長い夜
【2】
無事に赤ちゃんが産まれたが、分娩室でのパニックと極度の疲労で
気を失ったのか、私は個室の病室にいた。
母が心配そうに私を見ている。
「あ。お母さん...あれ?そうだ!産まれたんだ。よかったー。」
「うん。頑張ったねー」
「お母さん、赤ちゃんは?」
「新生児室で眠ってるよ」
「そっか。赤ちゃんも疲れたよね」
「何日かしたら連れてきてくれるから、今は寝なさい」
「はーい」
「おやすみ」
母が帰ったあと、赤ちゃんの名前を考えながら眠りについた。
──夜中──
麻酔が切れ、腹部の激しい痛みに悶える。
「痛い、痛い...」
痛すぎる。。
そりゃそうだ。お腹を切ったんだし
ナースコールを押すと、先生が来てくれた。
「痛いよね。切った所と子宮が元に戻ろうとしている力で
普通の分娩より痛みがあるんだよね。痛み止め射つからね。
筋肉に刺すからちょっと痛いよー」
ブスッ
「...!!!」
「大丈夫かな?」
「...痛っっ...ありがとうございます」
「また痛くなったら呼んでね」
「...はい」
先生が部屋を出ていく。
いやいやいやいや、お腹もだけど、注射も痛すぎでしょ!!
次にまた痛くなったら、呼ぶのためらうわっ!
と思うほど痛かった。
だんだん痛み止めが効いてきて、また眠りにつく。
また切れる。。
痛い、痛い...痛い。。
ダメだ!痛い!
何度ナースコールを押したんだろう。。
ほんとに痛い~
お母さんもこうやって、私を産んでくれたんだなー。
えらいなー。。でも私もえらい、なんて誰も褒めてくれないから
自分で褒めてみた。
痛みに耐えながら、時間が過ぎ、朝がきた。