第1182話 ステンドガラス
小さなカートに乗る奈々美達。
☆奈々美視点☆
諏訪湖にあるオシャレなカフェで休憩を挟んだ私達は次なる観光スポットへ向かう。 どうやら遊覧用のカートに乗り20〜30分程進んで行くらしいわ。 辺りには綺麗な花畑が広がっていて、退屈しないわ。
「にしてもかなり登るわね」
「だな」
「はぅ」
カートは小さな物なので、さすがに複数のグループに分けて乗っている。 私と同情しているのは宏太と希望よ。 さっきも言ったように、カートは少しずつ山を登っているみたい。
カートに乗る前に奈央がしていた説明によると、標高は1000mを超えるらしい。 そりゃ登るわけだわ。
「しかしこのカートは操作簡単だな」
「何かゴルフ場で見るカートみたいよね」
「実際ここにはゴルフ場もあるみたいだから、意外とゴルフカートを改造したものかもしれないよぅ」
「なるほどね。 ところで希望は夕也と一緒のカートじゃなくて良かったの?」
「まあ麻美ちゃんにじゃんけんで負けちゃったからね」
麻美と希望が夕也と同じカートに乗りたいと下で騒いでいたが、じゃんけんした結果麻美が勝利。 希望は泣く泣くこのカートに乗っている。 亜美は珍しく2人に譲ることはなかったかわね。
「30分ぐらいの我慢だからね」
「我慢してるのか」
「はあ、傷付くわね」
「はぅっ?! そんなつもりじゃないよぅ!」
「はははは!」
「ふふ、わかってるわよ」
「も、もぅ」
本当に希望をイジるのは楽しいわね。
◆◇◆◇◆◇
約30分程カートで進み、終点へと到着したみたい。 かなり高い所みたいで、先程周遊していた諏訪湖も一望できる。 更に遠くには高い山々の姿が確認出来る。
「あの山は?」
「あれは日本アルプスの山々だよ」
「へぇ、あれが」
亜美がさらっと答えてくれた。 さすがは知識の宝庫ね。 あれが噂に聞く日本アルプスなのね。
「ゼッケーかなゼッケーかなヤデー」
「ようそんな言葉知っとるな? ウチ教えたっけか?」
「ウチかてジブンでベンキョーするガナー」
歌舞伎か何かの台詞だったかしら? キャミィってば本当に日本の文化を勉強したりするのね。 結構意外な一面だわ。 というか元々真面目な性格だったりするのかしら? 弥生が日本での先生みたいな役目を負った所為で、弥生みたいな性格になってしまった可能性があるわね。 京都立華の眞鍋先輩が以前零していたわね。 「弥生に任せたんは失敗やった」みたいなこと。
「にしても、本当に綺麗ですわねー。 ここを選んで正解でしたわ」
「登って来る最中も周りの花畑とかが綺麗でした」
と、マリア。
「そうそう。 あそこ綺麗だったよね」
「そやな。 あれは中々なもんやった」
皆もあの景色には満足しているみたい。 それにこの場所から見える景色にも。
「この後は下りて行ってガラス館に行って、温泉浸かって別荘に帰るんだっけ?」
「ええ」
「ガラス館かー。 そこは見るだけ?」
「ええ。 残念ながら体験は出来ないですわよ。 その代わり、とても綺麗なガラスの芸術作品が見られるわよ」
「なはは! 展示品を割っちゃダメだぞー」
「ワハハ! わかっとるワー!」
「ほ、本当に気を付けてよね……」
「大丈夫やろ。 多分」
まあ、キャミィもそこまでめちゃくちゃしないでしょうよ。 麻美も常識人ではあるから大丈夫そうね。
「じゃあ戻りましょう」
「おー」
リゾート公園から戻るのにまたカートに乗り込むのだった。
◆◇◆◇◆◇
下りて来た私達は、次の目的地のガラス観光へ向かうわよ。 まあ奈央に先導してもらいながらだけど。
歩く事20分。 奈央が立ち止まって振り向いた。
「ここがガラス館ですわ。 中では他のお客さんもいるから静かに観賞してくださいね」
「はいー」
さてさて、このメンバーで果たして静かに出来るかしら?
