第1185話 千葉へ帰還
スケートを楽しむ亜美。 夕也と弥生の会話を読唇術で読み取る。
☆亜美視点☆
スケート場でスケートを楽しむ私達。 希望ちゃんや紗希ちゃん、新田さんも夕ちゃんに教えてもらい、ある程度は滑れるようになったみたいだよ。 夕ちゃんは一度リンクから出て休憩している。 何やら弥生ちゃんとお話しているみたいだよ。
「読唇術発動だよ」
一体何を離しているのか、口の動きや下の動きで読んでいく。
「むぅ。 私の話題だね。 あ、弥生ちゃんがバケモンって言ってる。 人間だよーっ!」
いつものやつもしっかりやっておくよ。
「なはは。 亜美姉ー」
「んん? 麻美ちゃんどしたのー?」
私のちょっと後ろを滑る麻美ちゃんが声をかけてきた。 何か凄いスピードだよ?
「亜美姉、さっきからフィギュアスケートみたいな事やってるけど、何であんな事出来るのー?」
「んー。 小学生の頃にスケート初めてやってね、ある程度滑れるようになったからテレビで見たまんま真似してみたら意外と出来たんだよね」
「やっぱり亜美姉は凄いねー。 普通テレビ見ただけで出来ないよー」
「そだねぇ」
それは夕ちゃんや両親にも言われた。 まあ私も概ねそれには同意だよ。 小さな頃からやたらと運動能力が高くて、両親にはいつも驚かれてたっけ? 私自身、自分が一体どうなっているのかわからないよ。
「亜美姉、出来ない事って無いの?」
「やった事ない事は出来ないよ?」
「でもちょっとやったらすぐに出来るようになるんだよねー?」
「そ、そだねぇ」
以前、高校でテニス部の助っ人をした時も試合中にテニスを覚えて、気付いたら県準優勝の人に勝ってしまうという事があった。
「身体能力、学習能力、全てが人並み外れてるが故だねー」
「その能力の出所が謎だよ」
自分の事なんだけどね。
「亜美ちゃんー。 一緒に滑ってー」
「お、希望ちゃん。 良いよぉ」
だいぶ滑れるようになってきたらしい希望ちゃんと一緒に滑るよ。 希望ちゃんもかなり身体能力が高いよね。 色々と上達が早いよ。 私程じゃないらしいけど。
「希望ちゃん上手だね」
「夕也くんが教えるの上手なんだと思うよぅ」
「それはあるかも」
夕ちゃんは他にもサーフィンやスキーなんかを希望ちゃん達に教えた事もあった。 そのどれもが皆脱初心者となるぐらいには上達していた事を考えるに、夕ちゃんの教え方も結構上手なのかもしれないね。
◆◇◆◇◆◇
心行くままでスケートを楽しんだ私達は、一旦別荘に戻り荷物を持ってから、名残惜しみながらその地を後にする。 長野県旅行はこれにて終了である。 遊び疲れた皆は新幹線の車内でぐったり。 私もその1人である。 東京駅に到着した私達だけど、東京組はこのまま千葉の「皆の家」までついて来る予定だ。 せっかくの休みだからこれを利用し、私達とバレーボールの練習をする為である。
「しばらくまた世話になるわ」
「ワハハ、せわになるー」
「なりまス」
「練習頑張ります」
「練習ー練習ー」
と、東京組もかなり私達に馴染んで来たねぇ。
「元気なこったなぁ」
「だね」
そんな東京組を見て苦笑いする私と夕ちゃんであった。
「ところでなんだけど、佐々木君の送別会どうしましょう?」
「送別会だあ? やらなくて良いぞそんなもん」
そうだった。 宏ちゃんは夏まで名古屋に行っちゃうんだった。 宏ちゃんは「どうせすぐに戻って来る」と言い、送別会はしなくていいと言う。 ただ、何かしら理由を付けて騒ぎたい私達は、有無を言わさずに明日に予定するのだった。 宏ちゃんは呆れているよ。
