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暴秦狂楚  作者: 南かずしげ
*練習試合編
16/57

*試合E(VS.羽丙南.4)


 後半、正処女学園のキックオフで試合開始。 (P.m.8:00)


 まずはしばらく後方でボールを回していく正処の選手たち。


 するとここで早速、羽丙南のMF⑨の選手が前に出てきて、正処の選手たちのゆっくりパス回しから、強引に素早くボールをカットする。


「な、何ぃっ!?」

「し、しまったぁ!?」

「は、早いわよぉ!?」


 ボールを奪われ動揺している正処の選手たちをよそに、すぐにボールを奪った相手のFW⑨の選手が、前線にいる味方のFW⑩の選手に素早くロングパスする。


 ポーン、トン!


 前線にいた羽丙南のFW⑩の選手がボールを受け取ると、そのままドリブルで素早く正処のペナルティーエリアまで近づく。

 意表を突かれた正処の選手たちがオフサイドトラップを失敗した。


「……行くぞ!」


 そのままドリブルで正処のペナルティーエリア内に入る相手のFW⑩の選手。


   後半8分


 そこで所定の位置でシュート体勢に入る相手のFW⑩の選手だけど、正処のDF陣はまだ完全に戻りきっていない。


 ズドォーーン!


 相手のFW⑩の選手が素早く強烈なシュートをする。


「……いけ!」


 ドォーーン!


「なっ!!?」


 まるで "エネルギーレーザービーム" のように一直線で、全く反応できずにただ突っ立ってるだけのGKの忍を置き去りにして、高速でボールが左隅に入ってゴーール!


 ピィーーーッ!


 審判のゴールの笛が鳴った。


 なんと後半が始まってすぐの得点。 ここで羽丙南女子高校が追加点。 一方の正処女学園は後半開始早々の失点で2点目を盗られた。


 そこでたまらず正処の選手たちが集まって話し合っている。


「ひゃぁー、やっぱり強いわねぇー!」

「なんかぁー、ちょっとヤバくない?」

「こりゃあー、もう負けかなぁ?」


 などと悲壮感や悲観する正処の選手たちの中で、DMFの妖香は「シュートしてゴールして得点したい」と思い続けている。



   後半10分


  羽丙南2-0正処




 後半、正処女学園のキックオフで試合再開。 (P.m.8:10)


 ここでも後方でゆっくりボールを回していく正処の選手たち。

 だがしかし、羽丙南の選手たちも当然ボールを奪いにいく。


 またしても正処陣地内の後方でのボールの奪い合い、激しい攻防が展開されている。


 やっぱり羽丙南の選手たちは、ボールを奪うのがとても上手く、何度も正処の選手たちが、ボールを奪われそうになる。


「くっ、このぉーーっ!」

「えぇーーい!」

「と、盗られてたまるかぁーーっ!」


 だがしかし、正処の選手たちもボールを奪われないように、懸命にボールを死守する。


 その一瞬の(スキ)を見つける為に、正処の選手たちが、それぞれ頑張って食い止めている。


 ここでまた少し時間が経過するけど、試合の流れが変わる。


 ボールがDMFの妖香に渡ると、一気に中盤まで思い切りロングパスする。


「それっ!」


 ポーン、トーン!


「行くわよ、シェイナちゃん」


 そのボールを中盤で受け取ったMFの楓が、さらに前線にいるOMFのシェイナにスルーパスする。


「うおおおぉーーーっ!!」


 ボールを受け取ったOMFのシェイナが全速力で一直線にドリブルで相手のペナルティーエリアまで素早く駆け上がる。


   後半22分


 当然、相手のDF陣がドリブルしてくるシェイナをプレスしてボールを奪いにくる。


「……くっ……」


 バシッ、ガァン!


 まだ相手のゴールまで少し距離はあるけど、シェイナが()()()()で威力の低いシュートを蹴った。


「!!?」


 シュートしたボールが、ボールを奪おうとシェイナの所まで駆け寄った羽丙南のDF④の選手の右太股(ふともも)に当たり、それでボールの軌道が変わってしまい、ゴール右隅にボールがコロコロ転がって入り、見事にゴーール!

 相手のGKはただ驚くだけだった。


 ピィーーーッ!


 審判のゴールの笛が鳴った。


 なんと()()()()で蹴ったシュートが、相手のDF④の選手の身体に当たり、ボールの軌道が変更して、相手は誰も動けずにゴールが決まった。

 これにシェイナはとても喜んでいる。


「は、入ったぁーーっ!! やったぁーーっ!!」


 ()()()()とは言え、そのまま何もしなければ、ボールは相手のDFの選手たちに奪われたかもしれない。

 それに何であれゴールはゴール、運も実力のうちである。


「………」


 一方の羽丙南の選手たちは、呆然としていて言葉を失っていた。



   後半25分


  羽丙南2-1正処




 後半、羽丙南女子高校のキックオフで試合再開。 (P.m.8:25)


 羽丙南の選手たちが後方でボールを回していくけど、心なしか、少なからず動揺している。


 人間は一度、混乱・動揺してしまうと、立て直すのに多少の時間がかかるようだ。


 そこで正処の選手たちが、動揺している相手の選手からボールを奪いにいく。


「!!?」


 その一瞬の(スキ)を見逃さないのが、前線にいるFWの藍と倫の姉妹である。


「とうっ!」

「えいっ!」


 動揺している相手選手からボールを奪うことなど造作もなく、藍と倫の二人がかりでボールを奪うと、倫がドリブルで、相手のペナルティーエリアまで素早くボールを運んでいき、藍も倫に並走するように相手のペナルティーエリアまで素早く走っている。


「し、しまったっ!!」

「だ、誰か早く止めてっ!!」

「み、みんな! 早く戻るのよっ!!」


 相手選手の慌てぶりでは、そう簡単に早くは戻れず、易々と藍と倫の二人がパスしながら、ボールを相手のペナルティーエリアの中まで()れており、どうやら相手選手はもうGKしかいない。


「!!?」


 相手のGKの選手も、敵の突然の来襲に唖然としており―――


「―――えぇっ!!?」


 なんとボールを持ってる筈の藍と倫の二人からボールが消えて、藍がヒールパスで後ろから走ってきたOMFのシェイナにボールが渡り、物凄い勢いで威力の高いシュートをする。


 ズドォーーン!


 それはあっという間の出来事であった。


   後半34分


 ドォーーン!


 シェイナの強烈なシュートは、最早(もはや)誰も対応できないほど、速く鋭くボールがゴール右側に入ってゴーール!

 またしても相手のGKは動けず!


 ピィーーーッ!


 審判のゴールの笛が鳴った。


「よっしゃあぁぁぁーーーっ!!」


 そこで物凄く喜ぶシェイナ。


「………」


 一方の羽丙南の選手たちは呆然と立ち尽くす。


 この緩急のついた試合運び、相手選手が対応できずに、気がついてみれば、なんとここで遂に同点にされていた。

 最初は羽丙南が先制して追加点も入れての2点目で、さすがに勝負あったかに見えたけど、その後の正処の緩急つけた攻撃で、あっという間に2点も入れられ、遂には追いつかれた!



   後半35分


  羽丙南2-2正処


 そこで羽丙南の選手たちが、まだ立て直しができないまま、すぐに試合再開となる。




 後半、羽丙南女子高校のキックオフで試合再開。 (P.m.8:35)



なんと正処女学園が遂に追いついた!

あと残り10分・・・果たして、どんな展開・結末になるのか?

なかなか楽しみである。

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