第十二羽
ホルマリン(これからカッコはつけません。)は、やがて実希を放した。
(・・・ふぅ~ 汗)
実希はホルマリンのテンションについていけなくなってきた。
実希はなんとか“ホルマリン好き”という誤解を解こうと頑張った。
(あの時焦ってYesって言わなきゃよかった……。)
「あ、あの………実は私、ホルマリン漬け、そんなに好きじゃ―――――」
「スキ!? ヤッパリネ!!♪ Come on!!!!」
強引に手を引かれ、渋々ついて行くと、今まで言ったことのない階段を下りていく。
地下へと続くようだ。
階段を下りるとほとんど真っ暗で、目を凝らさないとホルマリンの背中は見えない。
ちゃっかりホルマリンは懐中電灯をもっていた。
(てか、廊下長いなー。)
五分ぐらい歩いただろうか、他のドアより一際大きく立派なドアに行き当たった。
懐中電灯がドアに書いてある字を照らす。
英語だ。
【ホルマリン漬研究室】
英語が読めない実希は知る由もない。
ホルマリンは字を見て頷くと、ドア横のパネルに親指を当てた。
―――ピッ…… 指紋 検証 が できました―――
―――どうぞ お入り 下さい―――
機械の声? が廊下に反響する。
(なんでここだけ日本語なんだよ。)
実希は心の中で突っ込んだ。
ギィィィィ―――
ドアが軋みつつ開いていく。
中は暗いせいで、色々なところにある水槽が青く照らされているのは、みていてなんとも言えぬ気味悪さを感じられた。
一見したところ、かなり広くホールのような感じだ。
(何だここ!!?)
作 M・N