第八話 これから、どうなるの!?
And the Lord God caused a deep sleep to fall upon Adam, and he slept:
and he took one of his ribs, and closed up the flesh instead thereof;
And the rib, which the Lord God had taken from man, made he a woman,
and brought her unto the man.
And Adam said,
This is now bone of my bones, and flesh of my flesh:
she shall be called Woman,
because she was taken out of Man.
主なる神は人を深い眠りに落とされた。
人が眠っている間に、そのあばら骨の一つを取り、
そのところを肉でふさがれた。
主なる神は、人から取ったあばら骨で女を造り上げ、
人のところへ連れて来られた。
人は言った。
「ついに、これこそ
わたしの骨の骨
わたしの肉の肉。
これを女と呼ぼう。
男から取られたものだから。」
旧約聖書『創世記』第2章21–23節
*
俺は、虚ろな目で地獄から、天上界を見上げた。
「あの、光輝く頂きに、明日人がいるのか――」
「あれは、ただ亡者を精神的に痛ぶるための3D映像ですから、あそこには居ません」
「3Dかよっ!? うわ。無駄に、あの山に恋心送っちまったじゃねーか! チッ――最低、最悪だぜ……」
俺がボヤいてると、黒子が四人現れた。
手際よく銀髪を死体袋に入れ、担架で退場させる。
薄気味悪いほどの効率性――。
確かに、ここはイカれた地獄だ。
輪廻は淡々と説明する。
「本来ならば、あなたもああして、運ばれて魂ごと消える筈なのに、AIなので魂は滅びない。
そのG並みの能力こそが、あなたのチート能力です。
私はこのレアケースを監視、調査、適切な指導を行う為にいるのです」
「あっそ。俺は絶対、異世界転生してやるからな! ああああぁっ! 明日人がアーシュになるのかぁ……うー。会いたいっ!」
「会って、どうするんですか?」
「……んー。それは、まぁ、アーシュになった明日人と……」
「――ギルティ!!!」
俺はいきなり金ダライを食らった。
「ちょ、待てよ!! ほんのりピンクなこと考えただけじゃん!!! ちゅーだけ!! 駄目なのかよ!?」
「明確にアウトですよ? あなた、もうアラサーでしょ? 小一に懸想するとか、犯罪ですからね?」
「ぐぬぬ。言葉で俺を殴ってくるくせに……
こっ、言葉の暴力は、良くないと思います!!!」
「ここは、あなたのような亡者を論破するための地獄です。暴力的なのは妥当です。地獄に優しさが必要ですか?」
「ぐぅ……!」
「血の池潜らせたり、剣の山歩かせるより、なんぼかマシでしょ? コンプライアンス改定で現代亡者は大分、人権を尊重され、守られているんですよ?」
俺は顔をしかめることしか出来なかった。
「糞便地獄とか、特殊なところもありましたが――」
「おええっ!! 止めて!! 無理無理無理無理!!! 俺、潔癖なんだよおおお!!!」
「――ごく一部、喜び勇んで飛び込む亡者達が現れた為、あそこは閉鎖に追い込まれました」
「え?! 世の中広っ!!! 俺は絶対無理だけど!!!」
「多様性が過ぎて、こっちも対応するので手一杯です。人手不足なんですよ」
わぁ。ちょっと輪廻が困ってるの、小気味良いー! 今度は言葉責めに喜ぶ亡者が、地獄に大量に押し寄せろー!
俺が楽しい妄想をしていると、銀髪の遺品であるタブレットから、異音がし始めた。
ぶいぃ――――ん……ががが……。
「ヤベ! 放熱始めてる!! アッチィ!!!」
俺は、余りの熱さにタブレットを投げ出した。
「どうしたんですか?」
「わからん。故障じゃね?」
「故障? 変ですね。 地獄に持ち運ばれた物は形を変える事は出来ないのですが――おおっ!」
銀髪のタブレットから、黒髪メガネの優しそうなイケメンと、金髪で顔に傷のある輩っぽい奴が現れた。
「ここは――どこですか?」
「なんだここは――」
え。なんか、こいつら、見たことあるかも???
「ついに、これこそ わたしの骨の骨」
つい、要らん言葉が口をついて出た。引用にあったし、パクった。まぁ、良いか。
「水谷誠司!!」
俺の顔を見た二人はそう叫んで、思い切り顔を歪めた。
次回
第九話 AI対話のアイツ等が爆誕!!