と、少し心配しながら館内に入る。 館内には大小色とりどりのガラスの細工が飾られている。 本当に綺麗ねー。
「この猫さんの置き物可愛いねぇ」
「昔、亜美ちゃんに買ってやったやつはもうちょい小さなやつだったよな」
「そうだねぇ。 まだ部屋に飾ってあるよ」
「何の話よそれ?」
亜美がいつ猫の置き物を宏太に買ってもらったのかしら?
「あれは高1の時の5月連休の旅行の時かなぁ?」
「たしかそうだった気がするな」
「高1の5月連休……ああ、宏太が亜美にフラれた時ね。 たしかに亜美と2人で行動してたタイミングがあったっけ」
「ぐっ……良い線行ってたはずなんだが、何故フラれたのか未だにわからん」
「あの時は正直揺れてたねぇ……」
あの時の亜美は確かに迷っている感じだったわね。 私のとこにも相談に来てたっけ? 夕也と話した後には吹っ切れた感じになってたあたり、やっぱり宏太に勝ち目は無かったってとこかしら。
さて、ガラス館でガラス製品を見て回る。 綺麗なグラスが沢山並べてあるコーナーを抜けると、ステンドグラスの部屋と書かれた部屋に辿り着いた。
「ここがこのガラス館の目玉ですわ。 入りましょ」
私達は奈央の後に続き部屋に入って行く。 部屋の中はドーム上になっており、一面をステンドガラスで囲まれた幻想的な部屋になっていた。
「ふわぁ」
「ほぉ……綺麗なとこやな」
「神秘的ですね」
弥生やマリアもこの空間には感動を覚えている。 まあそらそうよね。 私もこの光景には言葉が出ないわ。
「ステンドガラスを通ってきた陽の光が七色の線となり降り注ぐ光景。 綺麗だねぇ」
「こりゃ芸術作品だわ」
「そうね。 こういうのデザイナーとかが考えたのかしら?」
「どうかしらね? 結構適当かもしれませんわ」
「幾何学模様だもんね」
「さすがに計算してデザインは無理か」
しばらくの間、ステンドグラスの部屋でゆっくりした私達は、他のお客さん達の邪魔になりそうなので部屋を後にした。
◆◇◆◇◆◇
ガラス館を出た私達は、一度諏訪湖周辺まで戻り温泉に浸かりに行く事に。 ようやくお風呂ね!
「どんな温泉なわけ?」
「別に変わった温泉ってわけじゃないわよ。 一応露天風呂もあるし混浴もありますわよ」
「混浴ですか?」
「あ、もちろん別々に入浴するから安心して」
私達は男子と混浴の経験はあるものの、マリアや東京組なんかは当然抵抗があるはず。 というわけでちゃんと別々に入浴するわよ。
「なはは! 夕也兄ぃしばらくのお別れー」
「ははは。 また後でな」
「じゃあ後でここに集合というわけで解散」
男子3人とは一旦別れて私達は女湯へ向かう。 さて、ふやけるわよー。
「奈々ちゃん、また年寄り臭いセリフ出るんでしょ?」
「別に良いでしょうが」
掛け湯を済ませて温泉に浸かり……。
「はぁ、生き返るわね」
「出たよ」
もういちいち反応するのも面倒ね。
「今日はこれで終わりね。 明日はスケートよスケート」
「スケートかあ。 ウチは滑れるで!」
「私はちょっと苦手だよぅ」
希望はスケートには自信が無いみたい。 まあ、亜美が教えるでしょう。
ガラス館で見たステンドガラスに感動する一行。
「紗希よ。 綺麗だったわよ! ああいうのもデザインに取り込んだりできないかしら」
「紗希ちゃんは仕事に貪欲だねぇ」




