ⅢーⅡ
神からゲーマーにグレードダウンだよ。
まあゲーマーの中にも、神くらいは勿論いるけどさ。そこまでの実力とは聞かないし。
「……なんか、ごめんなさい。しかし、なーちゃんらしいと思います。ふぉぉお! なーちゃぁああん、どうしてそんなに可愛いんですか? ワタシはなーちゃんのことを愛しています。結婚しましょう」
何を思ったか、唯織さんは突然叫び出した。
冷静でいてくれる存在、そう信じていたのに。どんなにずれていたって、唯織さんは冷静でいてくれるって。
それなのに、今の叫びようだと夏海より酷いぞ。
いくら夏海だって、突然叫んだりとかはしないもん。だから、もうちょっとだけましだもん。
「いおの気持ちは痛いほど分かります。しかし、夏海はその気持ちに応えることが出来ないのです」
まあ、女性同士だからね。
少なくとも日本では、女性同士の結婚は出来ないんだよね。他の国でもそうとは限らないけど。
「どうして、どうしてなのですか? ワタシはこんなにも愛しているのにっ」
唯織さん、帰って来てよ唯織さん。
変な劇始めてないで。俺と、今回は横島さんまで取り残されちゃってる。
「夏海には、心に決めた人がいるのです。確かに夏海もいおのことは、勿論大好きです……。大好きですが、運命に逆らうことなどできません」
心に決めた人がいるとかいないとかじゃなくて、さ。女性同士というところに疑問を持って欲しい。
しかしショコラティエというだけあるし、もしかしたら男役を演じているのだろうか。
まあそうだとしたら、一つ疑問が生まれるよね。唯織さんがイケボ化していないのだ。思い切り地声で話しちゃってるもん。
「どうゆうことですかっ? なーちゃんは言ってくれたじゃありませんか。大きくなったらいおと結婚するんだって。あの日の約束はどうなるんですか。まさか、忘れたりとかしていませんよね」
もう一度聞き直してみるが、やはりイケボ化していない。ごく普通の唯織さん、そんな感じだった。
「覚えていますよ。あの約束、忘れる筈がないじゃありませんか。しかし、約束を破ったのはいおの方じゃありませんかっ。約束の日、夏海は約束の場所で待っていました。でも、でもっ! 待っても待ってもいおが現れはしませんでした」
二人が熱演してくれているので、俺は観客として楽しみ始めていた。あくまでも観客として、だけどさ。
でも本当に、間近で劇を楽しめていいよ。一応二人とも演技のプロだしさ。
「なーちゃん……。ごめんなさい、ワタシ……ワタシ……っ」




