救急車
【17】
らいと5歳
こーや2歳
らいとは日中は幼稚園、それからこーやと遊んだりしているので
お兄ちゃんとして、らいとなりに疲れがあるようだ。
寝る前に必ず絵本の読み聞かせをしていた。
らいとの大好きな本は『お話聞かせて』という題名のハチミツ好きの黄色いくまの本だ。
読み終わるまでしっかり聞いてから寝るのだが、最近は疲れているのか途中で寝るときもあった。
こどもたちを寝かしつけてから、楽しみにしていた22時からのテレビを見る。
特番のドラマだったので、おもしろくて完全に観入っていた。
───ゴボッ、ゴボッ
「ん?なんか変な音聞こえなかった?」
排水口に水が流れるような?そんな音だ。
キッチンを見ても特に何もない。
気になり、こどもたちの寝ている部屋を見た。
すると...
「らいと!?!!」
らいとが泡を噴いて目を開けている。
「らいと!!らいと!!!」
呼び掛けても返事がない。
なんで?どうして?
「救急車!救急車よんで!!!!」
旦那に電話してもらう。
「らいと...おねがい、返事して、らいと」
救急車を待ちきれなく、らいとを毛布にくるみ、抱えて外に出る。
はやく!はやく!
──ピーポーピーポー...
来た!!!
救急隊の方たちが車から出てくる。
「らいとが、らいとが!」
「お預かりしますね、受け入れ病院が見つかるまでの間、救急車の中で、ちょっと状態見させてください」
「はい!お願いします...らいと...」
救急隊が声をかける
「らいとくーん」
「らいとくん、聞こえる?」
「K病院、受け入れOKです。」
「お母さん、乗りますか?」
「あ。運転が私しかできないので、主人が乗って、私が後から着いていきます。」
「わかりました」
旦那に説明し、乗ってもらう。
こーやを毛布にくるみ、自家用車に乗せる。
何が起こったのかわからない。
なんでだろ...なんで?
気持ちばかりが焦る...
K病院に着き、らいとの後を追いかける。
ストレッチャーに乗せられているらいとは、全く動かない。
診察室で先生が待っていた。
「どういう状況ですか?」
「21時くらいに絵本を読み聞かせしてたらすぐに寝たんです。そのあと私たちはテレビを観ていたら、変な音がして...」
「変な音?」
「はい、ゴボッっていう、排水口に水が吸い込まれるような...」
どうやら、なんらかの拍子で、らいとは戻してしまい、それが喉に詰まって息が出来なくなった、とのことだ。
色々、処置をしてくれている。
背中に注射器が刺されるが、全く動かない。
意識も痛みもないのか。。?
K病院の先生が、この病院で出来ることをしてみたが、設備が無いものもあるとのことで、近くの大学病院に移動することになった。
らいとを乗せた救急車のあとを、私は生きた心地がないまま運転していた。




