ⅢーⅢ
しかし、いい加減長いと感じる。
いつまで劇を楽しんでいるのだろう。
「あっそうだ! なーちゃん、ショコラティエの!」
俺の想いが届いたのか、唯織さんは劇を終了させてくれた。
そして唯織さんのその言葉に、夏海も何か気付いたようだ。ショコラティエの、それじゃ俺にはさっぱり分からない。
「さあ、作りますよ。ライブまでに完成させないといけませんから」
そう言って夏海は沢山の布を取り出した。同じようなものを、唯織さんも沢山バッグから取り出す。
細長く切られた、同じ大きさの水色とピンクの布。しかしこんなに沢山、何に使うというのだろう。
ライブに使うものなのだよな? 何だろう。分からないな。ライブに使うもので、ショコラティエ自身で作るもの。
「本当にお二人が手作りで? そうだったんですか。お二人なら本当とか思っていましたが、正直半信半疑でしたよ。ラジオで言ってたときなんて、頑張り過ぎだって心配しましたもん」
何を作るのか、横島さんは理解したらしかった。
ということは、この場でまだ分からないのは俺だけということ。ラジオで言っていた? 何だろう、さっぱり思いつかない。
「ショコラティエの、贈るメッセージ」
俺の様子を見て、夏海が少し声を低くしてそう言ってくれた。
それでやっと気付く。そう言えばラジオで言っていた。夏海の言葉を聞いて、今更ながら俺は気付くのであった。
「折角のライブですから。ショコラティエの単独ライブ、こんなに大きなところでやるのは初めてです。だから嬉しくて、皆の為に頑張っちゃいたいんです」
嬉しそうに微笑む唯織さん。
その表情には嘘偽りがなくて、ただ素直に喜んでいるようだった。
「ありがたいことに、沢山お便りが届いています。だから夏海たちは、その皆にプレゼントをするのです」
それがこの大量の布ってことか。しかしメッセージを一人一人に描くなんて、無理しているだろう。
分からないけどきっと何千人、何万人といるんだろ? だってショコラティエ凄いもん。その枚数を二人で描くだなんて。
「いつもチョコレートを購入して頂いているお客様です。たまにはサービスしてあげないと、でしょう? だから、これに気持ちを込めるのです」
そう微笑んだ唯織さんは、水色の布を一枚手に取った。そしてバッグから、一枚はがきを取り出した。
唯織さんのバッグは、四次元とかだったりするのだろうか。あれだけ出てきただけでも驚きなのに、その他にはがきまで入っているのだろう? 信じられないね。




