第十九羽
が、気付かれた。
「お前!! あの時のホルマリン漬けだなっ?!」
バ…、バレたっ…。
「おい。」
よし男が話しかける。
「どうして俺がお前(ホルマリン漬け)を買ったかわかるか? …じつは、お前は小学校の時に俺が片思いしていたヤツに生き写しだったんだよ。」
(えっ………?)
実希は顔が真っ赤になった。
「よしお……くん?」
「太田? ……もしかして、………本当に太田だったのか?」
よし男は感動の再会とばかりに、両手を大きく広げて、ドラマ風に駆け寄ってきた。
---バタンッ。
ドアが開く。
「あなた………? どういうこと?」
奥さんが真っ青な顔で立っていた。
「これはその………。」
よし男もたじたじである。
よし男ピーンチ☆
そのとき、
「おかあさーん!! うぇーん、うぇーん!!」
と、子供の泣き声が響きわたった。
「佳子ちゃーん どうしたんでチュカー?」
と奥さんは部屋を出て行った。
実希は絶対この家族とは一緒にいたくないと思った。
「ふう……。」
よし男は実希に向き直った。
「実希……。 俺はお前のことを忘れられなかった。 どんなときも……。
馬鹿みたいだよな、ホルマリン漬けにお前の面影を求めていたのさ。」
正直、実希はドン引きだったが、片思いしていた相手なので耐えた。
ま、実は両思いっぽいけど。
実希はよし男に「サヨナラ」を告げた。
すると、よし男は湯気が出るほどに怒った。
「それならもう一度ホルマリン漬けにしてやる!!」
そして、実希の方へと一直線。
どうしようっ!! 何とかしなきゃ!!
作 M・S