*夏の県大会・準決勝戦A(VS.正交.2)
前回からの続きます。
千葉県、県大会準決勝戦・第1試合
正交女学園.VS.正処女学園
試合会場:千葉県船橋地区某所にある特殊な屋内施設にて
前半24分
正交0-0正処
正交の選手たちも正処の選手たちも中盤でボールを奪い合っている。 まだ正交の選手たちがボールをキープしてるけど、ここに正処の選手たちの猛攻で、ボールをキープしたまま前線・敵陣までボールが運べないでいる。 だからボールが中盤で止まってる感じだ。
「なかなかやるわね!」
「ええ、そうね。 さすがだわ」
「これからどうするつもりかしら?」
なかなかボールが前線・敵陣に運べずイラ立つ正交の選手たち。 さらに少しでも気を抜くと、すぐに正処の選手たちにボールを奪われてしまう緊張感。
「くっ、このぉぉ!」
「この、えぇぇいぃ!」
「まだ焦らないでぇ!」
そうした気の緩みや高揚感などで、ちょっとした隙が出来てしまう。
そこに正処の選手たちがボールを奪いに来て、少し油断した正交の選手たちが思わずボールを奪われそうになるけど、なんとか死守しており、ここでも時間だけが過ぎていく。
―――ボールを奪い合ってるうちに、ボールがファンブルする。 そのボールが正交陣地内に流れていくのを見て、すかさず正処のDMFの鈴木妖香がすぐに走り込み、そのボールに追いつくと、素早くドリブルしていき、相手のペナルティーエリア付近まで駆け込む。 そこに正交のDF陣の選手たちが、妖香のドリブルを阻むようにして前面に出てきたけど、すぐ妖香が右側にボールを素早くスルーパスする。
「オーライ!」「とおぉ!」
前半27分
なんとスルーパスした先には、あの姿が消えたハズの正処のFWの司孫倫が、相手のペナルティーエリアの右側をいつの間にか駆け上がっており、しかもオフサイドトラップにもなっておらず、妖香からボールを受け取ると、すぐ相手のゴール前付近の中央までボールをセンタリングする。
ザザッ、ビシィッ、ポーン!
ここで正交のDF陣の選手たちは、もう既に自陣ゴール前まで結集しており、上空へ舞い上がったボールを再び自分たちのモノにしようと処理するけど、そこにこれまた姿が消えたハズの正処のFWの司孫藍が、いつの間にか相手のDF陣の中に紛れ込んでいて、素早く天高くジャンプする。
「「「ッ!!?」」」
「やあっ!!」
気づいた時には、もう既に遅く、見上げるだけの相手の選手たちをよそに、落ちてくるボールに頭を合わせて、そのまま藍がヘディングシュートする。
ダッ、ビシィッ、ドォーン!
相手のGKも何も出来ずに立ち尽くしたまま、ヘディングシュートしたボールがゴール中央上側に突き刺すように入ってゴーール!
「あっ……!!?」
「……くっ!!?」
「やったぁーーっ!!」
「よーーしぃっ!!」
ピィーーーッ!
ここで審判のゴールの笛が鳴った。
前半29分
正交0-1正処
今回は久々に前半の早い段階で点が入って先制できた。
ここではまだ正処の選手たちが歓喜することもなく、また正交の選手たちも動揺することもなく、普通に冷静に淡々と両チームの選手たちが、ピッチ・フィールドの左右それぞれの陣地に散っていった。
それぞれの選手たちがいかにしてモチベーションを高く保っていられるか、それこそが良い状態で試合が出来る最低限の条件だろう。 また1点・2点の得失点で浮き足立つのは、あんまり良くない事だと両チームの選手たちが知ってるからだ。
前半、正交女学園のキックオフで試合再開。 (P.m.8:45)
今度も正交の選手たちが後方でボールをパス回しして、相手選手たちの様子・出方を見ている。 このまましばらくの間、後方でボールを回していく正交の選手たち。 前半はこのまま無得点で守備を徹底していくのか?
「「「………」」」(コクリ)
ダッダッダッ!
―――何かのアイコンタクトをした正交の選手たちは、すぐさまFWの選手たちが中盤まで走り出す。
そこにボールを持った正交のDFの選手が、中盤まで走り込んだFWのミキに素早くボールをスルーパスする。
「「「ッ!!?」」」
慌てて中盤の守りを固める正処の選手たちだけど、そのままボールはミキに渡り、そのミキから前線・敵陣地へ走るFWのクミへ、素早くボールをスルーパスする。
「し、しまったぁ!」
「や、やばいわぁ!」
「オ、オフサイドはぁ!?」
しかし、オフサイドトラップはない。
さらに慌てる正処の選手たちをよそに、相手のFWのクミがドリブルでボールを運びつつ、ミキも後方から走って追いつき、正処のDF陣をかわしながら、正処のペナルティーエリアの手前付近までドリブルしてくる。
前半42分
「くっ、来るかぁ!?」
「でぇぇいぃ!!」
まだ正処のペナルティーエリアのボックスゾーンまで入っていない状態のまま、クミがゴール右隅下側めがけて鋭いロングシュートする。 ここは正処のGK・浅村忍が横っ飛びしてボールが指に当たって、なんとかセーブするけど、オフサイドトラップギリギリのところまで走ってきたミキに、今度はゴール左隅上側に強烈なシュートを叩き込まれてしまい、ボールが突き刺すように入ってゴーール!
ドォン、ザッ、パシッ! ダッ、ズドォン、ドォーン!
「クソッ!!」
「おおっ、やったぁ♪」
「ふーう、入ったわ♪」
ピィーーーッ!
ここでも審判のゴールの笛が鳴った。
前半44分
正交1-1正処
ここで前半のうちに正交の選手たちが得点して、遂に追いついて同点とした。 さすがは県大会ベスト4まで勝ち残ったチームだけのことはある。 正処の選手たちの不意をつく見事な速攻で前半終了直前で、落ち着いてゴールを決めた。 でも、ここでも両チームの選手たちは極めて冷静だ。 すぐに両チームの選手たちが、淡々とピッチ・フィールドの左右それぞれの陣地に散っていった。
そう、両チームの選手たちは判っているのだ。 いかにして自分たちを冷静にモチベーションを高く保たなくてはならないことに。 でないと到底勝利することなど出来ないことに。
前半、正処女学園のキックオフで試合再開。 (P.m.9:00)
ここで正処の選手たちが後方でボールをパス回ししたところで、前半戦終了の笛が鳴り響いた。 結果、前半でお互いに得点して同点で折り返すこととなった。
前半45分
正交1-1正処
そこで両チームの選手たちが、それぞれ自分たちの控え室まで戻っていった。
次回に続きます。




