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第2284話 祖父母達

何処かへ出かける様子の亜美と希望。

 ☆亜美視点☆


 今日は12月11日の土曜日だよ。


「希望ちゃん、準備出来てる?」

「ぅん」


 今日は中々に忙しい一日になる予定である。

 まずは午前中に、希望ちゃんの祖父母のお家に美夕を連れていくよ。

 産まれてからまだ会わせてあげられていないからねぇ。

 希望ちゃんの祖父母の家は、駅の方だよ。

 秋田に住んでいたのだけど、数年前にこちらに引っ越してきてもらったのだ。

 希望ちゃんと私はちょこちょこ顔を出すようにしている。


 その後は東京のお父さんとお母さんの所へ向かうよ。

 年始に行くって言ってるのに、「美夕に会いたいから早く連れて来なさい」って催促されたのだ。

 仕方なく今日連れて行って、泊まって明日には帰ってくるつもりだよ。


「というわけで夕ちゃん、留守番は頼んだよ」

「おー。 まあ、『皆の家』に行ってるさ」


 夕ちゃんはお留守番。 明日はバスケの試合があるかららしい。


「じゃあ行ってきます」

「行ってくるよぅ」

「あーぅー」

「おう」


 さて、まずは駅近くにある希望ちゃんの祖父母の家に行くよ。

 歩いて行けるので楽である。


 歩いて15分程で目的の家に到着だ。

 秋田県まで行っていた頃は大変だったからね。

 まあ、私はあまり行けてなかったんだけど。


「お爺ちゃん、お婆ちゃん来たよぅ」

「おー、のんちゃんに亜美ちゃん」

「あー?」

「おやおや、この子が亜美ちゃんの子かい?」

「はい。 美夕(みゆ)です」

「おお、美夕ちゃんかい。 可愛い顔しとるねー」

「亜美ちゃんに似とるかの?」

「あはは。 そうですかね?」


 お爺さんお婆さんも美夕を見て表情を綻ばせている。

 直接の血縁は無いものの、二人はまるで曾孫娘にでも会ったようである。


「あー」

「のんちゃんは良い人はおらんのか?」


 と、お爺さんが希望ちゃんに訊いているが、希望ちゃんはいつも通り「いないよぅ」と返すのであった。

 希望ちゃんはまだまだ夕ちゃんの事が好きなようだ。

 希望ちゃんがそれで良いというのなら良いんだけど。

 何処かに、希望ちゃんの事を大事にしてくれる男性が居ないものかねぇ?


 

 ◆◇◆◇◆◇



 昼食を希望ちゃんの祖父母の家でいただいた後は、また美夕を連れて来る約束をして東京のお父さん達の家へ向かう。

 車でも良いんだけど、今回のところは電車で向かうよ。


 ガタンゴトン……


「あー?」

「美夕ちゃん、不思議そうな顔してるね」

「電車は初めてだからね」

「そもそもそんな事を理解してるのぅ?」

「さあ? 目は見えてるはずだから、初めて見る物はわかるんじゃないかな?」

「そぅなの、美夕ちゃん?」

「うー?」


 美夕は何とも言えない表情で希望ちゃんの顔を見つめ返している。


「にしても、年始まで待てないものかねぇ」

「初孫だからね。 そりゃ会いたいと思うよぅ。 亜美ちゃんだって可憐ちゃんが産まれた時はそんなんだったよぅ」

「た、確か」


 それを言われると、お父さん達の気持ちも何となくわかるよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 東京についてタクシーを拾ってお父さん達の家を目指すよ。

