第2326話 彼氏に説明を
本日は三浦さんが彼氏に喫茶店の話を打ち明ける日。
☆麻美視点☆
1月21日の土曜日ー。
今日は三浦さんの彼氏さんが緑風にやって来る日だ。
三浦さんの喫茶店経営についてしっかりと話し合いをしてもらうー。
何故か亜美姉も朝からお店にやって来ているー。
「わかってると思うけど、私達は口出し禁止だからね? 蛍ちゃんと彼氏君の話し合いだからね?」
と、名塚先輩にも念入りに注意されている私達。
あくまでも見守るだけというスタンスであるー。
とはいえ、もし三浦さんの喫茶店経営の夢を反対されるような事があれば、我慢出来るかどうかー。
「何だか緊張してきました……」
「そうだよねぇ。 反対されたら別れてでも喫茶店やりたいんだもんねぇ」
「はい……」
「彼氏さんが理解を示してくれれば良いわね」
「まあ、そんなに気難しい人じゃないみたいだし、わかってくれるでしょ」
「うむー」
きっと大丈夫に違いないー!
◆◇◆◇◆◇
カランカラン
お昼を過ぎた頃、いよいよ三浦さんの彼氏さんが緑風に来店されたー。
三浦さんには休憩に入ってもらい、話し合いの時間を作ってあげる事にー。
「さて、どうなることやら」
「見守るー」
私達はカウンターの中から2人の様子を窺うー。
☆亜美視点☆
私はというと、2人の会話が聞き取れる席に座り話に耳を傾けているよ。
「き、今日は守に聞いてほしい事があって」
「聞いてほしい事? 何?」
お、早くも話を切り出すつもりのようだよ。
さあ、どうする守君とやら!
「実は守に言ってなかった事があって……」
「お、おー」
「わ、私ね、喫茶店やりたいって思っててぇ」
おお、切り出したよ!
さあ! どうする守君とやら!
「え、喫茶店? 今もバイトしてるじゃないか?」
うわわ……そう来たかだよ。
鈍感系男子だよ!
「あ、いや、違くて……バイトじゃなくて自分で喫茶店を経営したくて」
「……はい?! 経営?!」
「そう……」
おー、流石に驚いてるね。
まあ、いきなり喫茶店を経営したいなんて言われたらびっくりもするよねうんうん。
「喫茶店の経営って、そんな簡単じゃないと思うけど……」
「そりゃ、簡単なわけないけど。 ちゃんとここの店長に色々教えてもらって勉強もしてる。 食品衛生管理者の資格も持ってるし、色々準備もしてるの」
「そ、そうなのか」
「うん。 後はお店そのものを探すだけなんだけど、そっちももしかしたら決まるかもしれなくて……」
「そこまで進んでんの?!」
「そりゃあ、結構前から準備してきたし……守と付き合う前からずっと」
「そ、それはわかったが……喫茶店の経営ってなあ…で上手くいくかわからないしよ……このままバイトじゃダメなのか?」
「うん。 私の喫茶店を持ちたい。 そ、その、もし将来的に結婚とか考えるなら、私が喫茶店をやるのを認めてほしい」
おお、三浦さん結構しっかりと言うね!
何としも喫茶店を経営したいって言う強い気持ちが表れてるねぇ!
「結婚か……さすがにまだそこまで考えてはいないけど……それはあれ? 仕事辞めて俺にも手伝ってほしいって話?」
「ち、違う違う! 喫茶店はあくまで私が自分でやるんであって、守にも手伝ってほしいとかじゃないから。 ちゃんとバイトとか雇って切り盛りするつもり」
「ふーむ……」
ここで彼氏さんは考え込むように唸る。
さすがに即答は出来ないか。
彼氏さんや三浦さんが言うように、喫茶店の経営というのも簡単ではないのである。
流行らずに収益も上がらないと、早々に店を畳まなければならない事もあり得る。
それでもやりたいという三浦さんの気持ちを、彼氏さんはどう受け止めるかだ。
「お店はまだ決まってないんだろ?」
「決まってはいないけど、決まるかもって段階で……今、隣町の方で建設中のお店があるらしいんだけど、そこの店長を任せてもらえるかもしれなくて」
「ふむ」
「西條グループのチェーン店なんだけど」
「さ、さ、西條グループ?! ってことはサイジョーカフェ?」
「多分」
「多分じゃなくてサイジョーカフェだよ」
「あ、そうですか……って、誰?!」
スタスタスタスタ……
「このバカ……」
ぺちん!
「痛っ……奈々ちゃん、そんな本気で叩かなくてもぉ」
「最大限に手加減したけど?! あ、お騒がせしてすいません。 ごゆっくりどうぞ」
奈々ちゃんは、2人の会話に横入りした私に説教してから三浦さん達に謝ってカウンターの方へ戻っていく。
うーん、痛いよぉ。
「えっと……」
「こ、この人はこの店の常連さんで、私が喫茶店やりたい事を知ってて」
私はもう話に横入りらしないよ。
奈々ちゃんに叩かれたくないからね。
「まあ……わかった。 結婚どうこうはまだ何とも言えないが、蛍のやりたいようにやってみると良い」
「ま、守……ありがとう!」
「結婚どうこうはまだ何もわからないけどな……」
「うっ」
「なはは! 一件落着ー!」
「こら!」
ぺちん!
「へにょわ?!」
今度は麻美ちゃんが奈々ちゃんに叩かれてるよ。
でも、話はついたみたいだし私達の事は話しても大丈夫じゃなかろうか?
三浦さんと名塚さんに目配せして、一応確認を取る。
2人は小さく頷いて、私達が話に入ることを許してもらう。
「こほん。 失礼します。 お話を聞かせていただきました」
「いや、ずっと聞き耳立ててましたよね?! 途中で話に入って来てましたよね?!」
彼氏さんに激しくツッコまれてしまうが、そんな事はお構いなしに自己紹介を始める。
「私、こういう者です」
名刺を取り出して彼氏さんに手渡す。
「ご丁寧にどうも……西條ホールディングス代表秘書……西條ホールディングス?! 代表秘書?!」
「簡単に言うと西條グループ次期総帥の専属秘書です」
伊達メガネを掛けて、クイックイッと動かす。
「えっと、つまり?」
「今回の件では、三浦さんに隣町に建設中のサイジョーカフェの経営を任せるつもりでしたので、悪いと思いながらもお2人の話を聞かせてもらっていました」
「そゆこと……」
「な、何か変だと思った……」
「でもまあ、とりあえず! これで三浦さん側の心配が無くなったという事だね。 後は明日、三浦さんには西條奈央ちゃんと直接会って話をしてもらう事になるよ」
「は、はい」
クイックイッ!
「な、何かどんどん話が大きくなって来たな……」
「いやいや。 反対し出したらどうしようか思ったさね」
「そうよね。 麻美なんかソワソワしてたわよ?」
「なはは。 飛び出していくとこだったー」
「とにかく! 三浦さん良かったねぇ。 ちゃんとわかってもらえて」
「はい。 ありがとうございます! 後は明日ですね」
「奈央ちゃんは明日はオーナーとして話をしに来るからねぇ。 ちゃんと支店を任せるに足る人材かを見定める意味もあるから、しっかりとアピールしてね!」
「はい! 頑張ります!」
こうして、まずは彼氏さんの説得を終えた三浦さん。
明日は奈央ちゃんとの話し合いだよ。
あとは奈央との話し合い。
「奈々美よ。 経営か。 私も考えた方が良いのかしら?」
「スパの経営? 考えてみたら良いと思うよ?」




