第2317話 滝巡り
下呂温泉に到着した紗希達ママさん組。
☆紗希視点☆
今日はママさん組プラス麻美で、息抜き旅行に来てるわよ。
岐阜の下呂温泉に来ている私達は、ケイちゃんとかいう料理を食べる為に移動中よ。
「ケイちゃんって?」
「鶏ちゃんって書いてケイちゃんだよ」
「鶏なのね」
「うん。 味噌ダレや醤油ダレに漬け込んだ物を、キャベツとかの野菜と一緒に炒めた物だそうだよ。 この辺りの郷土料理として有名なんだよ」
「美味そうじゃん!」
「腹減った!」
「楽しみー!」
それぐらいの料理なら、私達でも簡単に再現出来そうね。
帰ったら作ってみーましょ。
「ここが我が西條グループが鶏ちゃんを出しているお店よ」
「おお」
「外まで味噌の匂いが……」
「腹減った!」
「なはは」
「入るよ。 あ、ペット達は入店出来ないから、隣のペットハウスに一時預けるよ」
ちゃっかり隣にペット用の預かり所が併設してんの笑うわね。
西條グループのお店でペット不可の場所には、大抵併設してるみたい。
ペットと旅行を楽しみたいけど、どうしても入れない場所はあるものね。
「いらっしゃいませ!」
「おー! 良い匂いー!」
「食欲唆るわね」
「きゃはは」
「腹減った!」
「奈央ちゃん」
「わかってますわ!」
そう言って奈央が取り出したのは「西條グループプラチナカード」ね。
あれは西條グループの人間が、自グループの店でのみ使えるスーパーカードよ。
大体の店では予約無しでVIP席に座れるらしい。
「て、店長ー、何だが変なお客様達が……」
「どうしたのかね……そ、それは!? し、失礼致しました!」
「良いですわよ。 バイトにまで徹底しろとは言えませんもの。 VIP席に案内して下さる?」
「かしこまりました!」
と、こんな感じになるわけね。
奈央が言うように、普通は末端のバイトにまではこのカードの存在を周知されていない。
そもそもこのカードを持っているのが、西條グループでも一部の上位層、西條家の人間とその専属の秘書や幹部数名だけらしいから。
亜美ちゃんも持たされているわね。
店長さんに案内してもらいVIP席に着いた私達は、早速「鶏ちゃん焼き」を人数分注文する。
「楽しみー」
「腹減った」
「味の想像はつくけど、絶対美味しいやつよねこれ」
「うん、ご飯が進むこと間違い無しだよ」
「そうよね。 楽しみだわ」
「おほほ。 私も実は初めて食べるのよね」
というわけで後は運ばれて来るのを待つわよ。
「ちなみにこのお店で出してる鶏ちゃん焼きは、どの素材も……」
「はいはい。 最高級なんでしょ」
「あぅ。 その通りだよ……」
「きゃはは。 西條グループのお店がそこを妥協するわけないものねー」
最高級地鶏と野菜、味噌まで最高級らしいわ。
さすがねー。
「なはは。 亜美姉も西條グループの人間になってちょっと変わったー」
「奈央ちゃんの専属秘書だからね。 グループの情報は全て把握しておかないとだよ」
「総帥である父様でも全ては把握してませんわよ……」
「亜美ちゃんさすがー」
亜美ちゃんの頭脳は私達の理解を遥かに超えてるわねー。
「お待たせしました、鶏ちゃん焼き7人前です」
「おお」
「きちゃー」
「美味そうだな! 早く食おうぜ!」
「うんうん。 いただきます」
「いただきますー!」
「いただきます」
運ばれて来た鶏ちゃん焼きを、早速口に運ぶ。
「んむっ!」
「うめー!」
「うんうん! 美味しいねぇ! 鶏肉にしっかりと味噌の味が沁み込んでて、香ばしい香りが口の中に広がるよ」
「亜美ちゃん、これ再現出来そう?」
「材料さえあれば難しくはなさそうだねぇ!」
「おほほ。 帰ったら通販で取り寄せますわよー!」
「味噌の甘辛い味が白米欲を唆って止まらないぜー! ガツガツ……」
「もうちょっとゆっくり食べなさいよ……」
とはいえ、確かにこれは箸が進むわ。
世の中にこんな料理があったとは知らなかった。
郷土料理、興味深いわ。
「おかわりしていいか!?」
「食べるの早っ?!」
「なはは。 さすがは蒼井先輩ー」
「注文しなさいな」
「おう! あと三人前追加だぜ!」
1人でどんだけ食べんのよこいつは……。
◆◇◆◇◆◇
お昼ご飯の鶏ちゃん焼きを堪能した私達は、預けていたペット達と合流。
ペット達も美味しいお昼をもらっていたらしく、満足そうな顔をしているわよん。
「この後は滝巡りだっけ?」
「うん。 ただ200本あると言っても、全部を一回で見る事は出来ないよ。 色々なコースがあって、コース毎に見られる滝は1本から数本ぐらいだね」
「中には三時間コースもあるわよー! この時期は普段は入れないコースだけど、我がグループの権限で無理を言って入らせてもらいますわよ!」
「金に物を言わせたわね……」
「あはは……安全確保の為にベテランガイドさんも同行してもらうよ。 こっちもかなり無理を言ってお願いしたよ」
これは西條グループだから出来る事なのね。
通常は春から年末までの期間に開放されているコースみたいよ。
普通の人はちゃんと期間中に見に来る事!
「で、こちらがガイドの滝本さん」
「滝だけに!」
「よくネタにされます……」
という事で、ここからはこの滝本さんのガイドに従って、滝巡りを進めて行く事になるわ。
さすがにペットを連れて歩くのは危険という事らしいので、ペット達はバスで待機しててもらうわよ。
「皆さんをご案内するのは、初心者向けのスタンダードコースとなります。 歩きやすい遊歩道で、スニーカーでも簡単に歩ける三時間コースとなります。 3本の滝本と、溶岩台地等をご覧いただきます。 普段はガイド不要のコースでありますが、本日は期間外での滝巡りという事で、私が付き添います」
「無理言って入らせてもらってすいません」
「いえ。 本日の特別報酬は公園の維持費に充てさせていただきます。 逆に助かります」
どんだけ払ったのかしらねー……。
「今日は比較的暖かいので、滝も凍ってはいないでしょうし、遊歩道も凍結はしていないでしょうから歩きやすいと思います。 まずはこの公園からスタートして最初の滝を目指しましょう。 最初の三ツ滝は公園から近い場所にありますので、気軽に見られる滝として人気のスポットです」
「なはは。 イクゾー」
「うわはは!」
「きゃはは!」
「おー!」
「げ、元気な方々ですね」
「あはは……」
ガイドさんも驚く程元気なママさん組なのであった。
遊歩道を歩く事数分。
まずは最初の滝である三ツ滝と呼ばれる滝に到着したわ。
「この滝は上段、中段、下段と三段に分かれた滝となります」
「段瀑ー!」
「よくご存知で」
亜美ちゃんが自分の庭に作った滝も三段滝だったわね。
まあ、さすがに本物の迫力には勝てないけど。
「ここから滝を下から上に登りながら見学していきます」
「おおー! 滝の横を登って行くのかー」
「なはは!」
「うわはは! 滝登りー!」
うーん。 テンション上がるわね!
滝ってデザインのモデル的にもカッコいいし、ちゃんと見ておきましょ。
お腹も膨れていざ滝巡り!
「希望です。 私は『皆の家』でのんびりだよぅ」
「そっちにも自作の滝があるねぇ」