 東京駅辺りでは宮下さんや新田さんがよく来ているらしい。

 今日ももしかしたらその辺にいるかもね。


「あーい!」

「美夕は元気だねぇ。 もうちょっとでお爺ちゃんお婆ちゃんに会えるからねぇ」

「うー」

「まだお爺ちゃんお婆ちゃんって言ってもわからないんじゃ?」

「まあそうだろうけど」


 言葉の意味さえ理解出来ない美夕に、お爺ちゃんお婆ちゃんなんて言ってもかなあ。


「いやいや。 でも聴覚自体は働いてるし、言葉を聴かせていくことは大事だよ」

「はぅ。 教育ママになりそう」

「いやいや。 私は美夕の意思を尊重するよ」

「本当かなぁ」


 我が子のやりたい事を優先してやらせてあげる。

 そんな伸び伸び教育を志すよ。


 タクシーで走る事10分程で、私達はお父さん達の家に到着したよ。


 ピンポーン……


 と、インターホンを鳴らすだけ鳴らして返事を待たずにドアを開ける。


 ガチャ……


「お父さん、お母さんー。 美夕連れて来たよー」

「いらっしゃい亜美、希望、美夕ちゃーん」


 美夕の名前を呼ぶ時だけ猫撫で声になるお母さん。


「亜美ちゃんがマロンとメロンを可愛いがる時と同じだよぅ」

「私、こんな感じなの?!」

「ぅん」


 客観的に見るとちょっと恥ずかしいねぇ。

 今度から気を付ける事にしよう。

 

 とりあえずリビングに向かいクッションに腰を下ろす。

 美夕は近くに布団を敷いて寝かせておくよ。


「美夕ちゃーん。 可愛いわねー」

「あーい」

「お母さん、あまり顔近づけると怖がるよ……」

「大丈夫よ。 あんたは喜んでたもの」

「私とは違うよ……」

「でも、美夕ちゃん喜んでるよぅ」

「えぇ……」

「きゃっきゃっ」

「亜美に似てるわ」

「そ、そうなんだね……」


 そういえばお父さんの姿が見当たらないねぇ。

 希望ちゃんもそれに気付いたようで、キョロキョロと辺りを見回す。


「お父さんは? 美夕ちゃんに会うの楽しみにしてたのに」

「お父さんなら書斎よ。 お仕事がまだ残ってるみたい」

「私達が来てる事気付いてるのかな?」

「多分気付いてはいると思うわ。 今日は泊まっていくんでしょ? 多分後で時間は作れるから今は仕事優先なんじゃないかしら?」

「そうなんだねぇ」

「お父さん、今忙しいのぅ?」

「大きなプロジェクトを任されてるみたいよ」

「おお……ちょっと美夕を連れて様子を見に行くよ」

「邪魔しちゃダメよ?」

「わかってるよ」


 せっかくだから美夕に早く会わせてあげたいからねぇ。

 美夕を抱っこしながらお父さんの書斎……仕事部屋へ向かう。


 コンコン……


 一応ノックしてから部屋に入っていくよ。


 ガチャ……


 カタカタ……


 部屋に入ると、キーボードを打鍵する音が聞こえてくる。

 どうやら集中してこちらには気付いていないようだよ。


「お父さん、美夕連れて来たよ」

「おお?! あ、亜美か……びっくりしたなあ」

「あはは、ごめん。 お仕事? 大変だねぇ」

「あーうー」

「おお、美夕ちゃんかあ。 昔の亜美に似て可愛いな」

「皆そう言うねぇ」


 赤ん坊だった頃の私を知る人物は、皆口を揃えてそう言うよ。


「にしても、お仕事そんなに大変なの?」

「ううむ。 今回は中々大きな仕事でな」

「どれどれ」


 私はモニターを覗き込み、軽く内容を読んでいく。

 ふうむ。


「見てもわからんだろ」

「うーん。 ここのデータ、もうちょっと詳しいの出せないかな? あと、こっちもコストをもう少し下げられそうだよ」

「……お前は一体どんな頭しとるんだ?」

「え? 普通だよ。 これでも天下の西條グループの次期総裁専属秘書なんだよ」

「そ、そうだったなあ……我が娘ながら恐ろしい……」

「この辺りも西條グループと提携すればスムーズに運ぶしコストも抑えられるよ。 奈央ちゃんに話をすれば一発解決だよ」

「な、何かお父さん自身失くしそうだなあ」

「ええ……」

「あーう」


 ちなみにこの後、奈央ちゃんに連絡を取ってお父さんのお仕事と提携する事になったよ。

 お父さんのお仕事、成功間違い無しである。


希望の祖父母に美夕を会わせた後は清水家の両親に。


「奈々美よ。 私は実家が近いから楽なものよ」

「そこは羨ましいよ」

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