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⑷ 夢の終わり

 私が明里に婚姻届けを渡した時、4年後を約束した。

 この約束、私から反故にする事は出来ないが、明里から反故にする事は出来る。

 フェアーでない約束事であるが、私が自ら行った。


 そこには1つの想いがあった。

 私は明里を信じている。

 そう、あれは祈りのようなものだった。


 明里との別居が始まってから、私はどこで間違えたのだろう。

 日を追うごとに、明里の頭の中が別の事に支配されていくのを感じた。

 私はそれを黙って見ていた。


 明里を責めてはいけない。

 そういった思いから、私から連絡はしなかった。


 今の私には、明里を追いかける気持ちも湧いてこない。

 私はつくづく……ダメダメである。


 ベランダに出た。

 外は暗くなり始めた。

 以前、ここで流れ星を見つける為、二人で星空を見ていた。

 最初の流れ星を私と見たいと言って、合宿から引き返してきた。


 電気をつけないまま部屋に入り、リビングの椅子に座った。

 このテーブルで、明里と向かい合って受験勉強をした。

 私の話しを興味深く聞いていた。


 外は暗くなり、この部屋は真っ暗になった。

 ……あかりが……きえた。


・・・・・・


 4年の予定としての赴任であったが、仕事が一段落していない。

 それと、東京へ戻る目的がなくなってしまった。

 私は赴任の延長を受諾した。


・・・・・・


 それから2年が経ち、仕事も一段落した事で、私は東京の研究所へ戻る事となった。

 第3研であった私の所属は、第1研へ異動となった。

 そして主幹の肩書きが与えられた。


 しかし、明里と別れてからの私は、何もかもが色あせて見える。

 胸に大きな穴が空いてしまったようだ。

 改めて、明里の存在の大きさを思い知らされた。


 会社の窓から満開の桜が見える。

 冬が終わり、新たな季節の始まりを伝えてくれる。

 明里と別れて3度目の季節が始まった。


 自分の気持ちを立て直さなければいけない。

 今年も自分自身に言い聞かせる。

 会社も今日から新年度。


 第1研で、年度始めの集会が行われた。

 碧が新入社員の1人と話しをしている。

「今後とも、よろしくお願いいたします」

 ……この声?


 新入社員の女性が、私に振り向いた。

 ……なんで……ここに?


 明里は笑顔を向けて、私に言った。

「やっとおじさんのステージに、辿り着くことが出来ました」


 私は、大きく息を吐いた。

 私は、返す言葉が見つからなかった。


【完】


『家出女子高生を自宅に連れ込んで英才教育してみました』に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。


尚、この小説のスピンオフとして、おじさんの元婚約者、裕子さんを主人公とした小説、タイトルは

『至福のひと時』

明里さんとおじさんが、出会う前のお話しです。

『家出女子高生を……』での、おじさんの思い出が、ここに出て来ます。

全6話の短編です。


次に、本作『家出女子高生を自宅に連れ込んで英才教育してみました』の続編として、タイトルは

『あの婚姻届け』

全15話 完結済です。

おじさんが渡した婚姻届け、いったい何処へ行ってしまったのでしょう。


そして、現在投稿中の作品ですが、タイトルは

『女子中学生と最終兵器』

今度のヒロインは中学生!

明里さんよりアブナイお話しです。

そして主人公は、お約束の変態さん。

いや~さすがにこれは、アウトでしょう。


是非、お付き合い下さい。


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