吐いたって仕方がないだろ。疑うなら、あとで唯織さんに確認すればいいじゃないか」
なんとか落ち着かせて、俺は冷静にそう言った。
それには、夏海はぶんぶんと首を横に振ってくれる。俺を疑ったりはしない、そうゆう意味の行動なのだろう。そう信じている。
「いえ、別に大丈夫です。お兄ちゃんは嘘を吐いたりしませんから。そんなに器用な方じゃありませんから……」




