第2316話 息抜き旅行へ
バイトに復帰した奈々美達。
☆奈々美視点☆
1月13日の金曜日。
緑風のバイトに復帰した私達。
早速今日はシフトに入っているわ。
「おお、この子が藍沢さんの娘さんの美夜ちゃん?!」
「可愛いですねー」
「あーう」
今日は是非美夜を見たいという名塚先輩達の為に、美夜を店に連れて来たわ。
私が仕事中は奥の部屋で寝かせておいてくれるらしい。
「店長ー! ベビーベッド置いとかないといけませんね!」
「ええっ?」
「だって、藍沢さんがシフトの日はお子さん連れて来ないといけないじゃないですか?」
「いや、それは亜美が面倒を見てくれるって言ってて」
「パフェの人? 美夕ちゃん連れてよく来るけど、2人の面倒見られるのかな?」
「亜美は家事育児スキル無茶苦茶に高いから多分余裕なんだよなあ……」
「なはは。 完璧超人ー」
カランカラン……
「普通の人間だよ」
私達が客のいない店内で駄弁っていると、件のパフェの人こと亜美がやって来た。
腕には美夕を抱えているわ。
「本当に美夕を連れてよく来るのね……」
「緑風は私にとって無くてはならない喫茶店なんだよ」
「いらっしゃいませ。 ああ、美夕ちゃんー」
「美夜ちゃんと揃った!」
名塚さんと三浦さんは美夜美夕を見てテンションが上がっている。
ちゃんと接客しなくて良いのかしら。
「いつもので良いですか?」
「いつもので」
「いつもの入ります」
亜美の注文は「いつもの」で通る。
フルーツパフェしか頼まないからね。
「美夜ちゃんはお店に連れて来て面倒見る感じになるの?」
席に着きながら先程私達がしていた会話の内容を確認する亜美。
いや、その話題は亜美が店内に入ってくる前にしていた筈なんだけど……。
「私はまあ、近くに居てくれた方が安心ではあるわね」
「ふむふむ。 私はどちらでも構わないよ」
「じゃあ、半々くらいでお任せしても良いかしら?」
「らじゃだよ」
折衷案で半々という事にしたわ。
ちなみに亜美は「どうせしょっちゅう来るけどねぇ」と、笑いながら言うのだった。
「フルーツパフェお待たせしましたー」
「おお、麻美ちゃんも頑張ってるねぇ」
「なはは。 久しぶりにフロアスタッフやってるー」
「勘はすぐに取り戻せそう?」
「うむー」
私もフロアの方は問題無さそうだ。
奥のキッチンの方も早めに勘を取り戻したいわね。
「店長。 俺、洗い物出来るようになりましたぜ」
「え? あの今井君が洗い物?」
「今井先輩何があったんですか?」
名塚さんと三浦さんは夕也の話を聞いて驚愕の顔を見せる。
洗い場に入れたら皿やコップを割るから、大学時代は出入り禁止になってたものね。
「んむんむ。 家事を練習させたんですよ。 家事育児は夫婦の共同作業なので。 んむんむ」
「おお、なるほど」
「まあそんなわけだ」
「んむんむ。 明日からは希望ちゃんと2人で家事育児頑張ってね」
「ん?」
「ん? じゃないよ。 明日と日曜日はママさん組で息抜き旅行だよ」
「あ、ああ、そういえばそうだったな。 忘れてた」
「なはは」
「奈々ちゃんと麻美ちゃんはもう準備出来てる?」
「ええ、もちろんよ」
「私もー」
「うむだよ」
「息抜き旅行? 良いねぇー。 私も旦那にせがもうかしら」
名塚先輩はそう言って笑うのだった。
◆◇◆◇◆◇
翌日! 早朝5時よ。
「じゃあ宏太、美夜とくぅ達は任せたわよ?」
「おう、ゆっくりして来いよ」
「あーい」
「ええ。 じゃあ行って来るわ」
という事で、ママさん組の息抜き旅行へと出発よ。
