第十羽
実希はしめしめと思った。
この外人さんと仲良くなって、たくさんおいしい物を食べさせてもらおうと考えた実希は、まず、外人さんとコミュニケーションをとってみた。
とはいっても、実希はバカなので
「ハロー」
ぐらいしかいえない。
困った実希だったが、ここは
「まー、やるかー。」
と、外人さんに
「ハロー」
と挨拶してみた。
すると、むちゃ気さくな外人さんだったらしく、
「ハローハロー!!!! オゥ!!!! ニワトリー!!!! ニワトリー!!!!」
それから、実希は外人さんと仲良く暮らすことになった。
実希はおいしい物を食べさせてもらえ、夜には一緒にトランプ大会やウノ大会で盛りあがった。
「やぁー、幸せだねー。」
と、実希はつくづく思った。
まあ、案の定、実希の仇名は「ニワトリ」で、いつも
「ニワトリー、ニワトリー。」
と呼ばれている。
そこで、実希も何か変な仇名で呼んでやろうと、外人さんを
「ホルマリン」
と命名した。
「ホルマリンー、ホルマリンー」
と呼んでみると、外人さんはピタととまり、こっちを睨んできた。
そして、ものすごい形相でこっちへ向かってくる。
「あぁ、やばいな、これ。 やばいな…。」
実希の体は、もうすでに逃げる体制をとっていた。
作 O・M