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第2324話 緑風恋愛会議

麻美第はまた緑風でバイト中。

 ☆麻美視点☆


 1月16日の月曜日ー。

 旅行から帰って来た翌日ー。


「2人共、旅行どうだったさね?」

「最高でしたよ」

「なはは。 楽しかったー」


 最近復帰した緑風のバイトに来ている私達ー。

 名塚先輩と三浦さんに旅行のお話を聞かせているとー。


 カランカラン……


「いらっしゃいませー! 1名様ですかー?」

「あー、麻美ちゃんその人の接客は蛍ちゃんにお任せして良いから」

「ほへー?」


 やって来たお客さんに接客していると、名塚先輩にそう言われたー。

 私の代わりに接客に入るのは三浦さんだ。

 下の名前は蛍というー。


「あの人、三浦さんの知り合い?」

「三浦さんの彼氏さん」

「おー、なるほどー」


 そういう事だったのかー。


「むふふ。 なるほど、三浦さんの彼氏さんなんだねぇ」

「あー?」

「のわー?! 亜美姉と美夕ちゃんいつの間に来たのかー?!」

「あのお客さんの後ろから入って来たんだよ。 麻美ちゃん気付かなかった?」

「うむー」


 気配消してたのでは無かろうかー?

 亜美姉はすぐそういう事するからー。


「あの2人は付き合い始めてどれくらい?」

「確か、去年の夏ぐらいからだから半年経たないぐらいかな?」

「まだホヤホヤだねぇ」

「それがそうでもないのよ。 あの2人も幼馴染らしいから」

「じゃあもう熟年夫婦ね」

「それがまたそうでもないのよ。 実は彼氏さん、長い間関西に行ってて、去年就職の為にこっちに戻って来たみたい」

「結構空白期間あるの?」

「15年くらいあるみたい」

「ほむほむ」


 とはいえ、それだけの空白期間がありながら今はしっかりお付き合いしているという事は、上手くはいっているという事かー。


「あ、いつものを」

「いつもの入りましたー。 美夕ちゃんまた後でね」

「あー」


 亜美姉はしょっちゅう美夕ちゃんを連れて来るらしく、緑風の店員の中ではちょっとした名物になっているらしい。


「はてさて、三浦さんと彼氏さんはこれからどうなるか。 楽しみだよ」

「何で亜美が楽しみにするのよ……」

「なはは」



 ◆◇◆◇◆◇



 三浦さんの彼氏さんが仕事に向かった為、平常運転再開ー。


「まあ、この時間はお客さんあんまりいないけどー」

「学生さん達が多いからね」

「亜美姉もしょっちゅう来てるー」

「うむだよ。 ところで三浦さんと彼氏さんは上手くいってる感じだけど、どんな感じ?」

「うーん。 やっぱり空白期間長くてちょっとギクシャクしてる気はしますねー」

「そうなの?」

「15年だっけ?」

「はい。 実際は一緒に過ごした時間の方が短い幼馴染なんです」


 なるほどー。 幼馴染にも色々と違う形があるのかー。

 私達は物心ついた時からずっと一緒だけど、中には一度遠くに行って戻って来たっていうのもあるんだねー。


「逆に、よくそれが付き合う事になったわね?」

「まあ、離れるまでは仲良くしていたので、再開したら自然と」

「でもちょっとギクシャクなんだね」

「急に関係性が変わった所為だとは思うんですが」

「ふうむ」

「お付き合い始めても今まで通りで良いんじゃないの?」


 名塚先輩が首を傾げる。


「いやー、恋人ってなるとやっぱり今までとは違くないですか? キ、キスしたり、その、えっ……な事とかもするじゃないですか?」

「ウブね」

「ウブだわ」

「なはは」

「青春だねぇ」

「え、えー……」


 三浦さんはどうやら、今まで彼氏らしい彼氏というのはいた事が無いらしい。

 なので、そもそも恋愛をよく知らないとの事。

 色々と手探りでお付き合いしているらしいー。

 私だって彼氏いた事無いぞー!