まずは「皆の家」に集合という事で、亜美と麻美、それにマロン、メロン、タマを連れて向かうわ。
「おはようだよ。 寒いけど良い天気だねぇ」
「そうね。 夕也と希望は大丈夫そう?」
「うん。 夕ちゃんも家事を出来るようになったし、心配は無いよ」
心配はそっちだけじゃないと思うけれど……。
まあ、希望ももうぶっ飛んだ真似はしないか。
「なはは。 希望姉にチャンス到来ー」
「んん? チャンス?」
「ほら、夕也と2人でしょ?」
「あっ! って、まあ大丈夫だよ。 多分」
と、亜美も希望と夕也を信用しているようだ。
歩いて「皆の家」へとやって来た私達は、門の中に見慣れたバスが停まっているのを横目に屋敷内に入る。
リビングにはママさん組が集まっていたが、遥がまだとの事でしばし待機することに。
「遥が来るまでに日程を説明しますわね」
「はーい」
「まずはバスで約5時間。 まあ休憩もあるからもうちょっとかしら」
「かなりあるのね」
「ええ。 着くのは11時ぐらいですわ」
そりゃ早朝に集合するわけだわ。
遥が遅れてはいるけど、昼前には着いているみたい。
「で、着いたらお昼と観光!」
「わかりやすいわねー」
「なはは」
バタバタ……
「すまん! ちょっと遅れたぜ!」
「大丈夫ですわよ。 皆揃ったし、早速出発しましょう!」
「おー!」
という事で、ママさん組と麻美、それにペット達も連れての温泉旅行に出発よ。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
「観光って、何を見るの?」
「実はね、下呂には滝巡りがあるんだよ 200本もあるんだよ 全部は見れないけどねぇ」
「200?!」
「滝だらけじゃーん」
「あはは。 お昼食べたらまずはそこを見ていくよ。 んで、その後は麻美ちゃんのリクエストにお応えして、近場の御朱印巡り」
「ありがとうございますー!」
「まあ、普段行けない所だし許してあげましょう」
私もここは寛大になるわよ。
「その後は旅館にチェックインして、のんびり過ごすよ」
「温泉ね!」
「温泉も楽しめるねぇ」
この息抜き旅行のメインとも言えるわね。
「奈々美は相変わらず温泉狂いですわね」
「嫌いな人いないでしょ?!」
「ま、まあ多分」
「そうだわ。 温泉旅行で思い出した! 亜美、希望がクリスマスのビンゴで当てた温泉はいつ行くのよ?」
「んん。 暖かくなってからにしようかって話してるよ」
「城崎よね? 私も行きたいから予定決まり次第教えてよね」
「え、あれは家族券だよ?」
「だから個人でついて行くのよ」
「ら、らじゃだよ」
温泉なら絶対に行かないといけないわ!
「有名な温泉はまあまあ行きましたわね」
「だねぇ」
「まだまだ、沢山あるわよ!」
「お姉ちゃんの野望が叶う日は来るのかー?」
「ま、出来るだけ頑張るわよ」
あらゆる温泉を制覇するのが私の野望よ。
奈央は苦笑いしながらも「出来るだけ協力はしてあげるわ」と、言ってくれるのだった。
◆◇◆◇◆◇
途中で休憩を挟み、予定通り11時には下呂温泉街に到着した私達。
旅館のチェックインはまだ無理だということで、まずはお昼を食べに行く事に。
遥は既に「腹減ったモード」に入っているわ。
「西條グループのお店に向かうよ。 食べるのは鶏ちゃん焼きっていう料理だよ」
「ケイちゃん?」
「ま、説明は後でしますわ。 行きますわよー」
ケイちゃんとは何なのかしら?
楽しみだけどちょっと気にもなるわね。
息抜き旅行開始!
「亜美だよ。 息抜きするよ!」
「温泉よ!」




