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缶詰めの夏  作者:
7/16

参:妹の夏

 


 私というものは、何をやってもだめなのです。


 まず、死ねません。

 

 高い所から落ちました、首を吊りました、手首を切りました、水死を計りました、挙げ句の果てには呪われて殺してもらうと思いました。


 なんて、愚かな、自殺行為。


 もっと私は、死ぬべきなのです。

 こんなだめな人間、いなくなればいいのです。


 お姉様、お兄様、どうして私は死ねないのですか。

 生きる意味とか、わかりません。

 もう生きるのはつらいんです。

 死にたいです。

 だめな人間がこれ以上生きていてはだめなんです。


 でも、私は、やっぱり、死ぬことが怖いです。

 だから生きているんです。

 醜い人間なんです。

 誰か、出来ることなら、私を殺してください。


 一緒に死んでください。


 寂しいとか悲しいとか、私にはそれしかないんです。

 満たされていないんです。

 何もかも。

 だから。


 私は、こんなことをやっています。


 きっと人間失格なんです、他人にも、友人にも、家族にも、自分にも、びくびくしながら、恐怖しか、ありません。

 怯えているんです。

 だから、食べるのです。

 私が、もっとも生きている価値なんです。


 本当に美味しいです。

 あらゆる部分で柔らかかったり、固かったり、とろける肉がもっとも大好きなんです。


 けど、私は、食べてやったのに、死にたいと言うのです。


 つまり、私は、食べれたいのです。

 私は頼みました。


 食べてください。


 お兄様は私を汚し、憎み、お姉様は泣きました。

 そして私は死に、二番目か三番目の缶詰めになりました。

 

 私を食べてくださり、どうも、ありがとうございます。


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