「まあその内にお互いが心地良い距離ってのに落ち着くわよ」

「そうそう」

「ほ、本当ですかー?」

「本当本当。 心配しなさんな」

「困った事があれば私達に相談すると良いさね」

「なはは! 何でも協力するぞー!」

「あ、ありがとうございます! その時は頼らせていただきます!」


 という事で、三浦さんの恋愛話はここらで一旦お開きとなり、通常業務に戻るのだったー。



 ◆◇◆◇◆◇



「お疲れ様でしたー」

「お疲れ様ー」


 今日の分のバイトが終わり、家に帰るところであるー。


「しかし、三浦さんに彼氏が出来ていたとはな」

「夕也兄ぃ、居たのかー」

「ずっと皿洗ったり掃除してただろ……」


 三浦さんと話をしてる時は居なかったー。

 洗い場に居たのかー。


「まあ、居てもおかしくないでしょ。 三浦さんって麻美と同学年よ? 大学出て一応は社会人なんだし」

「就職はしなかったんだな」

「何か今は喫茶店の経営の勉強してるってー」

「へぇ」

「緑風継ぐつもりなのか?」

「自分のお店を持ちたいんじゃないかなー?」

「凄いわね。 あの歳でもうそこまで考えてるなんて」

「だな」


 三浦さんは調理師の勉強もしているのだとかー。

 結構本格的ー。


「彼氏さんは普通のリーマンなんだろ?」

「らしいわね」

「三浦さんがお店やるのには協力的なんかね?」

「さあ……その辺は聞いてなかったわね」

「うむー」


 まあまだ付き合い始めて半年程との事だから、そこまで将来の事を考えていないのかもしれないー。

 とはいえ、三浦さんが将来自分のお店を持ちたいという話ぐらいは、彼氏さんにしていてもおかしくはないはず。

 どうなっているのかー。



 ◆◇◆◇◆◇



 翌日ー。

 緑風で三浦さんに話を聞いてみるとー……。


「実はまだ話してないんですよね」

「してないのかー」

「まだ彼との将来をそこまで意識してないって事?」

「付き合い始めて半年ですからねー。 この先上手くいくとも限らないし」

「そりゃそうだが……話はしても良いんじゃないのか?」

「そそ。 早めに話はしといた方が良いわよ」


 名塚先輩にも言われ、三浦さんは「そうですかね……」と、少し考え込んだ。


「他にも何か問題が?」

「いえ、そんな事は無いんですけど」

「なら早い方が良いわよ。 将来彼と結婚する気があるなら、自分のやりたい事をちゃんと理解してもらっておかないと」

「そうそう」

「わ、わかりました。 今度彼に話してみます」

「うむ!」

「不安なら店に来た時にでも良いじゃん。 私達もついてるし」

「あ、ありがとうございます」

「私達は三浦さんの味方だぞー!」

「そうよ」

「た、頼らせてもらいますね」

「ま、俺はそこまで力になれないかもしれんが」

「ありがとうございます」


 という事で、私達緑風のスタッフは三浦さんの恋を全力で応援する事に決めたのだったー。

 次に彼氏さんが来る日は土曜日だという事なので、それまでは静かに時を待つ事になりそーです。



 ◆◇◆◇◆◇



「土曜日だね。 その日は私も美夕を連れてパフェを食べに行くよ」

「亜美姉はしょっちゅうパフェ食べに来てるー」

「そうよ。 どうせ明日も来るでしょ?」

「行くよ!」


 亜美姉も三浦さんの恋応援し隊に入隊するようだ。

 多分、人の色恋話が好きだから首を突っ込みたいだけなんだろうけどー……。


三浦さんの為に一肌脱ごう!


「希望です。 三浦さん、実は彼氏いなかったんだね」

「みたいだね。 全力応援だよ」

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