「皆、とりあえず騒げれば理由は何でも良いと思ってないか?」
「あはは……」
「当たり前じゃない。 騒いでなんぼでしょ」
「そうだそうだ!」
「はあ、好きにしてくれ」
宏ちゃんも別に嫌というわけではないみたいで「せっかくだから明日は飲むぜ」と一緒に盛り上がっていた。
宴会は明日なんだけどな。
夕方には千葉に到着。 家に戻る人や「皆の家」に行く人に分かれている。 私達は家に戻るよ。 東京組は「皆の家」に直行。 紗希ちゃんは今日は実家で過ごす見たいで、マリアちゃんは家に帰っても1人なため「皆の家」に泊まるみたいだ。
「じゃあまた明日ねー」
というわけで長野旅行が終わり解散。
「帰って来たよお魚さーん」
「みゃー」
海水魚さんに挨拶。 最近奈央ちゃんがくれた自動餌やり装置のおかげで2日3日ぐらいの旅行なら大丈夫になったよ。 でも凄いねぇこれ。 タンクに餌を予め入れておいて、ダイヤルで1回分の量を設定。 更に時間も設定出来るんだよ。
「うんうん。 今日も元気だね」
マロンもだけど、お魚さん達も元気にしているよ。
「みゃう」
「マロンもご飯にしようね」
実は旅行にしっかりついて来ていたマロン。 今回は特に出番が無かったねぇ。 出番って何って話だけど。
「俺達の飯は何だー?」
「んー。 簡単に出来るやつにするよ」
「おう」
「何か冷蔵庫にあるかな」
希望ちゃんがキッチンへ向かう。 ふむ。 冷凍食品ならあるかもしれない。 無ければ買い出しに行かねばならない。 そうなると外食の方が楽だね。
少しすると希望ちゃんがリビングへ戻って来て「あまり食べられる物は無かった」と告げる。
「んん。 夕ちゃん、外に食べに行く?」
「おお、それでも良いな。 『皆の家』に行ったメンバーも多分外食だろ? 誘って皆で行くか」
「おー、それはナイスアイディアだねぇ!」
そういう事なら早速弥生ちゃんに連絡を取り付け、駅前で再び集合となった。
◆◇◆◇◆◇
18時頃に駅前に集まった今井家と東京組プラスマリアちゃん。
「まあ旅行帰りで疲れて飯作る元気あらへんわな」
「うん。 簡単な物があれば良かったけど、無かったからね」
「ワハハ! ウチはどうせメシつくらへんからカンケーないけどナー」
「キャミィさんはご飯作らないの?」
「面倒がっていつも会社の食堂に行っとるわ」
「あはは」
「まあでも毎日食事作るの面倒なのはわかるー」
「美智香姉……彼氏さんと同棲するならそんな事言ってられないよ」
「たしかにっ!」
「あんさん、今のうちに部屋の掃除する癖とかつけときなはれや」
「えー……面倒くさい」
宮下さんは結構面倒くさがりみたいだ。 いや、まあ解釈一致だけども。
「夕ちゃん君的には面倒くさがりで部屋が汚い女子はどう思う?」
「うーん。 俺も基本的に何も出来ないからなぁ。 宮下さんの事をとやかく言える人間じゃあないが、一般的にはらやっぱり綺麗にしてる人の方が良いと思うぞ」
「そーよねー……面倒だけど頑張るか」
宮下さんは「やるわよー」と気合いを入れている。 やる気になって良かったねぇ。 さて近場のレストランに入り、適当に夕食する私達。 明日には宏ちゃんの送別会を無理矢理やって、後の人はバレーボールの練習をするというスケジュールだ。
オリンピックも近付いて来て練習にも身が入ってきている今日この頃。 大会が始まるみで目一杯頑張るよぉ。
千葉へ戻ってきた皆。 翌日はまたどんちゃん騒ぎだ。
「亜美だよ。 もう少しで宏ちゃんいなくなるんだね」
「惜しい人を……」




