ⅢーⅩ
それでも、頑張れるんならいいだろう。
どんな理由だってな、仕事を頑張れるんだからいいんだよ。そう、お仕事頑張るから夏海は偉い。
「今助けようとしている有沙、夏海が演じているんです。だからこそ、夏海教の信者たちは助けようとしてくれます。ギルドの為に、いっぱい寄付してくれますし」
大量に寄付することで、夏海に見て欲しいのだろう。
きっとギルド長は夏海だから。そしてギルド長だったら、個人の寄付総額見れるらしいんだ。
「そっか、夏海人気は凄いんだな。そうだ、夏海は皆の人気者だ。皆の人気者が、俺なんかに。あまり外で言い過ぎて、引かれないようにしろよ」
あんまり酷いブラコンだと、聞いている人も引いちゃうじゃん。そこまでだと、ちょっと困るでしょうよ。
「皆知っていて、認めてくれていますもん。それに、お兄ちゃんも人気者ですから。夏海とお兄ちゃんの愛、皆応援してくれていますよ」
いや、応援されても困るんだけど。
てか、人気者として夏海と並べられても困るんだけど。人気ってか、出演作品とか知名度とか天と地ほどの差があるじゃん。
「いつか夏海にも、本当に恋する男が現れる筈。だから」
「いいえ」
俺の言葉を遮るなんて、普段の夏海はしない。
こんなにはっきり俺の言葉を否定するなんて、普段の夏海はしない。
俺のことを睨み付けるなんて、普段の夏海はしない。
「夏海はいつまでもお兄ちゃんのことが好きです。夏海はお兄ちゃんに恋をしたのです。その気持ちが変わることはありません」
そう言った夏海は、再び画面に見入ってしまう。
驚く俺のことなんて見ていなかった。見ていなかったから、俺は素直に驚くことが出来た。
「一生愛し続けます。夏海の人生、お兄ちゃんに捧げます」
どうしてここまで俺に? それが分からなかった。
いつ俺がそこまで好かれるようなことしただろうか。兄妹ということも気にせず、一生愛すなんて言えるほどのこと。
いつ、なぜ。俺には心当たりがなかった。
「……そうか」
でも今言ったって仕方がない。今は俺が好きって言っているんだから、それでいいんだろう。
きっと成長と共に、そんなこと言わなくなってくる。他に好きな人も出来て、結婚とかだって夏海なら出来る筈。可愛いし、優しいし何でも出来るし。
だから好きって言ってくれてるうちは、夏海が好きな俺でいよう。
それはシスコンじゃないもん。そう信じている、俺はそう信じて決意した。
「愛し続ける、か。分かったよ」
そんなことを呟いてしまった。




