第2249話 出逢いが無ければ始まらない
弥生との通話を終えた渚は?
☆渚視点☆
10月5日の火曜日。 いきなりお姉ちゃんから電話があった思うたら「彼氏作る気はあるん?」みたいな事を言われた。 ほんまいきなりかけてきて意味わからんなあ。
「なはは。 渚的にはもう、夕也兄ぃの事は良いのー?」
「良いも悪いも、とっくの昔にフラれとるやないか。 今井先輩かてもう奥さんがおるんやで」
「愛人枠ならあるぞー」
「そんなん、あんたと雪村先輩ぐらいしか狙ってへんわ」
「そっかー」
面倒な事に麻美にも会話を聴かれてもうたわ。 まあ麻美も特に何か言うような事はあらへんけど。
「出逢いが無いのは仕方ないかー。 でも、好きな人出来たら教えてねー」
「何で教えなあかんのよ……」
「それは協力したいからじゃないかー」
「べ、別に協力なんかいらんわな」
「それならそれで良いけどー」
「ええんかいな……」
「うむー。 渚が協力要らないって言うならー。 でも、困った事があったらいつでも相談しろー! その時は力になるー」
「わかった。 もしそうなった時はよろしく頼むで」
「うむー」
「まあ、言うても出逢いあらへんけどな」
「なはは!」
「笑うなや」
とはいえ、私も別に慌ててるわけやないけどな。
◆◇◆◇◆◇
エリー達やくぅが「皆の家」に行きたがるっちゅう事で、私と麻美は「皆の家」にやって来た。 ペット達もここに来たら友達がおるのを理解っとるんやな。
「わふっ」
「ワン」
てけてけ……
屋敷に入ると、何も言わずともリビングへ向かうペット達。 まあ多分他の子はペットハウスの方に行っとると思うけどやな。
「なはは。 私が来たー」
「また騒がしいのが来たわね」
「またまたー! お姉ちゃん嬉しい癖にー」
「はいはい」
「おう、くぅにエリーとアテナ。 元気そうだな。 体重測ってやろう」
「わふ」
今日は佐々木先輩が休みやから、リビングにおらはるみたいやな。 アテナ達の健康状態を見てくれてはるわ。
「おし。 体重も適正だな。 行っていいぞ」
「ワン!」
「わふ」
「おん? くぅ、ちょっと待て」
「わふっ!」
待てと言われて大人しく座りよる。 くぅも麻美から色々躾られとるから、人の言う事はちゃんと聞きよるんよな。
「宏太兄ぃ、くぅ何処か悪いのー?」
麻美が心配そうに覗き込むが、佐々木先輩は首を横に振ってくぅを観察する。
「くぅ、発情適正期に入ってるじゃないか」
「なぬー?!」
「おお、紗希ちゃん状態だねぇ」
「きゃはは!」
「いつでも交尾できるのー?」
「この感じなら7日〜10日はいけるな」
「林さんに連絡してみるー」
急な話になったけど、元々麻美と林さんの間ではお互いの愛犬をお見合いさせる話が出てたらしい。 林さんもくぅの発情待ちしとったみたいやし、スムーズに話は進むやろう。
「はいー。 今確認したら発情期に入ってるみたいですー。 はいー。 私がいつもお世話になっているペットショップが安くでお見合いを請け負ってくれますー! はいー。 それでは今から宏太兄ぃ……佐々木さんとそちらへ向かいますー」
ほんまにスムーズに話が進みよるな……。
「宏太兄ぃ、お休みなのに申し訳ないー」
「別に構わねーよ。 車で行くんだろ?」
「うむー。 ちょっと待っててー」
麻美はくぅにおむつを履かせたりして、出かける準備を始めた。 忙しいやっちゃな。 くぅは何かようわかってへんみたいや。
「じゃあ行って来まーす」
「気を付けてねぇ」
麻美と佐々木先輩は慌ただしく出て行ったで。 くぅも子を産みよるんか。
「また増えるんですね、ペット」
「ですわね」
「私も負けてられへんなあ」
「ん? 渚ちゃん、負けてられないって何の話?」
私の小さな呟きに反応したのは清水先輩。 ほんまにこういう時の反応は早い人やなあ。
「渚ちゃんも子供産みたいの?」
「きゃはは! 今井君、出番よん!」
「何で俺なんだ」
「その前に、何でいきなり子供を産む話になっとるんですか……」
「話飛び過ぎですわね……」
「じゃあ、負けられないって?」
「いえ……まあ、私も新しい出逢いでも探して彼氏作ったりせなあかんなあと」
「まあ、あかん事はないと思うけど、前に進もうとする気持ちは大事よね。 でも急にどうしたのよ?」
藍沢先輩が首を傾げる。 確かにいきなりそんな話し出したら不思議に思うやろなあ。 まあ、別にはぐらかすような事でもあらへんしええか。
皆に私達がここに来る前にお姉ちゃんからかかってきた電話の話を聴かせる。
「弥生とそんな話をねー」
「弥生ちゃん、また急にどうしたんだろうね?」
「宮下先輩に何か言われたみたいでしたね」
「ははーん。 さては美智香っちに『渚っちに負けるんじゃない?』とか言われたんでしょ」
「ありそう」
「似たような事言われたみたいですよ。 私に彼氏が出来たら進展早そう、みたいな」
「きゃはは。 渚もどっちかっていえば奥手なのにね」
「ですね」
「でも、渚ちゃんはまだ彼氏居ないし、好きな人も居ないんだよねぇ?」
「居ないですね。 そもそも出逢いがあらへんし」
「大学で合コンにも参加してなかったもんな」
「まあ、あの頃はまだ前に進もうと思うてへんかったし」
「今は今で出逢い少なそうだもんねぇ」
「ですね」
大学生の間ならまだしも、卒業してプロのバレーボール選手になった今、中々男性との新しい出逢いてあらへんのよな。
「でも別に、何が何でも彼氏作りたいてわけやないですから。 チャンスがあればっちゅうやつです」
「まあ、それくらいで良いんじゃないの? 無理に作るもんじゃないっしょ」
「ですよね」
「でも、出逢いほしいですね」
「ですよねー」
冴木さんと星野さんは結構そういう欲があるらしい。 たまにこういう話題になると、必ず同じような事を言うてはるからな。
「冴木さんは大学で居ないの?」
「まあ、男性はいるんですけど、これは! って人は中々」
「冴木さん、理想高かったりするんじゃないんですの?」
「いえいえ。 多分そこまでではないです」
「冴木さんなら良い人見つけられると思うわよ。 人を見る目はありそうだし」
「だと良いんですが」
「星野さんは年上が良いんだよね?」
「ですね」
皆それぞれ好みのタイプとかはあるみたいやな。 私てどんなタイプが好みなんやろか? 今井先輩みたいな人なんやと思うけど。 何せ一目惚れやったぐらいやからなあ。 いや、まあ見た目だけで惚れたわけやないと思うけど。
「皆、良い出逢いがあると良いねぇ」
「中々難しいですが」
「この際合コンでも開いたら良いんじゃなーい? 奈央なら結構良い男呼べるんじゃないの?」
「呼べるけど、さすがにちょっと一般層とはかけ離れてますわよ。 若手社長とか」
「そ、そこまでの人はちょっと」
「嫌やな」
やっぱり、結婚まで考えて交際するんやったら普通の人がええよなあ。 人生って難しいなあ。
まずは新しい出逢いから。
「奈々美よ。 渚、容姿は良いからモテてはいるみたいだけど」
「理想が高いのかなあ?」




