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⑴ 私のような冴えない所に

 GWが終わり会社に出勤すると、新しい組織が発表されていた。


 主任となった私の下に、3人の部下が配属された。

 部下の名前を見た時、これは何かの間違いでしょう。

 しかし、間違いではなかった。


 若手男性社員2名と新人の女性社員1名。

 この若手男性社員2名、この部所で1~2の評価を得ている。

 1人は行動力、統率力があり、同僚から慕われ、若手社員の中ではリーダー的な位置付けの社員。

 もう1人は、難しい仕事も積極的に引き受け、いかにもインテリジェンスな感じの優秀な社員。


 彼らのような活躍している社員は、もっと力のある主任の下に配属させるべきである。

 私のような冴えない男の下に配属されて、気の毒に思ってしまう。


 それと新人の女性社員。

 名前は三上綾乃(みかみ あやの)

 先月行われていた新入社員一般研修で優秀な成績を残し、何人かの主任が自分の所への配属を希望していたようだ。

 身長は明里より少し低いくらいだろうか、後ろで縛った髪型が良く似合う。

 明るい性格の感じで、若い男性社員からは大変な人気だ。


 通常、主任になると最初は3人から5人の部下が配属される。

 私に配属された部下は3人という事から、会社は私に対してあまり期待していない事が伺える。

 しかしその3人、非常に優秀な社員である。

 何で私のような残念な所に?


 早速3人が私の所へ挨拶しに来た。

「よろしくお願い致します」

「はい、こちらこそよろしく」


 若手2人は私の下に就けられた事に納得していないようだ。

 まあ当然だろう、私だって納得していない。


 ただ、新人の綾乃は笑顔を向けてくれた。

 しかし、この子も半年後には、私に見切りをつけて異動願いを出すのだろうか。


 そして、新年度に向けて明日の金曜から、1泊2日の社員旅行が予定されている。

 第1研から第3研、合同での社員旅行である。

 場所は観光地、午後5時、ホテルの宴会場に集合。

 若い連中は早くから待ち合わせて、ご当地グルメの探索など計画しているようだ。


 今時、宴会を目的とした社員旅行など、おこなっている会社も少ないようだが、何故かうちの会社は若い連中も含めて楽しみのようだ。

 この機会に、意中の人と距離を縮めたい……等とヨコシマな気持ちがあるに違いない。


 5時から大広間での宴会食事。

 その後、温泉に入り、一泊して朝7時から朝食。

 そして午前10時に解散。

 特に点呼を取る訳でもなく、早朝帰る人もいる。


 社員旅行自体、参加は自由だ。

 私にとって、こういった事は面倒なので、今までは不参加としていたが、主任となって部下を持つ身となった今、最初から不参加という訳にもいかない。

 だが、私に配属された3人の部下は、参加してくれるだろうか?


・・・・・・


 そして社員旅行の日、明里は小さな封筒を私に渡して言った。

「おじさん、私、先に出るけど、気を付けて行ってきてね、これお守りです」

「おおげさだなあ、明日帰ってくるよ」

 明里は私に目を合わさない。


「じゃあ、いってきます。おじさん、いってらっしゃい」

「はい、いってきます」

 明里は玄関で私に振り向かず、大学へ向かった。


 やれやれ、明里は何を心配しているのか?


次回:社員旅行

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